徒然なる日常
人間の本性は虚飾である。
外に出ると、恥が服を着て歩いている。
恥と服、果たしてどちらのほうが価値があるのだろうか。
また、生態系に与える悪影響に対して、人間が私利私欲のために享受している物は釣り合いが取れていない。
それに気づいた(あたかも、その地点で初耳だと言わんばかり)頃には既に手遅れで。
改善の為のプロセスは、営利に絡む。
上流から下流に川が流れるように、楽な方へと堕ちていく。
刹那主義的快楽を追い求め、堕落する。
かと思えば、虚無主義に傾倒し自○する。
本質主義は果たして人を幸せにするのか?
これらの愚鈍さが、人間が人間たる所以である。
僕は堕落しきったこの世界を再編する。
人間を再構築する。
「あぁ..やっぱり僕は人間が嫌いになれない。」
体を起こすと、雫がはらりはらり。
寝起きは痛烈な「鬱」が襲いかかってくる。
起きてから寝るまで首○りを夢想する。
「死」というものは、形而上であるが故に、裏切らない。
「生」には数えきれないぐらい騙されてきた。
僕には余裕がない。
「あー...」
思考の纏まりに対して、喉が詰まる。
大学を中退してから、二年間ニートをしている。
大学の近くに借りた、アパートの一室。
光熱・水道代、服、通信費などの諸々の生活費は全て親に払ってもらっている。
ちらりと目を向けると、棚には小説、映画のDVD。
パソコン机には飲みかけのお茶、食べかけのチョコレート。
床にはゴミが山積、その他は全て埃塗れ。
俺はここで孤独死をするものだと決めている。
実に心地が良い。
僕は人間と会話をすることがあるとすればコンビニ店員ぐらいである。
その僕が社会との関係性を完全に断ち切らないで済んでいるのはゴミの腐臭のお陰である。
ゴミの腐臭は実に人間的だ。
中身のゴミを外に漏れださせないようにビニール袋に入れる。
ビニール袋を縛ったところで、横にすれば汁はポタポタと縛り口から漏れ出す。
穴が開いていたり、逆さにしたりしても当然漏れ出す。
人間の罪が凝縮されたその鼻を劈く臭いと共に。
スマホを確認する。
時間は12:09
着信は無し。
通知はニュースアプリのみ。
ゴミを払いのけ、手をつく場所を確保する。
身を起こし、トイレに向かう。
ペットボトルに用を足していた時期もあったが、そのペットボトルの処理が面倒なので止めた。
放尿を終え、手と顔を洗う。
このタオルいつ洗濯したっけ?
コンビニに昼飯を買いに行くか、または、パソコンをするか。
今の時間帯に行くと、主婦にエンカウントをする可能性が高い。
井戸端会議をしている能無し連中。
ただ、これは迂回することで解決する。
問題は夜買いに行くことだ。
夜は非行少年がコンビニの前を占拠している。
こういう学生は礼儀というものを知らない。
ジロジロ人の顔を見たかと思えば、顔立ちが幼いだの、歩き方がおかしいだの陰口を叩く。
見下されている人間というのは、自分が見下されていることに気づかない。
総合的に判断し、導き出した答えは今、買いにいくことだ。
下着姿だったので、無地のシャツとズボンを着用する。
面倒だが、食わないと力が出ない。
錠を回し、扉と肩を接触させる。
僕はこの扉に対し、余りにも非力である。
アパートを出て、コンビニに向かう。
家からコンビニまでは直線で約400m。
迂回しながら行くので約600m歩くことになる。
コンビニで唐揚げ弁当を1個、幕の内弁当を1個購入し帰宅する。
僕は、王道しか食べない。
変化球で発売される、拝金主義的弁当は一切買ったことが無い。
自分がレールから外れていることに対しての一種の戒めだろうか。
家の重厚な扉を前にすると安堵する。
僕という存在はこの空間でしか事実上存在してはいない。
世界から隔離されている。
錠を閉め、弁当を冷蔵庫に入れる。
腹が極限にまで空いてから食う弁当が一番美味い。
パソコンを徐に確認する。
スパムメールだらけのメールボックス。
インストールだけして全くやっていない無数のエロゲアイコン。
僕は昨日と全く変わらない日常を送るのだ。