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街の事務員の日常  作者: 滝田TE
街の事務員の日常
33/39

最終話 街の事務員の日常


 修一郎が目を覚ますと、そこは会社の駐車場であった。

 少々くたびれた社用車に背中を預けるようにして、修一郎は座り込んでいた。


「ここは……」


 既に、懐かしいと呼べるほどの昔に、毎日使っていた駐車場だ。

 車通勤者の自家用車が十台ちょっとに、社用車が数台。それらは地面に引かれた白線の中に納まるように、きちんと停められていた。

 一通り周囲を見回した修一郎は、アスファルトの地面に座ったまま、自分の体を見下ろしてみる。

 カーキ色の作業着に、紺色のスラックス、白いワイシャツにワンポイントの入ったネクタイ。

 いつも修一郎が身に着けていた会社の制服だ。

 ああ、この制服も懐かしいな、などと思っていると声をかけてくる者が居た。


「おぉい、安来ぃ。そんな所に座り込んで、何やってんだ?」


 修一郎より二年先に入社した男性社員が、営業から戻ってきたところであった。

 歳が近いこともあり、部署こそ違うものの、何かにつけて修一郎を気にかけてくれる面倒見の良い先輩である。


「お前、いつもの設計事務所に、サンスケとプラニメーター届けろと言われてたんじゃなかったのか?」


 サンスケとは三角スケールの略称で、製図に使われる縮尺定規のことだ。


「え……?あ……?」


 状況が飲み込めていない修一郎を他所に、その先輩は笑いながら続けた。


「あそこの社長もいい加減頑固だよな。今や製図なんてCAD任せの所が殆どだぜ?」


 そう言って、背広の胸ポケットからタバコを取り出して火をつける。


「ま、その社長さんの頑固さのおかげで、ウチにとってはお得意様だってんだからいいけどな。

 で?お前、いつまでそこで座ってるつもりだ?さっさと行って戻ってこないと、総務課長がうるさいぞ?

 入社して半年過ぎたら、もう新入社員じゃない!が口癖だからなぁ、あの人」


 口から紫煙を吐き出しながら、その先輩は社屋の二階にある事務室へと顎をしゃくる。


「あの……先輩。マリボー商店はどうなったんでしょう?」


 漸く修一郎がまともな言葉を発するが、先輩社員はそれを聞いて怪訝な表情を浮かべた。


「マリボー商店ー?そんな店、取引先にあったか?

 おい、安来。お前、寝惚けてるんじゃないだろうな?あと二日頑張りゃ休みなんだから、しっかりしろよ?」


「は、はぁ……」


 曖昧な返事をしながら、修一郎は記憶を辿る。

 どういうことだ?

 自分は先ほどまで、マリボー商店の応接室に居たのではなかったか?

 リバロとか言う、物騒な輩が仲間を引き連れて店に入ってきて……マリボー商店の仲間が人質にとられて……。

 その後、プレルやルキーテたちが自分の救援に現れて……それで彼らの助けを借りて、修一郎は腹を刺されながらも、何とか彼らを撃退したはずだ。


 そこまで思い出して、修一郎は慌てて自分の腹を確かめた。

 リバロに刺された箇所を恐る恐る触ってみるが、服は破れてもおらず、痛くも痒くもない。

 急におかしな行動をとり始めた修一郎を呆れた表情で見遣りながら、先輩社員は修一郎に声をかける。


「お前、今日は何かおかしいぞ?まさか、本当に寝惚けてるのか?

 今、お前ん所にゃお袋さんが来てるんだろ?心配かけるような真似はすんなよ?」


 その言葉を聞いて修一郎は思い出した。先輩の言うとおり、大学三年の時に一度帰省したきり二年以上も実家に戻ってこない息子を心配して、母親が故郷からやって来ているのだ。


「そう、でした。……すんません、先輩。何か俺、寝惚けてたみたいです」


 頭を掻きながら苦笑する修一郎に、スーツ姿の先輩が片眉を僅かに上げて、後輩の言葉遣いを指摘する。


「安来ぃ。その口癖、直せって言ったろ?

