私、橘楓。 vol.006. 「何で私が前なのよ…。」
「さっすがに…恒例の花火大会…。この時間でこの人か~!」
と、慎二。
5人が吉祥寺の駅から7つほど駅を通過した先の西立川駅。
国営昭和記念公園で行われる「立川まつり、花火大会会場」である。
夜の7時20分から開催される。
「慎二~迷子になんないでよ。」
と、楓。
「はいはいお姉さま。」
確かに、楓と比べると慎二は楓の肩を少し上回る程度。
「ば~か。ふふ…。」
この5人の中で、一番背が高いのが小室智志。165cmある。
その次が楓の160cm。そして朱実と陽子と慎二が、
殆ど変りなく155cmそこそこである。
そして面白いのがこの5人の歩いている光景。
何故かしら中央が楓、その右に陽子、その後ろに智志。
そして楓の左側には朱実に、その後ろが慎二。
そんな光景で歩いているのだが…。陽子が…楓の右腕を小突いて…。
「…ちょっち…、これって…逆じゃない…???」
「えっ…???…あっ…そっか…、何で私が前なのよ…???朱実~!!!!」
「へっ…。あ~~!!!!」
と、後ろを振り向いて、
「慎二~智志~あんたら…前々…。」
その朱実の声を聞いて…慎二…。
「えっ…、でも、華が前の方が…いいだろ…、なぁ…智志???」
「…ん…???まぁ…そうかぁ~。」
「ふ~ん、そんなもんかなぁ…。まっ…いいか…。」
と、周りを見渡しながらの楓と陽子。
公園の中には様々な屋台も並んであり、あちこちに目を飛ばしながらの5人。
歩きながらの数分後、朱美が、
「あは、良いトコ見~っけ。」