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お兄ちゃんの側には私がいるからそれでいいよね? 正ヒロインになりたい妹の努力と執念の日々!  作者: にとろ
一年生二学期

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妹はスマホを買いたい?

「うーん……」


 朝食時に目の下にクマを作った睡がなんだか悩んでいる。


「どした? 大したことじゃないんだろうけど話くらい聞くぞ?」


「おに゛ーじゃーん!」


 俺に泣きついてくる睡。全く何時まで経っても成長しないやつだ。


「はいはい……で、どうしたんだ?」


「はい、実はスマホが壊れまして……」


「まーたやらかしたのか……」


「またってなんですか! 私の取っ手は一大事ですよ!」


「だってお前何台も持ってるじゃん?」


「それはそうなんですが……それはそれとしてです! それとこれは関係ないでしょう!」


 逆ギレをされてしまった。


「で、何を悩んでるんだ?」


「最近イマイチ欲しいなって思うスマホが無くって……」


 睡はそんなことを言っているがもうすでに服す台所持しているならそれでいいじゃないかと思ってしまう


「今あるもので何とかしようという気は無いんだな……?」


「私は欲しがりなんですよ! 欲しいものは何が何でも欲しい! いけませんか?」


「ダメじゃないけどさあ……」


 好きにすればいいとは思うのだが、家計に影響の出ない範囲でな。


 しかし睡は納得のいくものを買いたいらしく悩んでいた。ちなみに俺にお勧めは無い、何しろ睡がそれを使って不満だったときには俺はたまったものではない。そんなわけで自分の欲しいものくらい自分で選んでもらいたい。


「お兄ちゃんのお勧めは無いんですか?」


「そんな無茶振りをされてもなあ……これといって無いよ」


 Androidのスマホ事情には余り詳しくない。知っていることと言えばどこもプロセッサの能力が頭打ちで必死にカメラをアピールしていることくらいだ。


「じゃあ私に合うものっていうものも無いですか? お兄ちゃんのお勧めならなんだって買いますよ?」


 そんなことを言われてもな……現在これといって欲しいものは無かった。好きにすればいいんじゃないかと言うのが正直な感想だ。


 大体安い買い物でもないのに自分以外の意見を受け入れると後悔するぞと言いたかった。


 自分でハズレを掴まされたなら自己責任だが、誰かのせいでハズレを掴んだなどと言い出す人は確かにいた。


「まあ、冒険してみるのもいいんじゃないか? 普段買わないものを買ってみたっていいだろう」


 責任は持てないがな、と心の中でつぶやく。


「ではカメラが優れたやつとか知りませんか?」


「知らんな」


「即答!? スマホの使い道なんてカメラが大半なんだから知っておいてくださいよ!?」


「あいにくと俺には撮る相手も撮られる相手もいないんでな」


 俺の答えに睡は不服を立てる。


「私がいるじゃないですか! お兄ちゃんと写真なんてたっぷり撮りたいですよ!」


 俺の写真なんて別に映えないことこの上ないだろう。


「実はカメラに撮られると魂を抜かれるって言われててな」


「一体お兄ちゃんは何時代の人なんですか……」


 呆れる睡、俺は撮られるのが好きじゃないって話だよ、そのくらい分かれよ……


「これはお兄ちゃんの自己評価の改善が必要ですね」


「残念ながら俺は変わろうなんて思ってないんでな、一々そんなことで価値観は変わらんよ」


 そう言うと睡は(´・ω・`)という顔をした。コイツは俺に期待しすぎなんだ、なんでも知っているわけじゃないし何でも出来るわけじゃない。そんなシンプルなことも分かってくれないのか……


「とにかく、俺のお勧めは無いよ。最近じゃあカーボンフットプリントとかいうクソみたいな概念で経費削減もしてるしな」


 ユーザからすれば環境保護などどうでもいいのだが……まあその辺は充電器を付けると高くなるからと言うのが本音だろう。だったら素直にそう言えばいいのにと思ったのはナイショだ。


「お兄ちゃんは意識低い系ですねえ……」


 睡が呆れるように言うが別にそれが悪いことだとも思っていないので知ったことではない。ユーザに尻拭いさせない範囲で環境保護は好きなだけやればいいとは思うが、俺はそれに巻き込まれたくないんだよ。


「うーん……壊れたのも安いやつですし……安いの適当に見繕っておきましょうかね」


「そうしろ、無駄に高いものを買うメリットなんてそんなに無いぞ」


 睡は俺を穿った目で見る。


「その割にお兄ちゃんはハイエンド買ってますよね?」


「まあガジェクラの一員としては最新型が気になるしな。もっとも、買える範囲でだがな」


 新しいからと無謀な買い物はしないというのが俺のスタイル。


 毎度毎度新製品が発表される度に買ってきて分解しいるようなガチ勢ほどの熱心さは無い。俺はその分、睡ではないが俺はまだその分を少しガチャに回した方がいいのではないのかとさえ思っている。


「お兄ちゃんは新技術とか見てワクワクしないんですか?」


 睡の恨みがましい視線をかわす。


「俺は枯れた技術だって大事だと思うんでな」


 古い技術は古いだけあって安定していることも多い。安易に新しいものに飛びついて初期ロットが不良であることなどざらにある。


「その割にお兄ちゃんってPCは最新のものを買いますよね?」


 痛いところを突いてくる睡。確かにそうではあるのだが……


「PCは新しくないと新OSで未サポートなんてことが割とよくあるからな……」


 この前のアプデでいくつからのマシンが切り捨てられた、それはとてもとても悲しいことだ。


 大体写真を撮りたいならカメラという機械がちゃんと存在しているではないか、スマホをカメラのために買い替えるのとPCを耐用年数の限界になったので買い替えるのは話が違うと思うのだが。


 次にスマホを買い替えるとしたら5Gのミリ波に対応したときだろうか? きっとそれははるかに先のことになるだろう。なにしろ俺たちの住んでいる地域が対応するのははるかに後になるだろうからな。


「お兄ちゃんってスマホを持ってますけどなんに使ってるんですか? カメラも使わないんじゃ使い道無くないですか?」


 失礼なやつだ。使い道がカメラだけというのももったいない気がする。俺の使い道よりはマシかもしれないが。


「認証デバイスだな。たっぷりのサービスで多要素認証するのに使ってる。結構便利だぞ?」


 睡とのメッセージングにも使っているが、そう答えるのはなんだか負けた気がしたので秘密だ。


「なんとなくお兄ちゃんからの返事が遅い理由が分かった気がしますね……」


 睡は少し呆れていたようだ。俺に多くを求められても困ってしまう。


 俺に期待をするのは間違っていると言いたかったが黙っておく。


「はぁ……まあ私も何か新しいやつを探してみますかね……お兄ちゃんもヒントくらいくれてもいいのに……」


 睡はいじけているようだったが俺にはどうしようも無いことだ。


「まあ……なんだ……買い替えるなら少しくらいは質素な食事も我慢するよ」


 あくまでも『すこしくらい』ではある。


「ありがとうございます! しばらく塩パスタで我慢していただけるなら選択肢が増えますね!」


 そう言って楽しげに部屋に戻っていった。え? しばらく塩パスタ生活なの?


 俺はこの後しばらくの食事を憂いてしまうのだった。


 ――妹の部屋


「お兄ちゃんとおそろい……いいですね!」


 そう考えて覗いたページにはもうお兄ちゃんの使っている機種は売っていませんでした。残念ですが別なものを考えましょう。


 私はAmazonのページをスライドしながら選択肢の多さにめまいがするのでした。


 選択肢が多いことは時々面倒なことになると私はその日学んだのでした。

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