 お前も社会人になってそれなりに経つんだから、“俺”なんて言葉使うなって。

 ま、今みたいに内輪で上司の居ないとこなら構わないけどな。外ではちゃんと切り替えろよ?」


「は、はぁ……。すみません」


 素直に謝る修一郎に、別の方向から声が聞こえてくる。


「ご心配をおかけして、本当に申し訳ございません。この子には、後でしっかり言い聞かせておきますので……。

 会社の皆さんには、ご迷惑かも知れませんが、この子に社会の厳しさをみっちりと教えてやってください」


 心底申し訳なさそうな口調で、そう言ったのは中年の女性であった。


「母さん!」


 声の主を目にして、思わず修一郎は立ち上がる。


「なんで、ここに居るんだよ?」


「なんでも何もないでしょう。修ちゃんが心配だからに決まってるじゃないの」


「ちょ、ちょっと、やめてくれよ!こんな場所で『修ちゃん』なんて呼ぶのは!」


 会社の先輩の前だということを忘れ、母親に詰め寄る修一郎。


「修ちゃんは修ちゃんでしょ。お盆には帰ってくるとか言っといて、全然戻って来ないじゃないの。

 母さんもお父さんも、心配してたのよ」


 恥ずかしさのあまり、顔を赤くして慌てている修一郎であったが、彼の母はそんなことお構いなしである。


「し、仕事が忙しかったんだよ!入社一年目だし、覚えなきゃいけないことが山のようにあるんだから!

 今度の年末にはちゃんと帰るよ。だから、ほら、先輩も居るし、アパートに戻っててよ」


 会社の駐車場のど真ん中で、これ以上母親と話しているわけにはいかない。

 そもそも、後で先輩に何を言われるか分かったものではないのだ。

 そう考えた修一郎は、何とか母を自分のアパートへ帰らせようと説得するが、母のお喋りは止まらなかった。


「向こうでもちゃんとしてるんでしょうね?変なモノ食べてお腹壊したりしてない?

 人様にご迷惑かけてない?きちんと仕事はしてるの?」


 逆に母親は、畳み掛けるように修一郎を質問攻めにする。

 仕方なしに、さっさと答えて帰らせようと、律儀にもそれぞれの質問に答える修一郎だった。


「何とかやってるよ。食事も気をつけてるって。

 色んな人のお世話になはってるけど……、迷惑はかけてないし、仕事もしてる」


「本当?それならいいんだけどねぇ。修ちゃんはどこか抜けてるところがあるから……。

 そうそう、こっちは父さんと適当にやってるから、気にしないでいいからね?」


「分かってるよ」


 そんな遣り取りをしている場所は、何時の間にか修一郎の実家に変わっていた。

 台所で母と二人きり、母は流しに立ち、修一郎は食事に使うテーブルに着いている。

 生まれてから二十年以上、見慣れた台所の風景だ。


「で?どうなの?」


 ガスコンロにヤカンをかけ、お茶を淹れる準備をしながら、母が背中で訊いてくる。


「どうなのって、何が」


 修一郎は、テーブル越しにその姿を見つめていた。


「あっちで“いい人”でも見つかったかってことよ。

 修ちゃんは女性の扱いが下手だからねぇ。あの、なんて子だっけ?大学時代に付き合ってたって子。

 あの子がお嫁さんに来てくれるとばかり思ってたのに、何時の間にか別れちゃって……」


「いい人って……。と言うか、母さん!彼女のことは別にいいだろ!?

 お互い納得ずくで、ああいう結果になったんだから!」


 何故、母がそのことを知っているのか疑問に思わなくもなかったが、あまり思い出したくない過去の話に、修一郎はむきになっていた。


「良くないわよ。あんたもいい加減、身を固める歳になったんだから」


 息子に背を向けたまま、母は軽くため息を吐く。

 その背中は、やけに小さく見えた。


「俺には結婚なんて……早い、よ。だいたい、俺はまだ二十……四……」


 そこまで言いかけて、漸く修一郎はおかしな事に気付いた。

 何時の間に、会社から実家へ戻ってきたのだ?

 先輩はどこに行った?

 自分の息子にまで自慢するほどの見事な黒髪であった母が、まるで八十過ぎのような白髪頭になっているのは何故だ?

 今、自分は二十四歳と言いかけたが、ついこの前、三十五歳になったことを嘆いていなかったか?

 そして何より、何故、自分は“こちらの世界に戻ってきている”のだ?

 先ほどは、疑問に感じていたことを、こうも短時間のうちにそれらがすっぱりと抜け落ちても、気にならなかったのは何故だ?


「あぁ……」


 そこまで考えて、修一郎は理解した。

 これは、夢だ。

 向こうの世界で倒れた自分が見ている、夢なのだと。

 それが分かってしまったため、懐かしさや切なさが入り混じり、修一郎は言葉を続けることが出来なかった。


「見つけたんでしょ?“いい人”。ちゃんと想いは伝えたの?

