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ちょっときいて  作者: 矢久 勝基


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魔王様(♀)

 12月は忙しいっての。本格他のことが何もできない中で時間の目を盗んで(?)エッセイでも書いておくかな。


 このサイトを見てると魔王魔王とどっかのフィギュアスケーター(浅田魔王?)なのかと思うくらい魔王をよく見かけるが、魔王くらいうちにもいるぞ。

 力もすばやさもないが、何者にも侵されない傍若無人さと、おそろしい超音波ボイスの持ち主で、特技は眠っている人間をたちどころに起こしてしまう呪文。ドラクエ風にいえばザメハを真夜中に幾度となく乱発する。我々召使いはそれにおびえて生きることを強要されている。


 ともかく厄介なのがさっき言った超音波ボイス。

「うわーーーーーーーーーん!!!」

 その辺にいる魔王達はべらべらと誰にでもわかる言葉でしゃべってくれているようだが、真の魔族はそんな親切なことはしない。人間の言葉など口にするのもめんどくさいから内容はお前らで察せとばかりにありったけの奇声を発してくる。怖すぎて放っておくこともできない。

 ちなみにこれは泣いているように錯覚されるし、実際涙も出ていたりもするが、別に悲しいわけではない。彼女は魔王様なのだ。"哀しみ"という感情などありはしない。

 人を呼んでいるのだ。先ほどの「うわーーーーーーーーん!!」を意訳すれば、「誰かーーーーーーーー!!!!」という言葉と同義である。

 時代劇風に言えば、

「たれかあるーーーーーーーー!!!!」

 となる。

 お眠りになられる時以外の「うわーーーーーん」のかなりがそれだ。


 最近、ハイハイをして家中を動き回るようになった。魔王様はパトロールに余念がないようだ。何かを見つけてはコモドドラゴンのような歩き方でそれに近づき、手にとったかと思うと後ろに捨てる。また新しいものを見つけては手にとって後ろに捨てる。

 何のためにそれを行っているのか。そんなことは所詮一召使いの我々程度では考えも及ばないことだが、とにかく後ろに捨てる。ひたすら捨てる。

 ティッシュペーパーの箱などがあろうものなら一枚一枚引き出しては捨て、引き出しては捨て……発見が遅れると大惨事だ。

 そうして破壊の限りを尽くし、ひっちゃかめっちゃかにいろんなものが散乱した部屋で段ボール箱などがあると登り始める。……おっと、ダンボールなどと失礼なことを言った。おそらくあれは魔王様の玉座なのだ。

 玉座の上でどっかりと座り、荒らされた(というか自分が荒らした)下界を眺めつつ、「うへへへへへぇ~~~」などと笑っていたりする。おそろしい。


 しかしここで一つ問題が発生する。

 魔王様は玉座には登れるが、自分では降りられないのだ。

 玉座での暮らしに飽きてくると、くるくるっと周囲を不安げに眺め、降りてみようと試みるがそれができない。

 普通、高いところから降りる時、下々の人間は足から降りるわけだが、そんな庶民が行うようなことを魔王様は行わない。移動は常に両の手からなのだ。だから降りるとなると手も届かない地面に手を伸ばして逆さまになって降りないといけないわけだ。

 ちなみに何度か落ちてるからその怖さは知っていらっしゃるので、手を伸ばしてはみるものの、何度か空気をつかみ玉座に戻ってくる。

 そして即座に我々召使いたちを呼ぶのである。

「たれかあるーーーーーーーーーー!!!!」

 自分で登ったくせに降りる時には人を呼ぶ。さすが、傍若無人の魔王様だ。


 彼女がこの地に降り立ってそろそろ一年になるが、脅かされて召使い化した我々はいつも魔王様がいつ癇癪を起こすのかとびくびくした毎日を過ごしている。

……この地に平和が訪れるのはいつか……とんと目処も立たない。

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