調理室での先輩後輩
ウランによるカットイン入ります。
アストライア医療班、というか私ことラグナと先輩は、調理室に来ていた。
何でも子供艦長が風邪をひいたらしく、あの冷血ショタコンメイドがお粥を作れと命令を下してきたのである。
んなもん自分で作れという話なのだが、文字通り付きっきりで看病したいらしく、お粥を作る時間も離れるわけにはいかないとか何とか。
私とて不満がないこともないのだが、強くでることはできない。居候に発言権がないのは世界共通だ。
そんなわけで、ご都合主義よろしくお粥を作ってとどけ、今からその後片づけをするところである。
終わった。片づけが、である。
いや、ご都合主義さまさまだね。
「あー、駄目ね、これ」
先輩は ホットケーキの元 を 見つけた!
「全っ然駄目。そもそも、砂糖が小麦粉より少ない時点で話にならないわ」
先輩の料理はおいしい。
その腕前は調理班でさえ舌を巻くほどだ。
しかし、先輩は料理でここまで一方的な批判はしない。
いや、そもそもアストライアの調理班にそんな料理下手な奴などいないのだ。
現に、よく調理班の方々と料理を褒め称え合っている姿を見かける。
だがしかし、お菓子となると話は別になる。
先輩は自称お菓子作りが趣味で、他の料理はその過程で学んだ技術を応用しただけの副産物にすぎない、とか。
そう、だから、あまりお菓子作りに精通しているとは言い難い私ですら「それはどうなんでしょーか?」などと言いたくなるような先程のコメントも、きっと私の予想のつかない遥か高みにいるからこその、まさにお菓子作りの神のような一言なのだろう。
「まぁ、もったいないし、少し手を加えればなんとか……」
というか、私は未だに先輩の手作りお菓子を食べたことはない。
何故か、先輩の料理を食べようとすると、私はいつもいつの間にか寝ているのだ。
確かに先輩に勧められてお菓子を手に取ったところまでの記憶はあるのだが、気がつくと病棟煉のベットで寝ているのである。
まぁ、私が病棟煉のベットで居眠りすることなど珍しくもない。
以前、お菓子を食べた形跡のある霧川に感想を聞いてみたら、虚ろな目で四肢を痙攣させ、「……エクレア……ェクレア……」などと生気のない声で呟いていた。
……そんなにおいしいのだろうか?
「ラグナっ、できたわよ!」
早っ。
「はい、ホットケーキ」
「……どうもです」
先輩から渡された丸型のパン生地。
綺麗に焦げていて、なおかつ焦げすぎなところは猫の額ほどもない。
甘い、いい匂いがする。嗅いでいるだけで幸せになりそうな匂いだ。
「…………」
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「ラグナ? あちゃー、またかー。よろこんでもらえるのは嬉しいんだけど、毎度気絶されると感想が聞けないっていうか、先輩の料理おいしいですえいやそんなー(照)私結婚するなら先輩みたいな人がいいですえそそんなラグナ先輩ラグナ先輩うふふふふふふ……………………」
結局、今日も先輩お手製のお菓子は食べられなかった。
私が起きた時には買い出しに行ってた霧川と調理班の女が戻ってて、ホットケーキはもう残っていなかったのである。
私はその後、はらいせに屍のような表情をしていた二人を適度にからかっておいた。