 修ちゃんを好きになってくれる人なんて、そうは居ないんだから、あんたがしっかりしないでどうするの」


 夢の中の母は、相変わらずこちらに背を向けたままである。

 しかし、お説教じみたことを口にしているのにも拘らず、その声音は修一郎を優しく諭すようにも、励ますようにも感じられた。

 これは、我が母ならこう言うだろうとの修一郎の経験に基づく記憶が再現させたものなのか、それとも全くの想像によって創られたものなのか、自分自身にも分からない。

 だが修一郎には、母の言葉が、何故か母自身の想いから発せられたものとしか思えなかった。

 だから、こう答えた。


「……そうですね。折角、彼女を護ることが出来たんです。

 私の想いを伝えるためにも、戻らなくてはなりませんね」


 いつもの柔和な笑みを浮かべた修一郎は、着慣れたマリボー商店の制服姿に戻っていた。

 夢と分かっていながらも、十数年ぶりに再会した母に対して、精一杯の感謝を込めた声で修一郎は別れの言葉を告げる。


「行ってきます」


 気付けば、世界が強烈な光によって徐々に漂白され始めていた。


「ええ。頑張んなさい……」


 眩い光の中、振り返った母の顔は既に見えなかったが、それは確かに微笑んでいたと修一郎には感じられた。






「……ん……」


 修一郎がゆっくりと瞼を開けると、そこはやけに薄暗い世界であった。

 ぼやけた視界の中、目だけを動かして周囲を見渡す。鮮明ではなかったが、その光景には見覚えがあった。

 普段から世話になっている、調薬士の診察室だ。その部屋の一角に据えつけられているベッドに、修一郎は寝かされていた。

 室内の暗さから察するに、今は夜なのだろう。跳ね上げ式の雨戸は閉められており、少し離れた壁にかかった、三つの術石製ランプが全て灯されているのが、それを証明している。

 視線をさらに動かしてベッドへと移すと、そこには最も会いたかった人の姿があった。

 寝かされた修一郎の右手をしっかりと握り、ベッドへ顔を半ば埋めるように眠っているソーンリヴである。

 まるでドラマか映画のワンシーンのようだ、と思いながらも、修一郎はその寝顔を見つめる。

 あまり寝ていないのか、目の周りには隈ができており、瞼は赤味を帯びて厚ぼったくなっていた。頬には涙の跡も見てとれる。

 どうやら、随分と心配をかけてしまったらしい。

 声をかけて起してしまうのも悪いと思った修一郎は、黙ってその寝顔を見つめ続けていた。

 暫くそうしていると、やがて診察室の扉が開かれ、恰幅の良い人間族の中年女性が現れた。


「おや……!」


 声を上げようとする調薬士の女性に、目で意図を伝える修一郎。

 調薬士はそれを分かってくれたのか、笑顔で一つ頷くと、静かな足取りでこちらへと近づいてくる。


「どうだい、身体の調子は?」


 眠っているソーンリヴを起さぬよう、出来るだけの小声で問い掛けてくる調薬士に対し、修一郎が応えようとして発した声は、自身が驚くほどに掠れていた。


「なんとか……生きてるといった……ところですか」


「そりゃあそうさ。お腹の傷は内臓こそ無事だったけど、かなり酷かったからね。

 そのうえ、あちこち火傷だらけで……今も、声を出すのが辛いんじゃないかい?」


「…………」


 女性調薬士の言うとおりであったので、修一郎は黙って僅かに頷くに留めた。


「魔法が効けばねぇ。もう少しはましだったんだろうけど。

 あとちょっと手当てが遅かったら、あんたはベッドの上じゃなく土の中で寝てただろうね」


 縁起でもないことをさらりと言ってのけ、調薬士は不器用に片目を瞑る。


「ありがとう……ございます」


「ああ、いいよいいよ。喋んなくて。

 あと、お礼ならプレルとラローズだっけ?あの二人に言うんだね。

 いきなり押しかけてきて、怪我人が出るかも知れないから来てくれ、なんて言われてついて行ってみれば、本当にあんたが大怪我負ってんだもの。びっくりしちゃったわよ」


 声こそ潜めていたが、大袈裟な身振りで当時の様子を教えてくれる女性調薬士。


「それよりこの娘なんだけどさ、別室にベッドを用意してあるんで、そっちに運ぶからね?

