魔獣の王のねぐら
ラーノットが起き上がると、空はまだ暗かった。
「ラーノット団長、まだ寝てて大丈夫ですよ」
カンターメンが止めた。
「目が覚めてしまったから、起きているわ。ぐっすり眠れたし」そう言って、ラーノットは、金色の時計をポケットから出した。開くと、五時を差していた。
「もう、五時だわ」
とラーノットが呟くと、
「今の季節は、日が来るのが、遅いですね」
とマグス。
「もうすぐしたら、早くなるわよ」
ラーノットが準備を始めた。
周りも起き上がる。
「まだ寝てていいわよ」
慌てて言うラーノット。
「ラーノット長官が準備しているのに、寝てるわけにいかないですよ」とフォルトォナ。銀髪、緑の目の彼は古株の一人で、ラーノットより騎士団にいたのが長い。
「そうですよ」とイークウェスが言った。彼は黒髪の赤い目で、ラーノットとは、同年代だ。
「すまないわね」
騎士団全員起き上がり、準備を始めた。
二十分で準備が完了すると、空が明るくなってきた。
それなので、朝ごはんにマフィンにバターをつけて食べた。
「皆、準備は出来た?」
とラーノットは、尋ねた。
「はい!」
ラーノットは、サーチェルからもらって、水晶を見た。
「東拾キロね」
こうして、ラーノット騎士団は、出かけたのだった。
ずんずん進む。疲れたとは、誰も言わない。拾キロ歩いて、ラーノットは、魔獣の王のねぐらが、すぐに難攻不落だと気がついた。
周囲を岩で囲まれていて、登るのにやっかいだ。しかし、登りやすい所を見つけ、進む騎士団。
その内に、入口を見つけるラーノット。
「ここが、魔獣の王のねぐらよ。皆気をつけて」
ラーノットが忠告した。
騎士団達が、周りを見回すと、上空に悪魔達がいるのが、見えた。十五万はいる。
「罠に気がつかないとわな。追跡されているのに、気がつかないとでも」と魔獣の王ゴブがせせら笑った。
そして、戦いが始まる。
ラーノットは、呪文を唱えて、剣を強化して、悪魔に立ち向かう。ラーノットの後を騎士団達が続く。
皆三人は、相手にしている。騎士団は、手を負傷させて、呪文を唱えながら、剣を振る。フォルトォナが護りの魔術をかけて、結界を作って、入れないようにした。騎士団は、軽く怪我をし、息たえだえだ。ルミナリーとスペースが、ヒーリングの魔法をかけている。
悪魔達は、結界の周りをぐるぐる回っていたが、諦めたようだ。次々に去る。
残ったゴブは、
「城塞に向かう。間に合うかな」
と言って、悪魔達を追った。
「姉さん」
ルミナリーが、ラーノットを見た。
「大丈夫よ。早く行きましょう」
ラーノット騎士団は、城塞に向かうのであった。