心の中の『心』の存在
ここは?
周りを見ると、薄くぼんやりと光っているような白い世界。
そこをひたひたとゆっくりと進んでいく。
しばらく歩いていると、目の前に鏡のような膜がある事に気がついた。
そしてそれに恐る恐る手を触れると周りが光り、その目を眩ませた。
瞼を追い越し見えてくる光も薄れ、僕はゆっくりと目を開ける。
目を開けると、幻想的な空間が広がっていた。
ふと気がつくと、僕は、僕の横には誰かが座っていた。
「ねぇ、君は誰?僕から君の姿をどんな形かすらも、名前も知らないんだけど」
何となくこの子は僕に対して悪い事をする子じゃないと思った。
『僕は君さ!そして君は僕でもある。そういえば分かるかな?』
相手は元気が有り余ってるかの様に無理して笑っているような気がした。
何となくこの子を抱き締めてあげなければいけない気がした。
『こんな僕を抱き締めるだなんて、どうしたんだい?』
僕はそれに対しての応えを、その抱き締める手を少し強くすることで返した。
「ありがとう……実はね。僕は壊れそうだったんだ。君とずっと一緒にいるのに、君の隣にこうして居るのに、誰からも、君さえからも見つけて貰えることは無かった」
そう言いながら、その子は涙を流した。
その言葉もさっきまでとは違い、ハッキリと聞こえてきたものだった。
「女の子だったんだね。今まで君を見つけれなくて、ごめん」
「いいんだ。今君が見つけてくれただけで、良かったよ。さっき僕が言ったこと覚えてる?」
「確か『僕は君で、君は僕』だったっけ……。もしかして……」
「そう君の心が、壊れて無くなりそうになった時、いつの間にか形作られていたよね」
そう昔僕は心を壊してしまった時があった。
そのまま僕は意識を失い、次に目を覚ました時は自分の布団の上で涙を流していた。
「その時に君の心を作ったのが僕なんだ。ハリボテしか作れない僕だったけど、君が、君の心が壊れてしまうのが哀しくて必死に作ってた」
そうだったのか、僕はある意味この子に助けられたんだな。
「ありがとう。そうだ!君に名前を付けてあげないとね。僕にできるお返しはそれくらいしかないけど、それでも君の力になりたい」
「こんな僕に名前を……ありがとう。僕を必要としてくれて」
この子は今まで寂しかったんだな。
なら今日からはこの子と一緒に暮らしていこう。他の人からは見えない僕しか見えない存在だけど、僕だけが知ってる存在だからこそこの子が、
僕を助けてくれて、そしてこの子を助けれる。
「もし、また君の心が壊れてしまう時があれば、僕が作り直すよ。それしか……出来ないから」
「いや、それだけで助かるよ。あ、思い付いたよ。君の名前」
「僕の、名前……?」
「うん。君の名前は今日から『心』だ。僕の心を補ってくれるからそう名付けようと思う」
「ありがとう。これからよろしくね」
「こちらこそ今までありがとう。そしてこれからも僕に寄り添って居てくれるかな……?」
「もちろんだよ。その為に、僕は産まれてきたんだ」
この日から僕は毎日心を壊されながら、他人からも自分で壊してしまうこともあった。
その度に心が『こころ』を作ってくれた。
その夜から二人で沢山話した今日あった楽しい事、喜び、怒り、憎しみ、哀しみ、何でも二人で話した。
それでも、この子が僕を少しでも護ってくれるからこそ、生きていこうと思った。
Twitter内展示企画 #ルビーの心臓 参加作品




