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ちょっときいて  作者: 矢久 勝基


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暑い時には……

 いや、三日坊主……もとい、四作坊主というわけではない。

 そんなに野放図に時間が取れない中で、~メルピアットより愛を込めて~を描いていたらお仕事コンのネタが浮かび、間に合うわけないのにそちらに目移りしていたらここどこじゃなくなったという次第。

……と、誰に言い訳しとるのだ。誰も聞いちゃいないであろうそんな主張を世界の片隅からお送りする心理ってなんだ。

 あれだ。"お前なんていてもいなくても変わらない"という世界だとしても、自分の言葉をきっと誰かが見ていてくれるということを、やはりどこかで信じている部分があるのだろう。

…………うん……たぶん……。


 などという自虐ネタはさておき暑い。

 日差しが暑い。流れてくる空気が暑い。

 汗で湿り気を帯びた肌が暑い!外で問答無用に鳴いている蝉の声が暑い!とにかく暑い!!どれくらい暑いかといえば、暑いくらいに暑い!!!

……え?冷房?……私の文章が売れるまではそのようなゼイタク品はお預けだよミスタージェームス君。

 欲しがりません、勝つまでは!!という奴さ。


 ともあれ、それほどに暑い日になると浮かんでくる家族の思い出がある。小説家になろうというサイトなので、小説っぽく描いてみよう。一人称を俺に変えてみる。



……あの日も暑かった。うだるような熱気が、風の通らない部屋に居座ってしまって息をするのも億劫な、そんな夏の午後の話だ。

 自室のふすまを開けるとそこはダイニングキッチンだ。そこにはニラを切っている母ちゃんがいた。俺はかばんを背負いながら言った。

「ちょっと出掛けてくるわ」

「いってらっしゃい」

「今日の夕メシなに?」

 すると、ハッキリした口調で言い放った言葉!

「あなたがなんと言おうと今日はナベよ!」

 ナ……ナベ~~~~~!?

 なにが悲しゅうて日中35度の日にナベなんだ!!

「暑くないのか?」

 という間接的な抗議の声も

「私はナベを食べる!」

 と、あくまで強硬姿勢。なにが母ちゃんをそうさせたのかはわからないが、ここで激論を交わす時間はその日の俺にはなかった。

「好きにしてくれ」と言い残して家を出て、帰ってきてみたら用意されていたのは本当にナベ!……ワタナベとかじゃないんだぞ。本当のナベなんだぞ!!

 いまだ昼の熱気冷めやらぬダイニングの真ん中に鎮座しているナベからは向こうがかすむほどの湯気が立っている。

 恐れ入る!この人ホントの本気で真夏にキムチ鍋を作りおった!

 おもわず「……」と叫びながらも食べ始めた俺を見て、母ちゃんは言った。

「……暑くない……?」


 あついわぁぁぁ~~~~~~~~~~~~~~~!!!




 という、心温まる……というか、むせかえる話(笑顔)。

……暑い時には暑いものをというが、母ちゃんもこの日は後悔していたフシがある。とにかくあつすぎたためにこの日のことは今も忘れない。

 死ぬほど暑かった日。彼女の固い意思。容赦なく熱かったナベ……

 言いたいことがあるとすれば


 作る前に気付け!


……このことに限らず、とても個性的な母親である。今も元気だ。

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