 何度も止めたんだけど、どうしてもあんたの傍を離れたくないって言い張るもんだから、ちょっとお茶に細工を、ね」


 どうやら、修一郎がここに運び込まれてからずっと、ソーンリヴは付きっきりで看病してくれていたようだ。

 痛む身体を我慢して顔を動かし、ベッド脇のテーブルを見る。そこには、水差しやタオル、塗り薬と思しき薬品名の書かれた壷などが置かれていた。

 それらから視線を調薬士に向けると、彼女は修一郎の言わんとすることを察したのか、声を潜めたまま答えてくれた。


「あんたは四日ほど生死の境を彷徨ってたんだよ。何とか持ち直したのが二日前。

 その間、この娘は殆どここから動いてないし、ろくに寝てもいないのさ」


「…………」


 その事実に、修一郎は僅かに顔を歪める。ソーンリヴに、一週間以上も心配させていたことに思い至ったからであった。

 勿論、あの時は自分の命と引き換えに彼女を護るつもりでいた。

 コタールが、自らの身を挺して修一郎とフォーンロシェを助けてくれたように、修一郎もなんとしてでもソーンリヴたちを助けたかったのだ。

 結果的に、その願いは叶ったのだが、もしあの場で修一郎が命を落としていたら、コタールを喪った際に味わった悲しみを、ソーンリヴにも味わわせることになっていただろう。

 自分であんな思いは二度としたくないと言っておきながら、他人にはそれを強いる破目になっていたかも知れないのである。

 ソーンリヴや、他の皆からのどんな叱責も甘んじて受けなければならないと、修一郎は覚悟を決めた。


「それじゃ、運ぶよ」


 そう言って、恰幅の良い調薬士がソーンリヴを軽々と抱き上げる。

 しかし、タイミングが良いのか悪いのか、丁度それに合わせて市庁舎の大鐘が鳴り始めた。

 大鐘四つの後に、教会の子鐘が二つ。修一郎の世界で言えば、午後八時になったようだ。

 ソーンリヴの顔を見つめながら、修一郎がぼんやりとそう考えていると、抱きかかえられた際の揺れと鐘の音で眠りから覚めたのだろう、調薬士の腕の中で深藍色の髪をした女性がゆっくりと目を開いた。

 最初に、自分を抱えている女性調薬士の顔を見て、次に修一郎へと視線を動かしたソーンリヴの表情が一変する。


「ありゃ、起きちゃったのかい……」


 調薬士は軽くため息を吐くと、仕方ないとばかりにソーンリヴを降ろして、立たせた。


「……シュウイチロウ……」


 調薬士から開放されたソーンリヴは、その場に棒立ちになったまま、ベッドで横になり顔だけ彼女へと向けている男の名を呟く。


「なんとか……戻って、きましたよ……」


 喉の痛みを我慢しながら、修一郎は掠れた声でソーンリヴへ話しかける。

 もう二度と聴くことが出来ないかも知れないと思っていた、想い人の声を耳にして、ソーンリヴの中の感情が溢れ出したようであった。


「シュウイチロウ!」


 目に大粒の涙を浮かべながら、彼女は修一郎のベッドへと駆け寄った。


「もう……、もう目を覚まさないのかと思ったじゃないか!」


 その勢いのまま、修一郎の首に腕を回すようにしてソーンリヴが抱きついてきたため、衝撃で修一郎の全身に激痛が走る。

 だが、ありったけの精神力を動員して、修一郎は口から出かかった呻き声を飲み込んだ。

 下手に声でも上げようものなら、また彼女を心配させてしまう。

 そして、何より修一郎自身も嬉しかったのである。


「あんな無茶をして!死んでしまったらどうするつもりだったんだ!」


 涙に濡れた瞳を吊り上げ、ソーンリヴは修一郎を責めたが、当の修一郎は、彼女の見せた素直な感情の発露と、初めて目にする泣き顔が新鮮に感じられ、思わず口許が弛んでしまう。


