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お兄ちゃんの側には私がいるからそれでいいよね? 正ヒロインになりたい妹の努力と執念の日々!  作者: にとろ
一年生二学期

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妹と寝不足

「ふぁああああああ………………」


 睡が盛大なあくびをする。どうせまたくだらない理由で寝不足なのだろうから俺もとやかく言わず黙っておいた。


「ほれ」


 睡の前にエナドリを置く。コーヒーより目が覚めるはずだ。


「あ、どうも……コーヒーもいただけますか?」


「贅沢なやつだ」


 俺は苦笑してサーバーからコーヒーをマグカップに注ぐ。あまりカフェインの取り過ぎは良くないのだろうが今は朝でカフェインをコーヒーやエナドリで致死量まで取るのは現実的ではない、だからまあ問題無いだろう。


「ぷはぁ!」


 睡は勢いよくエナドリを飲み干してコーヒーの方に口をつける。そういえば砂糖とミルクを入れていないことに気がついて、その事を言おうかと思ったところで睡が一気に飲んで渋い顔をした。


「お兄ちゃん……砂糖……」


「ほら」


 砂糖袋を一つ渡すとさっさと砂糖を注いでグビリとコーヒーを飲み干した。


「ふぅ……ちょっと目が覚めました」


 睡は一息ついて伸びをした。


「何をやってたんだ? またソシャゲか?」


 コイツが夜更かしをするといえばソシャゲだろう。程々にしておけとはいうものの気にした様子も無くしょっちゅう夜更かしをしている。


「違いますよ……私をなんだと思ってるんですか?」


「まともな理由だったか」


「そうですよ! 新しいゲーム機の予約戦争に参加してたんですからね!」


「前言撤回、最高にくだらない理由じゃねえか!」


 そういえばモバイルゲーミングデバイスが予約開始するというニュースを見たような気もする。おま国をされない国際仕様で発売されるということで話題になってたな。


「だって! 海外ゲームがそのまま遊べるんですよ! しかも国際価格で! ローカライズ済み値段三倍とかがないんですよ!」


 確かにローカライズはクソ高い値段をつけられることもあるけどさあ……


「別に初期ロット狙う意味も無いじゃん?」


「ふっ……初物ってロマンを感じるじゃないですか?」


 キメ顔でいう睡だが実際にやっていることはゲーム機の予約だ。やり遂げた顔をしている割にやったことは非常にしょうもない。


「俺なら安定したラインで生産されるようになってから買うかなあ……あのゲーム機や、アレのゲーム機だって初期は問題あったじゃん?」


 思い当たるのは複数ある。まあゲーム業界というのはいろいろ闇が深い。しかしソフトウェアアップデートというインターネット時代の新手法である程度は修正されるようにはなったのだが……


「でもアレとかアレとか初期ロットなら非公式アプリのサイドローディングが出来たりしたじゃないですか? 二次ロットから即修正されちゃいましたけど……」


「あんまり危ない発言はやめようか……? 確かにできたけどさあ……」


 某ゲーム機など末期になるまでコピー品が動く仕様が見逃されていたことがある。当時はネットから違法コピーがダウンロードされるなど考えもつかなかったのだろう。


 それが修正されたのはゲーム機として敗北が決まってからだった。当時は頭のいい大人が何故この程度のことに気がつかなかったのかと思ったのだが、きっとスマホなんてものが無い時代にPCからダウンロードする奴など少ないと思ったのだろう。


「お兄ちゃんとしては新しいゲーム機は即欲しくならないんですか?」


「アレはなぁ……確かに日本でも売るらしいけど国産IPがほとんど見参加じゃん? ゲーム機としてはスペックが良くてもソフトが無いとなぁ……」


 もっとも、アレは自作が可能というメリットはあるが、そこまでするならPCで十分だろう、時々ゲーム機でゲームを作るという無茶なソフトが作られるが最後まで作れた人はどれくらいいるんだろう? 今回のゲーム機は作ろうと思ったらPCが要るのでじゃあゲーム機要らないじゃんとなってしまう。


「そうですか……お兄ちゃんと遊びたかったんですがね……」


「それは……悪いな……」


 そう言われるとなんだか悪いことをした気になるじゃないか……まあ予算というどうしようもない壁があるのでどのみち俺は買えないのだがな。


「ところで、ちゃんと買えたのか?」


 睡は頷くがどこか物憂げだった。


「はい、深夜二時に予約開始だったんですけど……ログイン戦争もなく一発で買えたんですよねえ……」


 買えること自体はいいことだが、すいすい進んでしまうのは競争相手が居ないということだ。つまりあんまり売れていないということになってしまう。


「まあ……焦る必要は無かったな」


 睡は悲しそうに頷いた。


「次世代の覇権ゲーム機だと思ったんですけどねえ……日本だとやっぱり受けないんでしょうか……?」


「まあ家庭用ゲーム機の大手が複数ある国で新規参入はキツいわな」


 海外ではそれなりに売れているゲーム機でも国内では全く見なかったりする。国産ゲーム機に移植されてようやく作品を知ったというゲームもたくさんある。物好きには特定のゲームをプレイするためだけにゲーム機ごと買う人もいるらしいが俺にそんな金は無い。


「お兄ちゃんは新しいものをやたら欲しがる割に私と趣味が合わないですねえ……」


「まあ俺はコンシューマー機は専門外だからな。面白い使い方ができれば買うこともあるけど」


「面白い使い方?」


「某ゲーム機でLinuxが動いた時代があってな……アプデで塞がれたんだがそれで遊んでた人が多かったんだよ」


「物好きが多いんですねえ……というかそんなゲーム機あったんですか?」


「ああ、そういうハックをするのは大抵海外勢だからな、日本じゃお行儀良くディスクいれて遊んでる人が大半だったよ」


 睡は呆れているようだ。


「お兄ちゃんは物好きが過ぎますよ? もうちょっと普通の使い方をした方がいいです」


「ご忠告どうも、俺はメーカーが想定していない使い方をするのが楽しみなんだよ」


 睡は納得いかないように言う。


「じゃあ私が買ったやつだってお兄ちゃんは欲しがらないんですか? 割と何でも出来そうですよ?」


 確かに自由度は高そうだ。しかしまあそういう問題では無い。


「始めから自由度が高くて何でもできるものより、縛りがキツいのをアンロックして無理矢理想定外の使い方をするのが楽しいんだよ」


「お兄ちゃんはどこまで歪んでるんですか……素直に推奨された使い方をしましょうよ……」


 まあ確かに俺は割とクズい性格をしているわけだが、推奨された使用方法なんてつまらないことこの上ないじゃないか。改造もハックも上等だろう。


「お兄ちゃん、もうちょっとコンプライアンスって言葉を考えましょうね?」


 そう睡にお説教を受けて、俺は日頃の行いの悪さを指摘されるのだった。


 俺は当分ほぼ自由になっているPCのほうでゲームをしようと決めるのだった。


 ――妹の部屋


「お兄ちゃんはそういうコンプライアンス意識は無いくせに妹と……」


 やめておきましょう、考えてもキリがないことです。いずれはお兄ちゃんを振り向かせるために私は努力を欠かさないのです!


 私は決意を新たにしたのでした。

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