17 しろくろのはなでの初配信
「んんっ………。はい、こんばんわ。
白泉 葵です。」
「黒霧 塔矢だぜ!」
「咲久和 華です!」
せーの、と掛け声をかけ、三人で同時に、
「「「しろくろのはなです(だぜ)!」」」
という。
〈きたあああああ!〉
〈KITAKORE〉
〈しろくろのはなー〉
〈初配信じゃい!〉
コメント欄の反応からわかると思うけど、今は、「しろくろのはな」としての初配信。
今回は普通に雑談配信。
「今回は初配信ということで!」
「まぁ、無難に雑談配信だよ。」
また、コメント欄が盛り上がる。
***
「――――――♪」
うん、なんでこんな事になってるんだろうね。
私は今大人気のボカロ、『自己犠牲』を歌いながら考えている。
きっかけは一つのマシュマロだった。
〈ちなみに、はなちゃんは歌みたやんないの?〉
兄ちゃんたちは歌ってみた―――通称歌みたをよくやっていて、すごい人気を持っている。
男なのもあるが、兄ちゃんたちは基本的にスペックが高いのだ。
兄ちゃんたちの学生時代、テスト前とかでも、普通に勉強しないで遊んでいたのをよく見ていた。
まぁ、俺の家族はほぼほぼそんな感じなので、すごいことなのかはわからないのだが。
それ以外にも、一度聞いたらすぐに物事を覚えてしまったりと、そういうことが色々とあった。
前の世界ではかる~く神童とか呼ばれていたしね。今の世界では表に露出しておらず、学校の授業とかもリモートで受けていい事になっているので、そのことは知られていないようだ。
じいちゃんたちも結構な大企業の元取締役だったりと、すごい経歴の持ち主だ。
前の世界では、その大企業の株を引退してからも保有していたらしく、それで儲けていた。
尚、じいちゃんは今現在、向こうで元取締役だった時のキャリアを活かし、株などをやってもうけているらしい。
…前も今もおんなじようなことができてるじいちゃん……やばいね。
さて、めちゃくちゃ話がそれたが、兄ちゃんたちのこともあり、俺は結構期待されていた。
そのマシュマロ(くろ兄ちゃんが読んだんだけど、絶対悪意があったと思う。絶対に。)のせいで、なんとなく歌う流れになり、兄ちゃんたちが笑いを噛み殺しながら曲を選択したり……
と、そんなこんなで今現在である。
「―――♪………」
曲が終わり、ふぅ、と息を吐く。
兄ちゃんたちの反応を伺うも。
「「………………………。」」
仕掛けた張本人のくろ兄ちゃんでさえ沈黙する有様である。
そのせいで、兄ちゃんたちのガワも真顔で静止している。…なぜか、しろ兄ちゃんのガワは肩が揺れている気もしなくはないが。
………あのマシュマロ、クソマロ認定しようかな。
〈…〉
〈…〉
〈・・・〉
コメント欄を確認するも、てんてんてんがずっと続くだけで、余計に不安になる。
そろそろなんか言ってほしいなぁと考えていた時、しろ兄ちゃんが口を開く。
「……っは!
……るっ、…華? なにか悩みがあるなら聞くぞ?」
え?
〈はっ!〉
〈やべぇやべぇ。〉
〈ワイらとしたことが……〉
〈華ちゃん。゜(゜´Д`゜)゜。〉
〈悩みある?〉
ええええ、なに?
「……っくっく……っっふ……っはな、めちゃくちゃ歌詞が心に響いただけだと思うぞ。っく、っく……。」
「くろ兄ちゃん!?
笑ってないで説明して!?
歌詞が心に響いたってどういうこと??」
〈これは……〉
〈本気でわかってないパターンや〉
〈すげぇ……。〉
〈↑上コメ、何がすげぇんだよ?〉
〈いや、な◯う系主人公やなぁ、って思って。〉
「華、もしかして無自覚?
歌詞にめちゃくちゃ気持ち乗ってたぞ。」
ふぁ!?
私が歌った曲、『自己犠牲』はたしかに悩みを打ち明けたい、でも打ち明けたくない、打ち明けれない、っていう気持ちを歌った曲だけど…。
「え、そんなコトあるの?」
その後、めちゃくちゃいろんな歌を歌わせられて、私はその翌日、喉がガッラガラになり、女声が出せなくなったので、配信をお休みすることになったのだった。
留依くんファミリー全員(留衣くんも含め)スペック高いです。
なにかおかしな点がございましたら、遠慮なくコメントなどお願いいたします!!
そして、今回でストック尽きます……投稿が遅くなるかもしれません…。すいません。