「笑い事じゃない!どれだけ私が心配したか分かってるの!?」


 口調までいつものような男言葉ではなく、年頃の女性のそれに戻っているソーンリヴ。

 痛む喉で再び応えようとした修一郎に先んじて、調薬士が窘める。


「ソーンリヴさん、シュウイチロウはね、喉を傷めててあまり喋れないんだ。

 それに、意識は戻ったとは言え、まだまだ安心できる状態じゃないんだよ。今回はその辺で許しておやり」


 はっとした表情で修一郎の顔を見るソーンリヴであったが、異世界から来た男はいつもの柔和な笑顔を浮かべ、心配いらないとばかりに黙って頷くだけであった。


「それから。シュウイチロウが目を覚ましたんだから、あんたも一度休みなさい。

 あんたが倒れてしまったら、今度はシュウイチロウが心配することになるんだからね。

 隣の部屋にベッドを用意するから、今晩はここに泊まっていきな。

 シュウイチロウの様子は、あたしが時々看に来るから」


 修一郎がここに運び込まれてから、ずっと付っきりだったソーンリヴに一言釘を刺すと、調薬士は部屋を出て行った。

 先ほど、既にベッドの用意はしてあると言っていたはずだが、ここは彼女が気を利かせてくれたということなのだろう。

 診察室に、修一郎とソーンリヴの二人が取り残される。


「す、すまない、シュウイチロウ。つい、取り乱してしまって……」


 修一郎の首に回していた腕を名残惜しそうに解きながら、ソーンリヴが弱弱しい声で呟く。

 それを見た修一郎は、僅かに顔を左右に振って、大丈夫だと言わんばかりの笑顔を見せた。


「それじゃあ、私は隣に居るから……。もし、何か必要な時は、物音を立てるなりして教えてくれ」


 そう言って、踵を返そうとしたソーンリヴを、修一郎の掠れた声が引き留めた。


「待って……くだ、さい……」


「シュウイチロウ、喋るなと言われているのだろう?無理をするな」


 少し落ち着いてきたのか、ソーンリヴの喋り方は普段のそれに戻りつつあった。


「いえ……これだけは……今、言って、おきたい……のです」


「え……?」


 続けて喋るのはどうしても辛いらしく、途切れ途切れになりながらも修一郎は続ける。


「愛して……います。ソーンリヴさん」


「…………!」


 掠れた声で紡がれたその言葉は、ソーンリヴの耳から入り、徐々に全身へと拡がっていく。

 そして、それが身体の隅々まで行き渡った時、告白された者は、告白した者へと再び抱きついていた。

 こうして、二人の想いは通じ合い、診察室からは涙混じりの女性の声が暫くの間、聞こえることとなったのである。




「まあ、これで一件落着なのかな」


 診察室の扉の外に、見舞いのために訪れていたルキーテが、安堵の笑顔を浮かべて立っていた。

 扉を開けようとノブに手をかけたところに、修一郎のあの台詞が耳に飛び込んできたため、ルキーテは既の所で踏みとどまったのだ。

 その後、短いが大切な二人の時間を何者にも邪魔されることのないように、まるで門番よろしく扉の前で腕を組み、仁王立ちする虎人族の少女が居たことを室内の二人は気付くことはなかった。






 修一郎が調薬士の元へ運び込まれて、約一月半が経過しようとしていた。

 調薬士の腕が良かったのか、それとも本人に意外な体力があったのか、はたまた献身的に看病してくれる先輩事務員と虎人族の少女のおかげか、回復は順調であった。

 体内に作用して効果を発揮する魔法は一切効かない体質のため、腹部の傷は完全に癒えてはいなかったが、体中の火傷は調薬士特製の塗り薬と飲み薬によって、ほぼ完治しており、普通に会話も出来るまでになっていた。

 修一郎の容体が安定してからは、マリボー商店の同僚やプレル夫妻、レベックやバランダといった職人連中が入れ替わり立ち代りで見舞いに訪れるので、修一郎がベッドで暇を持て余すことは殆どなかった。


「そうですか。流石は社長というか、商人の鑑と言うべきか……。

 まあ、王都の件をかなり根に持っていらしたようですからね。今回のことと併せて、これで存分に溜飲を下げることが出来たでしょう」


 今は大鐘四つに子鐘一つ(午後七時)。仕事を終えたゼリガとソーンリヴが、修一郎の元を訪れており、店の襲撃事件の顛末を聞き終えたところである。

 ソーンリヴは修一郎が倒れてから一週間半ほど修一郎に付っきりであったため、その間のことについてはゼリガやイルーたちからある程度聞いていたのだが、全てに決着がついたのが今日の午後であったのだ。


 要約するとこうである。

 王都アーオノシュの支店事務員の病気と事故は、やはりロフォル・マゴールの指示によってリバロたちが引き起こしたものであった。

 また、マリボー商店の資金繰りが悪化しているとの噂を流したのも、リバロの手引きによるもの。事務員二人に関してはリバロとその相方が直接手を下したようだが、噂は容易に元を辿らせないように、カネで雇った数人の者を使って流したらしい。

 そして、アーセナクトの本店での騒ぎについては、ロフォル自身がマゴール商店と取引のある中堅商人や仕入れ業者に圧力をかけていた。

 銀製食器の大量発注と納入直前のキャンセルや、王都とナダルヌからの納品数を故意的に間違えさせるといったことで、マリボー商店を混乱させるように指示していたことが判明している。

 リバロと相方の男や交渉役は、ロフォルが送り込んだことが人質となった者たちの証言と、リバロたちの尋問によって判明しており、既に警護団から騎士団へと所轄が移されている。

 ちなみに、尋問は魔法院職員立会いの下、専用の魔法が使われ、前述の悪事が全て判明することとなった。

 所轄が警護団から騎士団へと移されたのは、彼らが重犯罪人として扱われることが決まったためで、その中には当然の如くロフォル・マゴールも含まれていた。

 そのロフォル・マゴールであるが、魔法院や警護団の一部の要職にある者と金銭による癒着が取り沙汰されることとなり、これも騎士団によって両組織の一斉捜査及び検挙が行われている。

