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ちょっときいて  作者: 矢久 勝基


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終戦記念日が終わる前に

 戦争を知らない世代が過ぎた戦争を語るのはおろかなことだとは思う。所詮痛みも知らない者のたわごとだ。でも、「あの戦争を忘れるな」を連呼されるのであれば、戦後世代が意見を持つのも無理はないことではある。そんなわたしがつぶやく。

 先の大戦についてはすでに語りつくされていて、いまさら何の意見も三十番煎じくらい味気ないものだとは思うのだが……。


 満州事変から始まった戦争。日本の正義は誤っていたと思うし、構造的にも国としての機能が正常であったとは言えないし、本来なら経験してはならない犠牲を負ったことは間違いない。

 だけどこの戦争を語るとき、そこまでの弁で結んでしまうのは、あまりにも悲しい。

 そういう文章を読むたびに、わたしはこういう文章が書きたくなる。


 当時、欧米の真似をして帝国主義に走った"欧米以外"の国、日本だけに世界は制裁を加えた。

 それまでの世界の常識を作ってきた憧れの先輩方に、追いつけ追い越せと躍起になった日本がはしごをひたすらに登ってみたら急にはしごの足を蹴り倒されたようなものだ。

 欧米一番、アジアは二番、三時のおやつは文明堂。それが当然な世の中であった。


 その差別的な世の中の構造を後の世まで変えたのがあの戦争であったことは間違いない。

 今まで植民地政策を好き勝手やっていた欧米列強は、日本に同じことを成されると非常に厄介であったがために、急に手のひらを返したように「そういうことをしてはいけないんだよ」と言う立場をとった。急先鋒はアメリカで、彼らは特にそれをもって正義の戦いとしたために、最大の戦勝貢献国であった彼らのそれが、後の正義となった。

 一方で、日本があの戦争を半年間だけでも有利に運んだことが、アジアの植民地の民に勇気を与え、独立の機運を高めたことも間違いなく、現に、大戦が終わると再び彼らの場所を植民地化しようとした時代遅れな考えを持つヨーロッパの一派を、アジアの民たちは各地で追いやった。


 日本が例えば禁輸とハルノートに尻込みしてシュンと頭を垂れたらどうなっていたか。

 きっと今のアジアの独立は今のようではなかっただろうし、そもそも独立できていたかも怪しい。欧米の帝国主義がいまだ当然のように跋扈していたことも否めず、『イスラム国』のような『アジア国』が「真の独立を!!」と騒ぎ立てていた可能性が無いともいえない。


 それがないのは、あの許さざる歴史があってこそである。

 75年前、確かに日本の膠着した構造は暴走の体を見せた。それにより多大な犠牲を内外で強いたことは間違いなのだが、しかしわたしは、日本人がそれを有史以来最悪の黒歴史のように言ってすませてしまうほど、あの頃の日本人がやってくれたことは小さくないと思うのだ。



 日本の戦争責任をいまだに追及し、靖国神社の参拝にケチをつける一部の国は、今日、あなた方が欧米と対等に話ができるようになったのは何のおかげなのかを知るべきだ。どの歴史が作用していたからなのかをたどれば、おのずと答えは出てくるはずであり、少なくとも当時蹂躙されるに任せたあなた方が独力で今の地位を勝ち得たわけがない。日本が敵にならなければ、欧米が味方につくはずもなかった。

 もっといえば先の戦争の波に戦勝国としてたまたま乗れたからこそ、今のわがままが黙殺されているわけで、さらに、今行っていることは70年前ならとっくに欧米列強から恐ろしいほどに理不尽な制裁を受けているレベルのことであることを知るべきだ。

 そうなっていない歴史の深さをもう一度知るべきだろう。歴史認識を盾に日本を追及するならなおさらである。



 先の戦争を忘れてはならない……よく言われる言葉だ。

 しかし日本人が忘れてはいけないことはその悲惨さや暴走っぷりだけではない。

 日本が粉々に壊れるまでの犠牲を払って後の歴史を作り上げたという事実と、それは今のアジアにおいてかけがえのない"貢献"であったということ。それが例え暴走によるものだとしても、当時、冷静に敵との力の差を認めて下を向いていたら、今の日本人は今も、欧米人に対して下を向くしかなかったはずであること。


 それを、無謀・無残・悲惨・破滅という言葉だけで片付けてほしくない。


 終戦記念日。「生前退位」という現代の玉音放送を聞きながら、犠牲となった多くの日本人のご冥福をお祈りしたい。

三十番煎じをやってしまった感……orz...

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