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ちょっときいて  作者: 矢久 勝基


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夢を見る時代は終わったのか?

 先日、知り合いが街コンに行ったら、女の意識は軒並み公務員へ向いていて、一般企業人は基本相手にされなかったらしい。コレ、とあるアラサー情報。

 そして、今の人気職業というのが、スポーツ選手を抜いて公務員が一位に輝いたらしい。コレ、とある高校生男子の情報。


 時代はひっくり返るほどに混乱して、やがて収束して、新システムの中である程度栄え、ゆるやかな堕落をみせつつ取り返しのつかないところまで突っ走ってまた大混乱に陥り……を繰り返している。大きく分けて乱世と治世というふうに分けられるのだろうが、もっと言えば「乱世は夢を見られる時代、治世は夢が見られない(見にくい)時代」といえるんじゃないだろうか。ぐーたら治世の平成26年に豊臣秀吉や坂本竜馬がいてもあれほどの働きができるとは思えない。


 人気職業、スポーツ選手を抜いて公務員が一位というのは象徴的だ。人は夢よりも現実を見はじめた証拠であり、よく言えば太平の世の中、悪く言えば膠着した世の中といえる。

 緩やかな堕落の中、人はあまり冒険をせず、また、冒険を受け入れず、事なかれに従事する。時代はのらりくらりと変わっていっていても人の意識はついてこず、旧態依然の考え方が蔓延し続ける。


 アルバイトで正社員より稼いでる男が、「それでも所詮バイトですからね」と言っていたのだが、終身雇用制などとうの昔に崩れ去っているこの時代、逆に定年まで安定して正社員でいられる職業などは働きアリのような出世の見込めない地位がほとんどであり、なにほどでもない、一生アルバイトが続くようなものである。名前は伏せるが天下の大企業ですら現在はすべて契約社員で新人をまかなっているらしい。

 繰り返すが終身雇用制度などは終わっているのだ。全身全霊をかけて就職をして、その会社に一生いられる保証などはひとつもない。

 それでも人の多くはまだ、正社員を目指して必死に就職活動を行っている。とはいえ夢も見づらい治世において、藁をもつかむ思いなのかもしれない。……挙句に一生の安定を求めた結果、行きつく先はお役人様なのだろう。それにあぶれた者たちの多くが惰眠をむさぼって、やがて行き着くところまで行って破裂する。


 高度成長期も二昔くらい前となった今、夢を見る蝉たちにとっては冬の時代が来ている気がしてならない。特に今は夢を見ようとする者が多すぎて、メディアがうわずみを拾っては使い捨てにする世の中だ。

 冬に蝉が鳴いてどれほどの意味があるのか。

……それでもいまさら捨てらんないんだけどさ……。

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