 マゴール商店は商人組合から除名。店主であり全ての元締めであったロフォル・マゴールが捕縛されたこともあり、店はこの一月で見る見るうちに寂れていったらしい。

 一方的な取引を強いられていた業者はもちろん、マゴール商店の傘下にあって、そのお零れに与っていた商人たちも、素早く離れていったようだ。

 無論、これらは被害者であるマリボーが率先して、法に触れないぎりぎりの線で様々な駆け引きや工作を行った結果でもあった。

「信用を築き上げるのは五年、信頼を得るのは十年必要だが、信用を失うのは五日、全てを失うのは十日で足りる」と、商館から戻ってきたマリボーが漏らしていたらしい。

 店が被った損害に関しても、しっかりとマゴール商店に賠償させている。大量の銀食器の買取りだけではなく、リバロの魔法によって焼失した調度品などもそれに含まれていた。

 プレルが割った窓ガラスもこっそりと紛れ込ませているあたりは、マリボーらしいと言える。


 しかし、ただ一つ、後味が悪いことがあった。

 間諜としてマリボー商店に潜入していたルードは、バランダと壮絶な戦いの後、一時は捕まったのだが、一瞬の隙を突いて隠し持っていた毒を呷り自害してしまったのだ。

 死者を蘇生させることは、いかな魔法が発達したこの世界でも不可能であり、彼の真意がどこにあったのかは分からずじまいである。

 一つだけ分かったことは、ルードとリバロは……本名はブレブスというらしいが、あの時ルードが漏らしたとおり、兄弟という関係にあったのは間違いないらしい。

 尤も、マゴール一族に連なる者の“戯れ”による腹違いであったようだが。

 ただ、いずれにせよ捕まればリバロたちと同じように重犯罪人として扱われることは間違いなく、待ち受けていた結末は変わらないと言えるかも知れない。


「ま、何にせよ、これで正真正銘の一件落着ってわけだ。

 あとは、シュー。お前さんが店に戻ってくるのを待つばかりってとこだな!」


 マゴールの手先であったとは言え、一時は部下として接していたルードの死に思う所はあるのだろうが、ゼリガは明るい声で話を締め括った。


調薬士せんせいの話だと、あと半月もすれば普通の生活に戻っても構わないそうですよ。

 皆さんにはご迷惑をかけてばかりで心苦しいのですが、もう少しの間辛抱していただければ……」


「なぁに、事務のほうはジスが助っ人で入ってくれてるし、今の時期はそれほど忙しいわけでもねぇから心配すんなって。

 まあ、別の意味で辛抱しなきゃいけない奴が居るのは、確かだけどよ」


 ベッドの上で半身を起して頭を下げる修一郎に、ゼリガは陽気に笑いながら応じ、その後意味ありげな視線を同僚のソーンリヴへと向けた。


「どっ、どういう意味だ、ゼリガ!私は別に……」


 犬人族のひやかすような物言いに、深い藍色の髪を持つ人間族が顔を上気させて反論しようとする。

 修一郎とソーンリヴが両想いとなったことは、既に店の全員の知るところとなっており、特にゼリガなどは事ある毎に、こうやって彼女をからかっているようだ。


「ソーンリヴさんは、毎日来てくれてますからね。私は、それほど寂しくは感じていませんよ」


 修一郎はと言うと、ゼリガの揶揄にもこうしてあっけらかんとして応じるため、ターゲットとなるのは専らソーンリヴであった。


「おーおー、相変わらずおアツイことで。

 さて。腹も空いてきたし、俺は先に帰らせてもらうか。

 シューが復帰したら、今度こそ例の宴会を開こうぜ。今から楽しみにしてるからな」


 ひとつ肩を竦めると、快活な犬人族はそう言い残して病室を出て行った。

 例の宴会とは、クローフルテとラローズの婚約発表のことである。あの日の夜に、それが予定されていたのだが、リバロたちの襲撃によって中止を余儀なくされ、期日未定の延期となっていたのだ。

 修一郎は、自分に構わず皆で祝いの会を開いてもらって構わないと言ったのだが、当事者であるクローフルテとラローズが、口を揃えて修一郎の快気を待ってからにすると譲らなかった。

