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8. 病院編 再び蘇る悪夢

院長様に呼ばれてから一時間ほどが経ったのだが、誰も来る気配がなかったので、(わたくし)に準備してくださった部屋を出た。ちなみに院長室の隣だそうであまり大きい音を出すと怒られるので本当にそっと出た。

「あらソフィア」

「っ!?」

そこにはアメリア=クロバックルがいた。アメリアは(わたくし)から元婚約者を奪ったのです...!ちなみにメンデル皇子ではないので、結構昔の婚約者を...ですわ。しかし、聖女の力が婚約破棄の少し前に見つかっていたので元々(わたくし)の方からやむを得ないので破棄するつもりでしたのでお互い良かったのかもしれませんね。ちなみに(わたくし)は婚約破棄をその時はされていないのです。お互い事情があったので自然消滅のような形でお互い接触禁止令を出されて終わった話だったはずなのに...

「ソフィアは”また”婚約破棄されたらしいわね。」

「前は貴女が奪い取ったからで...ですが、その時は婚約破棄をされていないわ」

と本当のことを言ったが、

「あら、負け犬の遠吠えね。"前は"って...今回は婚約破棄されたっていう事を自分で認めているじゃないの。やっぱり魅力がないのね。貴女らしくまた醜く泥水でも啜るといいわ」

と言って品のなく気味の悪い笑い声をしながら出ていった。もしかしたらアメリアの本性がばれて婚約破棄されていたり...と考えてしまいましたが人の不幸を聞いたり、知ったりして笑うのは良くないので(わたくし)はアメリアのことを忘れて何もなかったことにすれば相手の不幸を知らずにするからいいかもしれませんわ。それに『また泥水を啜るといい』...って(わたくし)啜ったことありませんよ…?

出て気分転換でもしようかと思いましたのに...出て早々よくない事が起きましたわ...アメリアには会いたくなかったのに...と部屋に出た自分を責めた。

「あ!ソフィア様!」

「シェルファ様ではないですか、どうかしたのですか?もしかして(わたくし)の治し方が甘く、きちんと治っていなかったのですか?」

「違います、違います!」

とシェルファ様が言うので何かあるから病院に来ているはずですので、(わたくし)は首を傾げて訊いてみました。

「何かあったのですか?もしかしてですがシルビアさんに何かあったのでしょうか...?」

「いえ...そうではなく...ソフィア様が来てくださっていた時に母が居ませんでしたよね?その母が病気を患っているらしく...治療方法はあるらしいのですが、母があまり身体が強くないので...悪ければその...治療が間に合わないかもしれません...それで(わたくし)は...!...その...怖くて...!病院へと押しかけてしまったのです。面会時間まで待つことになって今面会が許されたところでした...!ソフィア様!!(わたくし)を助けた時のように母を助けてくれませんか?」

これ程言われると断れないですし、(わたくし)は聖女ですので人々を癒やすのが(わたくし)を役目ですわ!!

(わたくし)が病室へと押しかけてしまってもよろしいのでしょうか...?」

「ソフィア様」

「院長様!!」

そこには院長室に引きこもっていた院長様が出てきていて(わたくし)の真後ろに立っていました。

「ソフィア様...私達は患者を救うのが役目です。しかし、私達に出来ない事もあるのです。ですので、どうか!助けてくれませんか?私達に出来ない事をソフィア様にしていただきたいのです!!」

...これでシェルファ様のお母様を助ける事が出来る!!

「ありがとうございます、院長様。(わたくし)は今すぐシェルファ様のお母様のいらっしゃるところに向かわせていただきます。」

「ソフィア様、頼みます。」

と一言だけおっしゃった院長様は院長室へとバタバタと走っていった。

「シェルファ様、お母様の病室へと案内してくださいますか?」

「喜んで!」

シェルファ様に連れられ、(わたくし)は病室へと向かった。

「トントントン...シェルファです、お母様いらっしゃいますか?」

「シェルファ...?大丈夫よ、入って」

「失礼いたします」

シェルファ様にだけ先に入ってもらいました。(わたくし)はお母様に了承を得てから入る事にしましたので...

「お母様、聖女様に来てもらっているのです。入ってもらってもよろしいでしょうか?」

「!?シェルファ?今なんて言ったの?」

「聖女様に来てもらっているのです。」

「聖女様?冗談はよしなさいよ。私の病気はもう治らないわよ、それでも私を少しでも安心させようとしたのでしょうね。誰かは分からないけれど入ってもらいなさい」

...聖女なんですが...

「失礼いたします。シェルファ様のお母様。」

「どうぞ。私の為にわざわざ来てくださってありがとうございます。聖女様だと聞いていますが無理はしなくてくださいませ。私は多分ですがもう助からない命ですので。」

...悲観的に考えすぎですよ

「少しお体に手を触れさせていただいてもよろしいでしょうか...?」

「いいわよ、勝手にしてください。」

集中して手の先に力を集める。見た目に変化のない傷を見つけて治すのは意外と力を使うらしい...

「聖なる力よ...(わたくし)に力を与えよ。そしてこの者を解析せよ!アナリシス!」

「...お母様、もしかして苦しいのは...膵臓という臓器ではありませんか...?」

「...膵...臓?何かしら...それは...私は臓器のどれかが悪いと言われているだけで臓器の名前を言われていないのでわからないわ...」

「...そうですか...今から検査を受けるのもありですが...私に少し治療を...癒やすことを許してくださいませんか?」

「...貴女の勝手にしてくださいと言ったわ、だから私に二言はないわ、勝手にどうぞ」

「失礼します...」

...膵臓という臓器は癌になるとなかなか見つからない、それに見つかったとしても末期の場合があると...

シェルファ様のお母様は末期である事は間違いない。症状が現れるのはとても遅いのに...病院側は治す当てがあるとでも思っていらっしゃるのかしら?(わたくし)の国でも(わたくし)が全て癌系統は治すのを担っていましたので...治す方法はないはず...

「聖なる力よ。(わたくし)に力を与えよ。そしてこの者の膵臓を解析せよ!アナリシス!」

追記:1/19 作品の話数のピリオドの後ろに半角スペースを足しました。

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