勘違い……じゃないぞ!
チャリを走らせていると、路地裏でおもしろいポスターが横目についた。
「ストップ! 戦争放棄」
……ずいぶんいかつい内容だ。貼り方などから察するにどこぞの政党が掲示したもののようだが、まるで東条英機かうちのじーさまが墓から這い出してきたのかという内容に、今度通るときはどこの政党かを見てやろうと思った。
そしたらアナタ、後日、チャリの速度を落としてよーく見てみたら
「ストップ! 戦争法案」
じゃございませんか。
似てない?思えば法の字すら違うが、ちょっと遠くから見ると……。
…………
……
もぅ、似てないって言う奴は帰れーーー!!!
みなはどうか知らないが、わたしの場合、チャリや車で走っていると、あまり重要でない情報は目の中でシャッターが切られたように一枚絵として記録されて、少し遅れて脳みそがナニゴトだったかを判断する。
文字などの細かい情報の場合、たまにそれが誤情報としてインプットされるようで、かなり前になるが、イセハラと書いてあった看板をセクハラと読んで「どんな内容じゃい!?」と笑ったものだ。
まぁ、そういうのを"勘違い"としようじゃないか。
「ポケットの中にビスケットが一つ」の歌がある。題名も知らないがビスケットの入ったポケットを叩くたびにビスケットが増えていく童謡だ。これについては小さな頃から思っていることがある。
つまり、
「ポケットの中にビスケットを入れて叩けばそりゃビスケットの数は増えるだろう!!!」と……。
ビスケットの装甲はそんなに高くはない、人間の力で圧力を加えればたとえ戦闘能力五のゴミだとしても割ることができる。
「不思議だ」「不思議だ」と言うが、叩いてみるたびにビスケットの数が"割れて"増えることに何の不思議があろうか。同じく幼い頃、その意味を理解しない妹に大きな画用紙を用意して図解したくらい、わたしの中では真理であり、これは断じて勘違いなどではない。
……はず……なのに……
……これを、現在行われている某市、市議会選挙のマイクのボリュームと同じくらい声を大にして主張しても、誰も取り合ってくれない。
「勝基さんは小さな頃から夢がなかったんですねー」
など、まるで人非人のように扱われて村八分にされてしまうという始末。
おのれ憎きビスケット内蔵のポケット……どうせ増やすなら、イセエビとか金塊でも増やしておけばいたいけな子供が勘違いすることもなかったろうに。
「金塊? 勝基さんは小さな頃から夢がなかったんですねー」
う、うるさい!
しかし実際、叩くたびにポケットの中のイセエビが増殖していく様を想像すると笑えない。そんなポケットはもっと別のものを入れるとかして悪用すればたちまち世界は破滅してしまうだろう。
やはり「ポケットは何の変哲もない普通のポケットであり、ビスケットを外から叩いて割って増やした。そんな魔法のポケット、実はみんなも持ってるんだよ☆」という仮説の方がはるかに子供に対してほほえましいのではないか!?
世界のためにも!わたしの(安い)名誉のためにも!!
「勝基さんは小さな頃から夢がなかったんですねー」
う……うるせー!!