 ゼリガが退出し、二人きりになった途端、ソーンリヴは修一郎に恨めしそうな目を向ける。


「まったく……。シュウイチロウも少しは反論したらどうなんだ。

 毎度毎度、からかわれる私の身にもなってみろ」


「反論も何も、私がソーンリヴさんを愛していることは事実ですからね。ゼリガさんも、悪気があって言っているわけではありませんし。

 ああいうのは、お祝いの言葉と受け取っておくのが一番ですよ」


 いつもの笑顔で応える修一郎。


「よくもまあ、照れずにそんなことが言えるものだ」


 呆れた口調で返すソーンリヴであったが、その表情はまんざらでもなさそうである。その証拠に、彼女の顔は熟れたトマトのように赤かった。


「そりゃあ、私ももう三十五歳ですからね。両想いにもなれたのですし、それがバレたところで一々照れるような歳でもないですよ」


「……ちょっと待て。三十五!?シュウイチロウは私より年上だったのか!?」


 予想だにしていなかった事実に、ソーンリヴの声が高くなる。


「そうですよ……って、え?ソーンリヴさんも同い年くらいだと思ってたのですが、違うのですか?」


 思わず問い返してしまった修一郎だったが、よくよく考えればこれはかなり失礼な質問であっただろう。


「私はまだ二十四だ!」


 案の定、ソーンリヴの声に僅かな怒気がこもる。

 ベッド脇の椅子に腰掛けていたソーンリヴはそう叫んだ後、体ごとそっぽを向いて大仰に項垂れた。


「シュウイチロウは、私をそんな目で見ていたのだな……」


 口調も、わざとらしく落胆の色を多量に含ませている。

 明らかに修一郎をからかっているのだが、恐らく何割かは本心であろうことも容易に想像がつくあたり、厄介であった。


「い、いや、それはですね……」


 むくれてしまったソーンリヴに対し、自分が居た世界では、修一郎のような東洋人は西洋人に比べて若く見られやすいこと、逆に西洋人は東洋人から見て大人びて見える場合が多いこと、東洋人と西洋人の違いなどを、しどろもどろになりつつも説明する修一郎。


「そ、それにソーンリヴさんはいつも冷静で落ち着いていて、頼り甲斐があるというか……」


 自らの墓穴を広げていることに薄々気付いていながらも、弁明を続ける修一郎だったが、不意にソーンリヴは向き直って口を開く。


「歳の件はもういい。

 私もシュウイチロウのことを、出会った頃は頼りなさそうな奴だと思っていたんだしな。

 お互い様ということにしておこう」


 その言葉に安堵しかけた修一郎に、不満げな表情でソーンリヴが続ける。


「だが、その呼び方だ。それだけは、やはり納得いかん」


「え?」


「ソーンリヴとは私の家の名だ。私にもちゃんとした名前がある。

 シュウイチロウには名前で呼んで欲しい」


 これには修一郎も困惑した。第一、マリボー商店に就職して以来、ソーンリヴの名前など一度として耳にしたことがなかったのだ。

 そもそも、顔合わせの時にも、彼女は自分のことをソーンリヴとしか名乗っていない。

 情けない表情でその旨を告げると、今度はソーンリヴが口ごもることとなった。


「そ、そう言えばそうだったかな。あ、あまり私に似合わない名前な気がしてな。

 他人には、滅多に名前を教えるようなことはしないんだ」


「では、教えてください。次からはその名前で呼ぶようにしますから」


 修一郎が促すと、ソーンリヴは赤かった顔を更に紅潮させて小さく呟く。


「……メルレア。メルレア・ソーンリヴだ」


「メルレアですか。うん、可愛らしい良い名前じゃないですか。

 では、これからはメルレアさんと呼びますね」


「その可愛らしいと言われるのが嫌で、名前で名乗ることはしなかったんだ。

 だが、シュウイチロウに呼ばれるのは……わ、悪い気はしないな。けど、『さん』はいらない。呼び捨てでいい。

 それと、他人の前では今までどおりソーンリヴと呼んでくれ」


 苗字で呼ぶなと言ってみたり、かと思えば他人が居る場所では苗字で呼べと言ってみたり、滅茶苦茶な要求であったが、修一郎はそれを了解した。

 修一郎が想いを告げ、ソーンリヴがそれを受け入れて以降、彼女はしばしばこうやって甘えてくることがあった。


「分かりました。ですが、今は二人きりなので名前で呼んでも構いませんよね?

