表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ちょっときいて  作者: 矢久 勝基


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/226

事実と真実。都市伝説

『ご存知ですか? 今までのコラーゲンは、肌にまったく浸透していなかったという事実を……!世界で初めて肌に浸透するコラーゲン誕生!!』(原文ママ)

 ……っていう、某メーカーのチラシがうちに入っていた。

 文言の脇には棒グラフが描かれていて、従来の『浸透するといわれていたコラーゲン』のグラフはゼロのまま平行線。そして新商品のコラーゲンは途中から最近の任天堂の株を思わせる急角度の上昇を見せ、ゴールに『完全浸透!』とフキダシされている。


 おおっ!?それはすごい!!女性のお肌の救世主だ!!

 もうこれでヤスリのような地肌からおさらば。

 今までのウソにだまされることなく、ホンモノの、ぷるっぷるツルツルの、たまごのようなハリをいつまでも保つことができるね!

 うちの魔王様(♀)もさぞお喜びであろう!!バンザーイバンサーイ!!

 …………って、ちょっとマテ。


 このメーカー、今までコラーゲン出してたことないのか?

 そんなワケないよネー。大手の健康補助食品メーカー。民主党政権最後の首相の名前を知らなくても、このメーカーの名前を知らないものはいないと言い切れるほど、日本人に"浸透"してるメーカーだ。

 すると、さっきのチラシの文言は、こうとも付け加えられる。

『ご存知ですか? 今までの"弊社の"コラーゲンは、肌にまったく浸透していなかったという事実を……!』

 ……ということになりませんか?

 アナタガタ、これを効果があるものとして売っていたのではないのデスカ?

 私は法律には疎いからこれがなにかの法に触れるのかといえば分からないが、これは冷静に考えて法に触れててもいいんじゃないかといえるほどの事実ではないだろうか。(しかも自分で言ってるし……)


 しかしそれを追求するのが本稿の目的ではない。

 どんないちゃもん(笑)をつけたいのかというと、

「じゃあその新コラーゲンとやらは本当に効くのか!?」

 ってこと。


 だいたい、一般人は多くの事実の裏など取れないのだ。専門家がこうだといえば、そうだと思うしかない。

「昨今インターネットが普及してるんだから自分で調べればわかるだろ」?

 ……専門家をナメちゃいけない。


 例えば、だ。

 アナタが車を車検に出したとする。(あなたが車好きや自動車整備士でないことを前提にして)

 車検の代行屋に、

「うわ、これデフオイルやばいですね。ずっと換えてないでしょ。これ、このまま走るとデフが焼きつきますよ。交換しときますね」

 と言われたらアナタどーする?わざわざ別のとこに持っていって本当かどうか聞いてみますか。

 デフオイルなんて車のことを知らなければ何のオイルかすら分からないと思う。

 もちろんその辺は説明してもらえばいいが、巧みに説明をされればなおさら「交換しなきゃ」と思うはずだ。整備士が嘘をついたとしても……つまり、そのオイルがたとえまだ十分に使用に足るとしても……そんなことはアナタには分からない。それを換えずに車の調子が悪くなれば、きっとそのオイルを疑うだろう。


 コラーゲンというのはもともとたんぱく質だから、例えば口から「コラーゲン」というものを摂取しても、一度体内でアミノ酸に分解されて体の必要な部分に活用される。つまり、「コラーゲン」というサプリメントを飲んでも肉を食べても、一度同じアミノ酸として分解されてしまうわけで、コラーゲン単体で飲むことにどれほどの効果があるかといえば、多分に怪しい。

 しかしそれを実証することは、素人であるわたしたちにはできない。

 飲んで効果のないコラーゲン。塗ったら効果テキメンなのか?


 専門家の言う「事実」とやら。……本当にどこまで事実なのかなど、わかったモンじゃない。

 例えばダイエット業界だって、カプサイシンが効くだのバナナを食べろだの、一食に減らせだの、食事の回数を減らせば脂肪がつきやすくなるだの、走れだの、走っても効果はないだの、迷走もいいところ。

 打ち身の時は冷やせ、だが、暖めてしまったほうが治りが早いという医者もいる。逆だ。どうしろと。

 血圧130が高血圧?……その基準は以前は140だったし、もっと昔は160だった。この基準を落とした根拠を明確に説明できる人間は本当にいるのか?……血圧が高いのなら高いまま保ったほうが健康でいられると断言してる専門家すらいるぞ。

 しまいにゃ1192作った鎌倉幕府の将軍様の肖像画は違う人物だし成立年も違うときたもんだ。

「数々の研究により、新しい事実が分かってきた」

 ホントか?その事実は10年後にまた覆されるんじゃないのか?


 専門家の数だけ『事実』がある。

 ここに多数決の理論を用いるのなら、ガリレオの地動説など世間の常識に吹き飛ばされたわけで、今一般的にいわれてる事実が真実とは限らない。中にはトンデモ理論を発表して、本当に当たっていれば先駆者くらいな気持ちで「数々の研究により、新しい事実が分かってきた」などと嘯く専門家もいるだろう。

 STAP細胞なんて最たるものだが、実際、本当の本当にSTAP細胞が存在しないかどうかはわからない。しかしそれが発見されるのはわたしたちの死後である可能性もあり、そうなってくると今のところ「STAP細胞はない」としかいえず、それが真実となるが、それはあくまで『今のところの』だ。


 要するに、事実などというものは、それが本当に真実か、ではなく、『アナタにとっての真実か』以上のものではない。もっと言えば、『その事実を自分自身が信じきれるかどうか』

 ……関暁夫風に言えば『信じるか信じないかはアナタ次第』……。

 極論、専門家の言う「事実」というヤツと「都市伝説」にはそんな大きな隔たりはないと言える。


 しかし神様はうまくしたもので、例え嘘でも信じるものは救われる……らしい。

 何も知らない人が信用の置ける人物に「これは足が速くなる薬だ」というニセ薬をもらい、飲んで走ってみると、実際記録が伸びる(人もいる)という。俗に言うプラセボ効果というヤツで、熱狂的に信用することに神様が差し伸べた蜘蛛の糸なのだろう。

 悪い方向へのベクトルも同様で、

「わたしは水を飲んでも太る」

 という阿呆ぅなことを信じ続けている女子がたまにいるが、信じすぎて実際太るのかもしれない。ウツに悩む人も、自分が自分を追い込んで、自分にさらなるとどめを刺している人もいるのかもしれない。

 信じることで、真実すら変わることがある。


 だからこそ、

<その事実はアナタにとっての真実か>

 なのだろう。


 肌に"本当に"浸透する新コラーゲン。

~~信じるか信じないかはアナタ次第~~

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