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ちょっときいて  作者: 矢久 勝基


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ダメ人間

新聞の社説っぽい話題。そういうのつまらない人はここでお帰りください

 某番組で「高校生の72,5%が自分をダメな人間だと思っている」という特集がやっていた。

 『何でそんなネガティブなのか。幼少時はたくさん褒められるのに中高生になるころには褒められる回数が減るからだ』……と、そんな流れだったと思う。違ったらすまない。朝の忙しい時間に耳を通り過ぎていっただけの情報である。


 わたしは職業柄、いろんな人間を見る。幼児から五十代くらいまでは網羅しているから、それぞれの世代の心の持ちようは偏ってはいても知っている。

「その人間模様を小説に生かしなさいよ!!!」

……いやほんと、まったく生かせてないダメ人間なのだが……。

 そんな環境もあり、人を観察していると確かにうなづける部分もある情報である。

 最近の高校生……いや、十代全般二十代前半くらいまでか……は自分の可能性を信じつつ、あるところ精力的に活動しながら、「自分はここが限界なんだからそれ以上は言うな」的な空気を持っているケースが多い。しかもその限界点が異様に低かったりする。才能がありながら逆境に弱い。はるかに無能(と言ったら失礼だが)ながらごりごりと一歩ずつ前進してゆく今の三、四十代にねばり腰で負けている。それを、本人たちは自覚しているフシがある。

 しかしそのこと自体は人生経験も少ない十代なのだから、いつの時代もいえると思う。


 わたしは「自分はダメな人間だ」と思うのは変なことじゃないと思う。人間誰しもダメだし弱いしずるいのだから。というか、逆に「自分はまったく駄目な部分がない」と思っている人間などいれば「鏡見て来い」と言いたくなる。

 だから番組が出した統計がさらに惨憺たるものでも別に驚かない。それよりも問題にしたいのは、「自分のことをダメな人間だと思ってる」十代が、「自分のことをダメな人間でもいいやと思っている」フシがあるところだ。


 見ていると十代から二十代の前半に特にそれを感じる。

 ダメだなぁと思ったらダメじゃない自分に近づける努力をすべきなのだ。が、この一言を"汗臭い"と思うのが最近の風潮であるように思う。

 空調が完備されて以前よりも汗をかかなくなった若者たち。熱中症だなんだと騒がれて無理をさせなくなった世の中で、気持ちまで汗をかくことをやめてしまったんじゃないか?と思えることがままある。

 何が原因か。

 ダメな自分のままでもなんとなく生きていける豊かさ?

 弱さを主張すれば逆にそれが武器になる訴訟社会?

……原因は一つではないだろうしわたしには確固たることは言えないが、そもそもの問題は少なくとも「年頃はみんなに褒められないから」とか、そんな簡単な問題じゃない気がするがどうか。


 こういう話をすると「十把一絡げに人を見るな」といわれそうだ。

 同感だ。すべての人に当てはまるわけじゃない。腹が立った人には本稿の主張は当てはまらないことは書き添えておきたい。


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