 愛してますよ、メルレア」


「……お前は、ずるい奴だ」


 拗ねた子供のような表情で修一郎を見上げるソーンリヴの顔は、相変わらず真っ赤であった。

 だが、そんな表情も愛おしく感じてしまうのは、惚れた弱みというやつだろうか。


「ずるくて結構。

 そもそも、この街にやってきて、マリボーさんのお世話になることに決めたのは、あの店でソーンリヴさんを見かけたのが理由なのですから」


「……え?わっ……」


 それまで誰にも明かしたことのない事実を口にしながら、修一郎はソーンリヴを抱き寄せた。

 実のところ、修一郎がこの街で家を購入すことに決めたもう一つの理由というのも、ソーンリヴの近くにいたいという思いがあったからである。


「誰にも言わないでくださいね?」


 ゆっくりと二人の顔が近づく。


「こんなこと他人に言えるか、馬鹿者。

 それに、また家の名で呼んでるぞ」


「それは、すみません」


 互いの瞳に、それぞれの恋人の顔が映りこんでいた。


「……今回だけは許してやる」


「優しいメルレアが大好きです」


 既に、相手の息遣いがはっきりと分かるまでに、二人の距離は近くなっていく。

 そして、修一郎とソーンリヴは口づけを交わした。






「おい、シュー。ダリンからの荷物が届いたぜ」


 いつものようにノックもせずに、事務室の扉を開けて入ってきたのは犬人族のゼリガである。

 季節は、夏の二の月(六月)になっていた。

 日本の梅雨とは違って湿気こそないものの、それでも日中は暑い日が続いており、修一郎たちの制服も夏用に変わっている。

 と、言っても、長袖が半袖になって、服の生地が木綿から風通しの良い麻に変わっただけであったが。


「ご苦労様です」


 ゼリガから納品板を受け取ると、修一郎はそれをソーンリヴへと渡す。


「ソーンリヴさん、これ、お願いします」


「分かった」


 メガネをかけたソーンリヴは、記帳作業の手を止めることなく、片手で納品板を受け取った。


 修一郎が職場復帰を果たしてから、これといった問題が起こることもなく、平和な日常が続いている。

 変わったことと言えば、販売部門のレナヴィルがアーオノシュ支店へと移ることになり、店頭販売員が二人になった程度か。

 何時の間に、そしてどうやったのかは知らないが、ブルソーは見事レナヴィルの心を射止めたようで、近々結婚するらしい。

 ルードが抜けた流通部門は、既に新しい従業員が補充されていた。

 それと、変化と呼べるか微妙なところだが、もう一つ。

 修一郎とソーンリヴの二人が、正式にマリボー商店の店主補佐に任命されることとなった。

 これは、元々マリボーと息子のブルソー二人で行っていた仕入れ関係の仕事が、ブルソーの支店店主就任に伴ってマリボーのみとなったことで、他の業務に影響を及ぼし始めていたためだ。

 尤も、以前から修一郎は仕入れ交渉のような仕事を何度か経験していたし、マリボーが不在の際にはソーンリヴが他の従業員に対して指示を出すことも度々あったので、“実”に“名”が漸く追いついたといったところである。


「そう言や、新人の面接は今日だっけか?」


 既に油を売る気満々のゼリガが、壁際に置かれていた予備の椅子を引っ張り出して腰を下ろしており、自分の机に戻った修一郎に問い掛けた。


「ええ。大鐘三つに子鐘二つ(午後二時)にこちらへ来られることになっていますね」


 制服の胸ポケットから手帳代わりの羊皮紙の束を取り出して、そこに記された内容を確認した修一郎が答える。

 ゼリガの言う新人とは、レナヴィルの抜けた販売部門の補充従業員のことだ。雇用するにあたって、事前に面接を行うのは、どの世界でも変わらない。


「さっき子鐘一つ鳴ったから、そろそろ来てもおかしかねぇな」


「そうだな。だからゼリガ、もう少しちゃんとしておけ。

 新人になめられても知らんぞ」


 ソーンリヴがちくりと刺すが、陽気な犬人族は一向に効いていないようである。


「固いこと言うなって、ソーンリヴ。

 どんな娘か見てみたいと思うだろ?なあ、シュー」


「なんで私に振るんですか!」


 ある方向から微かに漂い始めた冷気に気付いて、修一郎が情けない顔で応じようとした、その時。

 控え目なノックと共に、事務室の扉が開いた。


「失礼します。面接のことで伺ったのですが……」


 ハーフリング族の女性が、おずおずと事務室へと入ってくる。

 どうやら、彼女が今話していた雇用予定の新人らしい。

 子鐘二つにはだいぶ早かったが、応対しないわけにもいかない。

 修一郎が相手をすべく立ち上がり、その女性へと笑顔を向けた。


「ようこそいらっしゃいました。生憎、店主は出かけておりまして。

 お伝えしていた子鐘二つまでには戻るとのことですので、応接室でお待ちいただけますか?」


「は、はい」


 長身の修一郎を文字通り見上げながら、緊張気味のハーフリング族の娘が答える。

 前任のレナヴィルとは、また違ったタイプの販売員が増えることになりそうだ。


 ある者は去り、また新たな者がやってくる。

 平和であったり、波乱に満ちていたりする日常は、こうやって街や国、そして世界を、少しずつ変えていくのだろう。

 そうでなければ意味がないし、そうでなければ面白くない。


 いつもの柔和な笑みを浮かべ、修一郎はその娘に告げた。


「では、ご案内しましょう。

 ああ、申し遅れましたが、私はシュウイチロウ・ヤスキといいます。この店で事務員をしています」





 これで、『街の事務員の日常』の本編は終わりとなります。

 二つの余話を含め、約八ヶ月という長くて短いような期間でしたが、この作品にお付き合いいただき、ありがとうございました。

 余話に関しては、もう少しだけ続きますが、取り敢えずの完結となります。

 読んでくださった方はもちろん、評価してくださった方、お気に入りに登録してくださった方、感想を書き込んでくださった方、全ての方に感謝いたします。

 本当に、ありがとうございました。


 また、別の作品でお会いすることがありましたら、ちらりとでも覗いていただければ幸いです。


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