矢久の脳内会議 ~魔王様(♀)、世界征服の動機~
「じゃじゃじゃーーーん! わらわだよっ!!」
「脳内会議だっていうのに当たり前に出てくるようになったな……」
「当然じゃ! 脳内の次は脳外、そして世界を征服するのじゃからな!」
「矢久の脳外の次は世界って……だいぶ途中をはしょりましたね」
「当然じゃ! 難しいことは分からんからな!!」
「な……なるほど……」
「世界征服ができればすべてが思いのままだから、他は考える必要などないのじゃ」
「確かに……」
「今は世界征服を円滑に進めるため、日夜積み木を積んでおる」
「あ、あれは世界征服のためだったんすか!?」
「当然じゃ」
「どう繋がるのか見当もつかないところが恐ろしいっすね……」
「わらわが本気になった暁にはすべてを混沌の渦へ落とし…………」
「はい」
「……」
「ん? どうしました?」
「コラ! 話しかけるな!! わらわが見られたらどうするのじゃ!!」
「あぁ、確かに見知らぬオッサンが歩いてますね」
「話しかけるなというに!」
「というか、その人見知りは何とかなりませんか……」
「何とかなれば警察はいらんじゃろが!」
「意味が分かりません」
「とにかく、人見知りのわらわも住みよい世の中にするため……するため……」
「……」
「……行ったか?」
「アンタ、それでどうやって世界征服するんすか……」
「無礼な! 誰も見てなければわらわは家中のティッシュペーパーを全部引っ張り出すこともできるんじゃぞ!!」
「そ……それは困る!!」
「そうじゃろう。それだけじゃない。わらわに歯向かったヤツはこうじゃ!」
「わっ! たべっこ動物が首だけ食われて、後は皿に戻されてる!!」
「フフ……わらわの恐ろしさがわかったようじゃな」
「なんて残忍な……」
「とにかくわらわが動き出せば空は翳り海は割れ、世界は混沌の渦に飲み込まれるじゃろう!! コラ!! 聞いておるのか!?」
「それ、わたしじゃなくて、別のオッサンです」
「わぁぁぁぁ!!!! 召使い!! だっこじゃ!!!!!!」
「は、はい!!」
「……。……行ったか?」
「はい、今日はオッサンのエキストラ多いっすねー」
「まったくじゃ! 命がいくつあっても足らんわい!!」
「世界征服の前にその人見知りなんとかしないと……っすね」
「無礼な……最近一人で滑り台が滑れるようになったわらわに向かって……」
「でも、召使い2から、滑り台の階段の上で他の子に囲まれたら、階段から召使いに向かってダイブしたって聞きましたけど……」
「当たり前じゃ!! 怖いからな!!!」
「飛び降りる方が怖いわ!!」
「くっ……いつか見ておれ愚民ども!! 必ずや世界をわらわのものにして近くを通りかからないようにしてやる!!」
「……魔王の世界征服の動機ってそんな理由だったんすね……」
「うむ。どこの魔王も苦労しておるの」
「勇者が乗り込んできたら、とりあえず壁の向こうで話してもらいましょうね」
「うむ。案内は任せるぞ。わらわは会いたくないからな!」
……この娘、普通に小説になる気がしてきた……。




