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ちょっときいて  作者: 矢久 勝基


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ネカマと出生率

 かゆいところに手が届く……というのがネカマ(インターネット内でのオカマ)らしい。

 男の喜ぶツボは男の方がよく知っているということだ。少年漫画と少女漫画を見比べれば、なるほど、求めているものが違う。男に女心がつかみきれないように、女にも男心がわからないのだろう。


 いまさらだが、日本は映像コンテンツの充実した国だ。昔は「ゲームや漫画は子供が見る(する)もので、アニメなんて言葉をオトナが公然と口にするのはちょっと気恥ずかしい」みたいな空気もあったが、今なんてどこの家にもゲーム機はあるし、いい歳したおっちゃんがふつうに週間少年ジャンプを電車でめくっているし、アニメなんて子供が寝てる時間にやっている。

 今、矢久が0歳に戻ってこのような文化の中で育ったら、また違う人間になるのだろうと思う。


 それらのコンテンツが日本人に与える影響は計り知れない。そして、今の日本文化は売れるのが一番だから、売れるよう、より売れるように視聴者目線を探る。

 矢久は男だから男の話をするが、その結果、キャラクターとして登場する女の子たちは限りなくかわいらしくなり、男の欲望を満たしてくれる行動をとるヒロインが「魅力的」といわれもてはやされるようになった。

 ちなみに「個性的」なのは魅力的なキャラクターの絶対条件のように思われるが、個人的には今の日本では必要ではあっても絶対ではない傾向にある気がする。

 それはいい。是非を問いたいわけでも、浮世離れした矢久が今"魅力的な"ヒロインを描けないことに嘆きたいわけでもない。

 言いたいのは、これにより、男の女性観が、実際の女性と乖離したということだ。

 わたしはこれが、昨今の未婚率を増やしている原因の一つだと思う。


 矢久の周りも未婚の男は多い。

 理由の一つに「出会いのチャンスが少ない」というのもあり、それは否めない部分もあるのだが、話を聞く限り、

「理想の女性は……ふむふむ……

……そんな女、いないよ?」

 というケースは多い。

 昨今、兄弟も減ってきているから、女のいない家族で育った男たちは、若い女が目の前にいないままオトナになる方も多かろう。

 そして一番メディアに影響を受ける十代で、かゆいところに手が届く、しかもトビッキリの美女たちを見続けたら、そりゃどんな女もぼやけて見えてしまうだろう。

 これは逆も然りだ。今は女性用の映像コンテンツも発達しきっていて、かっこいい"だけの"男が浸透している。それでも女の子の方がまだ現実的だなと思う部分はあるが、それだけに「現実的に、こんな、女に幻想見てる男とは一緒になれない」と冷静に見つめてしまう部分もある気がする。


 そんな男たち。

 心の片隅においておいたほうがいい気がするのは、「あなたが大好きなヒロインを作り出したのは、ほぼ間違いなく男だ」ということだ。

 かゆいところまで手が届いてしまう……それは男の仕事である証。

 これはなにも小説、漫画、アニメ、ゲームなどの創作物に限らず、アイドルなどもそう。

 かわいく「大好き!」を連呼している彼女たちのバックでそのシナリオ作りをしているのは男なわけで、彼らは女をどう見せるとどうかわいいかをよく知っている(研究している)。全員とは言わないが、アイドルの裏側……わたしは一時期とあるメディアの業界にもいたから(ちょっとだけ)知っているが、壮絶だ。

 創り出されたキャラクターたちと共に生きていくのもいいが、度が過ぎると異性の本質を見失う。

 それでもいいやって思ってる若者たちにもう一つ付け加えておくと、

「三十代になった未婚男女は、意外にみんな異性を求めているぞ」

 ということ。

 結婚が必ずしも人生の形じゃない……ということはよく言われているし、わたしもそうは思うけど、本能なのか、結婚じゃなくてもそれくらいになると皆、パートナーを求め始める。中には、老後の一人ぼっちを気にし始める人もいる。

 若さにかまけて「人間は一人で生きていくものだ」などと言っていると、後でしっぺ返しをくらうことになることは、心の片隅に……(以下略)。

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