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訳ありポエム

禁じられた花

作者: 多雨

小さなプランターに

わたしは種をまいた

禁じられた花の種をまいた


このプランターはわたしだけの庭だ

誰に見せることもなく

誰に知られることもない庭

水をやると

種はいっせいにめばえて

プランターの中は

緑でいっぱいになった


誰にきかれても

わたしは何も言わなかった

決して誰にも言わなかった

でもある日

知られてしまったのだ

禁じられた花のことを


皆はわたしをとりかこんで言った

やめなさい

やめなさい

その花を育ててはいけない

別の花をあげるから

その花を捨てなさい

わたしはいやいやと首をふった

誰にも見せないから

絶対に目に触れないようにするから

この花が咲くまで待って


だめだ

その花は禁じられた花だからだめだ


横から手がのびてきて

いちばん端のつぼみを

ひきちぎった

また別の手がのびてきて

こんどはその茎を折った

わたしは

プランターを抱きしめてかばった

お願いだから

お願いだから

わたしの花をとらないで

でも

手は次々にのびてきて

つぼみや葉をひきちぎり

茎をへし折り

プランターをゆさぶり

手は私にものばされて

髪をつかまれ

頬や耳をぶたれ

背中をうちすえられた


やがて

皆は去った

うちくだかれたプランターと

ぼろ雑巾のようにうずくまり

泣いているわたしをおいて

皆は去った


わたしの手の中には

禁じられた花のつぼみがある

さいごまでまもりぬいた

ただひとつのつぼみだ

この花は

わたしだけの花だ


もしかしたら

今にも皆がもどってきて

うばわれてしまうかもしれない

もしかしたら

この花が咲くのを

見られないかもしれない


それでもわたしは

のこされたつぼみを

手に抱かずにはいられないのだ

禁じられた花のつぼみを

抱かずにはいられないのだ


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