18 秘密の話
今回は第三者視点です。
お兄ちゃんたちのお話です。
ある日の昼下がり。
白夜の部屋では、黒葉がベットに寝っ転がって何やら携帯を操作しており、白夜はただただパソコンと向かい合っていた。
「「……………」」
無言が続く中、カタカタ、と白夜の叩くキーボードの音がし始める。
「………。ぁぁぁぁぁああ。ぐぅかわ…。」
ボソリと、唐突にそんなことを呟く黒葉。その表情はデロンデロンにとけており、もはや不審者である(たとえ元はイケメンであったとしても)。
「くろ? どうせ留依の配信でも見てたんだろうけど、今はそういう時間じゃないだろ。」
大きなため息を吐きながらそう注意する白夜に、黒葉は画面から目を離さず、
「いや、可愛いから仕方がないんだよ。」
とだけ答えた。
そんな白夜も、「馬鹿だなぁ……。」と呟くとまたパソコンと向かい合い、作業を再開する。
だが、作業をするはずが、フォルダに保存されている兄妹の写真を見てだらしなく顔をとかしている。
似たもの同士(双子にそんなものあるのかもわからないが)ではあるのだろう。
その時、フォルダの画像から目を離し、真剣な表情で黒葉を振り返った白夜が、
「……くろ、消したか?」
と、声をかける。
「ん? ……あ、ああ。アーカイブのことか?
……配信でリスナーにちゃんと説明して消したよ。」
アーカイブ。それは、白夜と黒葉があちらの世界からこの世界に来る前の配信アーカイブのことだ。
「暴言とかやばかったからなぁ……。」
黒葉の配信も、白夜の配信でも、人を貶める言動は当たり前という一つの無法地帯と化していたのだ。
「うん。てか、なんで僕達だけこっちの世界の記憶があるんだろうね。」
「それな〜。別に困ってないからいいけどさ。」
彼らが他の家族と違うところは、こちらの世界で生きてきて、この世界の歪みを間近で見てきた記憶を持っているところである。
今、彼らが住んでいる場所には母や妹の雨、そして祖母が住んでおり、今、祖母と祖父が住んでいる家屋に男子勢が住んでいた記憶があるのだ。
雨や母たちの態度が悪いのもわかるが、それに対しての自分の言動があまりにもひどかったこと、自分が稼いだお金は課金に回し、家に入れるなんてことは一切していなかったこと。
「…どうせ過去は変えられないし。だからこっから挽回していくしかないしね。」
「だな。」
兄たちは、そんなことではへこたれない、鋼のメンタルを持っていた。
鋼の精神ッッ!!
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