17. 魔法(?)練習(土地再生)
...私本当に何をしでかしてしまったのでしょうか...?
「聖女様!私の畑も作物が育つようにしてください!!」
「聖女様~...僕の畑がぁ~...」
「聖女様!!私のも...!!」
このような状態になっているのを見て、ユルネリさんがもしかして話したのかしら...と思いましたが、ユルネリさん本人がいらっしゃらないので、本当の事は分かりませんわ。ですが、私は本心からこの国の人々を救いたいのです。
「分かりました。順番に案内してくださるかしら...?」
そう私は言って、大体50人程度いる人達に一か所一か所案内してもらって再生魔法のような物を発動させて土地を使える状態にしていきました。
...そういえば私って何時の間に魔法のような物を使えるようになったのかしら...?
聖なる力と魔力は別物だから全然違う物の筈なのだけど...
魔力はマナから出来ていて人間には元々わずかながらですがマナを持っています。マナを身体に集めて元々体内にあったマナと混ぜて使っているのです。分かりやすく説明するのならば、自然界にあるマナは無色透明で自分自身は青色などだとすると、混ぜた際に色が少々薄まりますが青色のまま。即ち自分自身の色のマナになる。色が薄まるということは使いづけると将来的には体内のマナの色がほとんど無色透明になってしまうのです。そうすると、自分自身のマナと自然界のマナがほとんど一緒になるのですが、無色透明に近づくほど魔法使いは体調を崩す...体調を良くするためだと言って他の人が違う人に魔力を注入すると人それぞれ色が違いますので、注入された人は体調を崩します。ですので、魔力を使う人は使いすぎないようにする...と聞いています。
聖なる力は神様に祈りを捧げることで手に入る力だと言われています。ただただ神様に祈りを捧げるだけではなく、生まれながらにして魔力の量が膨大であること、神様に気に入られていることというのが条件なのだそうです。ですが、神様にも力を貸し与える上限はあるようで、一日に大量に消費してしまうと聖女自体の生命の存続の危機になるそうなのです。私は今まで力を使ってきてもまだ脱力感があまり感じられないので、力はまだ生命の存続に必要な量は残っているようです。
もし、生まれながらに魔力が多いからと魔法使いになった。だが、誤って人を殺してしまった。そうなると、神様はそのような人に力は与えないと言われています。人を殺した事がある人は手が血に染まっていると言います。一度そのような人に力を与えたそうですが何も使えなかったそうです。
...え?誰から教えてもらったかですって?勿論、小さいころに読んだ本のお話です。私の住んでいた国の絵本は話だけは正確だそうで...今でもその知識は役に立っていますの。
少し魔法の事について考えながら、魔法なのか聖女の力なのかよく分からない力を使って土地を再生させた。
―――再生魔法は人に使ってはならない。
私には回復魔法がありますので、大体の怪我などは戻すことが出来ます。
回復魔法が再生魔法と同じものだった場合は私はどうなるのでしょうか?神の怒りを受けるのでしょうか...?どうであっても私は人を助けたい一心でしたことだと割り切って受け入れることにしましょう。
「ありがとうございます!!聖女様!!」
「私の役目ですので、これからも何かあった際に気軽に呼んで下さい」
私がそう言うと何故か皆さんニコニコして帰っていくのです。私的には人助けを出来ているので別に良いのですけど...もしかして何かおかしなことをしているのではないでしょうか...?
――考えすぎるのもよくありませんね。
元々お昼を過ぎていたので少しずつ日が落ちてきていたのですが、いつの間にかほとんど日は落ちてきていて、そろそろ夜を迎えるような時間になっていた。なんとか10人程の土地を使える状態に戻すことが出来たので私的には満足です。
「申し訳ないのですが私の力不足で一日で皆さんの土地を癒すことが出来ませんでした...お時間のある人は明日また来てくださいますでしょうか...?」
私がそう言うと「絶対に俺達は来るぞ!」「無理はしないでちょうだいね!」「聖女様!ありがとう!」という声が聞こえた。
...私がしたこととは思えない程ですわ。
「皆さん、ありがとうございます!皆さんに良い事がありますように!」
そう言って力を金色っぽく光らせて周囲に撒いた。すると、皆さんどうしてか惚けたような表情をして帰っていきました。
...皆さんのお役に立てて何よりです?
元々疲れていた体に鞭うつように力を使ったので、ゆっくり今日は休もう...と皆さんと別れた後すぐに私が借りている部屋へと足を向け、布団に入り休眠することにした。
――そして私は宿の夕ご飯を食べれなかったのでした。