15. パレント王国探検(?)
「あのー...この近くに宿はありますでしょうか?」
「見ない格好だねぇ...宿...宿...あぁ!ここの道を真っすぐ行って右側をずっと見てたらパレ宿という宿があるよ。そこは値段が安い割に結構良いからね、おススメだよ。」
「ありがとうございます。あの、畑とかお持ちですか?」
「ははは、持ってるけどねぇ...そこまで広くは無いし、土地自体が痩せてるよ?それでもいいのかい?」
「持っているのですね!?見せてもらうだけで大丈夫ですので!」
と私はキラキラとした目で大きくうなずいた。
「変わった子だねぇ、まあ、いいや。意外と近くだしそれ程大きくないからついてきな」
そう言って私をわざわざ連れて行ってくださいました。
「ここだけどねぇ...って何してるんだい!?」
「聖なる力よ...私に力を与えよ。そしてこの土地を解析せよ!アナリシス!!」
親切な人の言っている事を無視して唱えてしまいました...
「すみません!!あまりにも気になってしまいまして...」
「最近の若い子は好奇心旺盛なんだから~で、何したんだい?」
...何もしないとは言っていませんが見せてもらうだけと言ってしまったので...少し心が痛いです。
「土地がどうして痩せているのかな...と気になってしまいまして少しだけ解析させていただきました...」
とばつが悪そうな顔で言うと、「そんな事ができるのかい!?」と驚かれてしまいました。
「正直に申し上げますと、水はけが良すぎる上に肥料が足りていないように感じられます。私は黒土や赤玉土を混ぜて保肥力や保水力を上げればいいのではないでしょうか...しかし私は腐葉土の材料となる葉などは出すことは出来るのですが...黒土や赤玉土は作ることが出来なくて...」
「大丈夫よ~お嬢ちゃんは普通の人より植物の栽培方法に詳しいのかい?育てたことが無い人だと分からないような事を言っているだけどねぇ...赤玉土や黒土は隣国で買うことが出来るし、国全体でこんな土だから国王様に言えば大量に輸入してくれるはずだしねぇ...腐葉土は近くに森林が無いから作れない。それに分解してくれる虫もいないからねぇ...」
「私に任せてくださいませ!」
そう言っててのひらに力を集め始めました。
「聖なる力よ...私に力を与えよ。そしてこの土地に葉を具現化させよ!エンボディメント!!」
...土地全体が小さいと言っても狭い訳ではないので大量に葉を具現化させてなくてはならなくて...力の消費が激しいです...ですが、分解するための虫を...!
「葉を分解せよ。==ディサセンブル==」
この土地に冷酷な声が響き渡った。
...今の何でしょうか...?私の声なのでしょうか...?聖なる力を与えてもらうように頼んでいなかったはずなのですが...そのまま言ってしまいましたわ...!効果が出ていないかもしれないと思い、ふと前を見ると親切な人が腰を抜かしていました。
「ば、ば、ばば、化け物...!」
え...?
私が化け物ですか...?
「三人称視点」
と小声で呟いて見てみるがあまり変わった点は無かった。強いて言うのならば少し周囲に力が溢れ出している事ぐらいでしょうか...?
「すまんね!誤解させてしまったかもしれんが、その、人間の域を超えた神業と言いたかったんだよ。その、私の畑を野菜の育てられる状態にしてくれてありがとうね。宿を探しているって言っていたからねぇ...お礼として一週間分の宿泊代金をあげるよ。これだけあったら数日だけの予定なら高い宿にも泊まれるからね」
「いえ、私がしたくてしたことですので、お礼は...!」
「こういう物は何も言わずに貰うっていうのが礼儀だよ、貰っときな、私の気分が変わる前に」
そう言って「ありがとうね」と言いながら去って行った。
...化け物じゃなくて本当に良かったですわ...前まで力が溢れ出すことなんてあったかしら...?
少し不思議だなと感じながら教えられたパレ宿へと向かった。
「すみません」
「おーいらっしゃい。初めて見る顔だねぇ、お嬢ちゃん引っ越してきたのかい?」
凄く親しげに話しかけて下さり、好印象を抱きました。
「いえ、隣国から来ました」
「へぇーわざわざ何で...?まぁ、いいや。まだ早いけどもう寝るのかい?予約かい?」
「予約です。先程親切なお母様に教えていただきましたの」
そう私が言って先程貰ったお金を出そうとすると、
「お嬢ちゃん...どうやってそのお金を手に入れたんだ?この国でしかそのお金は使っていないハズなんだが...」
そう言って目つきが鋭くなった。
「お母様の畑の土地環境があまり良くなかったので回復させてきたのです。そうしたら何故かお礼と言ってくださったのです。お礼は別に大丈夫ですと言ったのですが...」
「あぁ、そうなのかい?疑ってしまってすまんな。あそこのおばさんは頑固な事で有名だからね、くれるとは思わなかったんだ。好きな部屋を選んで泊ってくれ。」
そう言ってくださったので私は一番端の角部屋を選んで今までの疲れを癒すように布団に入ったのだった。
刻み始めました。
ソフィアです。
私は別に...!
聖女の力を欲する方が多いのが意外でしたわね...
私も聖女ですので出来る限り沢山の人の為になるように力を使いたいですわ...!
*刻み始めました。すみません*
追記:1/19 作品の話数のピリオドの後ろに半角スペースを足しました。