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ちょっときいて  作者: 矢久 勝基


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日本はどうなっちゃうのかしらん?

 日経新聞の記事を読んでいると、自分が時代にどんどん取り残されていく気分になる。

 世界は走ってる。ものすごい勢いで走っていることを、日経新聞は目の当たりにさせてくれる。

 同時に、記事を追っていくと気付かされる事実がある。矢久どころじゃない。日本自体が、時代に取り残されつつあるのだ。


 毎日毎日、目を皿のようにして読み通しているわけではないので、あるいは間違った見識かもしれないが、時間のあるときポツポツつまんだ記事を大きくまとめると「世界はこんなに走っているのに、内向きな日本は大丈夫?」と総括できてしまうように思う。


 文化面でもそう。ここの読者なら興味がある話かもしれないから一つ記事をお借りする。

 六月一日の文化面は、カンヌ映画祭でパルムドールを受賞した是枝裕和監督の記事を載せている。賞を取った監督のエッセイ的なものだが、内容は映画それ自体の話よりも、映画という文化に対する日本の貧困さに警鐘を鳴らしている。


『日本は「映画を文化としてとらえる素地が欠けている」』

(中略)

『ただ映画が国に何をしてくれるかという発想でしか文化をとらえられない人たちが中心にいる今のこの国(日本)の状況では、国益に叶う作品に金を出すという発想にしかならない。日本のコンテンツを外国に売り込むという発想しかない。それでは意味がない。』

(日経新聞六月一日文化面記事抜粋)


 と言い放っている。

 フランスの映画人たちは自分たちが映画文化を担うというプライドと気概に溢れているのに……と嘆き、日本の文化としての映画の細りを懸念しているわけだ。

 ちなみにこれ、そのまま現在の文学界にもいえることじゃないか?

 利益効率優先主義の結果が、今の文学界の斜陽の一因であることは間違いない。


 新聞ではそういう、世界に対する日本ののんきな部分が、経済や技術、学問、研究など、あらゆる方面で見受けられる。日本の内向きを懸念する記事、海外の企業家や研究者が大きな躍進を続けている記事が、列挙すればキリがない。

 しかし、だ。しかし。

 そんな事実を並べた時……日本人の多くはこう思うのではないか。

「うん。だから?」


 例えばさっきの抜粋を見て、ここの読者、

「俺、今日から日本文化に対する考えを改めなきゃ!」

 などとなるか。たぶんなってないだろう。というか、それで例えば、このサイトに掲載される小説が明日から"皆がナニカに目覚めたような"内容になってたら笑う。

 つまり、映画の質がフランスに負けていこうが、大学の質が中国に負け始めていようが、今の日本人の多くには何も響かない可能性がある。

 文学界も、小説のレベルが下がろうが、本屋が潰れて日本からなくなろうが、今の日本人には大したことではないのではないか。

 それはなぜか。

『「いろんな競争に負けて、取り残された挙句の日本」というものが、多分誰にも想像できていないことが原因なのだ』と、わたしは思う。


 だって豊か過ぎるのだ。何の不自由もない。

 悩んで自暴自棄に陥って死ぬだの生きるだと騒いでる者たちが、夜眠る布団すらない時代ではない。

 金がなくなった、仕事もない、もうどうすることもできないと喚く者たちが餓死をするということもない。(自分でそういう選択をしなければ)

 ものが溢れる今の日本から、失った日本、見放された日本に、どの程度のリスクが生まれるのかが、見当もつかないのだ。

 挙句「あ、負け始めたのね。だから?」ってことになる。今日の俺が生きて、楽しむに困らなければいいんだよ」と……。


 負け始めたことが問題なんじゃない。負けてもどうでもいいと思っているところが、今の日本が抱えた大問題なのだと思う。

 そして「そんな話題自体がどうでもいいよ」という者が多ければ多い分だけ、日本は世界から取り残されていくのだろう。


 しかし、かくいう矢久も結局日本を見限ることができず、この国に根っこ生やして生きている。なんというか島国根性。農耕民族ののんきさは、矢久にも染み付いている。

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