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お兄ちゃんの側には私がいるからそれでいいよね? 正ヒロインになりたい妹の努力と執念の日々!  作者: にとろ
一年生二学期

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妹とフレンドと新作ゲーム

「お兄ちゃん! 私とフレンドになってください!」


 俺は睡のいつもの思いつきに適当に返答する。


「兄妹をやめて友人関係になりたいってことかな?」


 睡は机をバンバン叩いて訂正する。


「新作ゲームですよ! フレンドボーナスが欲しいんですけど既存プレイヤーのフレンド枠が埋まってて新規フレンドにしてもらえないんです!」


「まーたソシャゲを始めたのか……」


 もはやいつものことであるがソシャゲ廃人をやっているとキリがないだろうに……


「分かったよ、ストアへのリンクを送ってくれ」


「さすがお兄ちゃんです! 話が早い!」


 睡からAppStoreへのリンクがメッセンジャーで送られてくる、それを開くとよくあるRPGが表示された。


「このゲームか……」


「お兄ちゃんはご存じでしたか?」


「ああ、ローンチ日にインストールしたな……多分アカウントが残ってるはずだ」


 以前の記憶がよみがえる、とっくにサ終しているかと思っていたが、どうやらまだ続いていたらしい。


 俺はダウンロードを押してゲームを再びインストールする。しかし……


「終わらないな……このゲームこんなにサイズ大きかったっけ?」


「まあローンチ日からすればシステムの更新やら追加シナリオやらでどんどん大きくなっていきましたからね。今じゃGB単位になってますよ」


「出世したもんだな……」


 弱小ゲームだったのに今じゃこのサイズまで運営を続けて成長してきたわけか、歴史を感じずにはいられないな。


 家のIEEE802.11ac回線でそれなりに早くダウンロードは終わった、Wi-Fi6にしたいとは思っているが現状対応機種がほぼ無いので問題が発生するほどのことは無かった。


「じゃあ始めるなー……しかしフレンド機能実装されてたんだ……」


「フレンドがいないって……滅茶苦茶初期じゃないですか……そんな時期にプレイしてたんですね」


 このゲーム、初期は他のゲームによくあるフレンド機能は無かった。日間のデイリーをこなすのにクエストを回すのは全て自力だった。ランキング機能はちゃんと実装されていたがそちらの方は上位ランカーにメリットが無かったのですぐにやめてしまった。


 新しく出てきたアイコンをタップするとAppleの機能で作成したアカウントが相変わらずしっかりと残っており、起動すると懐かしの画面が表示された。


 ちなみにカムバックボーナスもちゃんと貰えた。


「なっつかしいなー…………」


「お兄ちゃん! フレンドフレンド!」


「ああ、アカウント名で検索かけるから教えてくれ」


「『兄と一線を越える妹ちゃん』って名前で登録してるので検索かけてください!」


「なんつー名前で登録してるんだよ……」


 呆れながらその名前で検索をかけると睡のアカウントが出てきた、俺はその胡乱なアカウント名にフレンド申請を送る。


「あ、来ましたね! じゃあ追加しておきますね!」


 こうして俺のアカウントに一人のフレンドが追加された。コイツにフレンドができなかったのはあまりにもアレなアカウント名のせいではないだろうかと思ったのだが黙っておいた。


「じゃあお兄ちゃん、クエストガンガン回してください! フレンドポイントが欲しいのでアシストキャラは全部私から選んでくださいね!」


 リクエストに応えてクエストの画面を開く。昔は三章くらいまでしかなかったクエストが一部でさえ八章まで追加されており、第二部までロックはされているものの表示はされていた。


 四章一話から進めることにしてクエストを実行した。戦闘前にフレンドからアシストキャラを選択してくださいと表示されたので睡のキャラを選んで始める。


 当時最新だった三章のラスボスだが四章はそれ以上にキツいものになることは覚悟していた。


 戦闘が始まりオートで攻撃を繰り返すのだが時間切れになっても決着がつかず、クリアすることができなかった。


 もう一度挑戦したところアシストキャラを呼び出すボタンがあるの気がついてそれをタップした。


 やたらとキラキラしたエフェクトと共にやたらゴテゴテした装備を調えたキャラが参戦して一瞬で敵を倒していった。俺のキャラからはほとんど的にダメージは通らなかったが、限りなく頼もしいアシストのおかげでどんどんとクエストが進んでいった。


「お兄ちゃん! どうですか私のキャラは! 強いでしょう! かっこいいでしょう!」


「そうだな、俺のキャラが居なくてもいいくらいには強いよ」


 マジでこのスペックはなんなんだ……ぶっ壊れもいいところだろう。こんなキャラは初期にはいなかったが……まあインフレが進んでいって実装されたんだろうな……


 インフレはソシャゲの華だ。ユーザーが求めるままに強キャラが実装され、それを求めてガチャを回して運営が続いていく。


 それは当たり前のことではあるし、リタイアしたユーザのことなど知ったことではないというのはごもっともな話なのだが、初期勢としては多少寂しく思えた。


 そうして何の苦も無くメインシナリオは進んでいった。最新話まで到達したが、睡のアシストのおかげで全ての戦闘がスムーズに進んでいった。


「クリアできましたか?」


「ああ、クリアしたな……やることもないしガチャでも回すかな……」


 カムバックボーナスで十連分くらいの石をもらえたのでガチャを開いてピックアップキャラを眺める。


 主人公の妹キャラでピックアップ確率はそこそこ、まあ引ければラッキーくらいのキャラだろう。


 十連を回すと虹色の演出が入って最高レアリティが排出されることを通知してくれる。初期は最高レアが出る時は金色に光っていたのを思い出すと、どうやらレアリティの上限が上がったらしい。


『お兄ちゃん! わたしがんばる!』


 ピックアップを引けたようだ。先ほどの画面のキャラが大写しになる。


「あ、お兄ちゃん一発で引いたんですか? すごいですね、私は百連くらいしたんですよ」


「お金は今ある範囲で使おうな?」


 そうしてそのキャラを使えば楽勝でイベントやエンドコンテンツも回せるのかと思えば、どうやらそうでもないらしく限界突破システムもしっかりと実装されていた。


 重ねろというキツすぎるシステムではなかったが、課金しないと最高まで凸するのに何時間かかるか分からないシステムになっていた。


「まあ今日はこれくらいにしておこうか……」


「一部クリアまでいったなら上出来ですね」


 こうしてなんとも奇妙な名前のフレンドが一人だけ居るゲームが俺のスマホのストレージに居座ることになったのだった。


 ――妹の部屋


「うーん……やっぱりお兄ちゃんのキャラをアシストで呼べるのはいいですねえ……」


 実際には呼び出してすぐにやられて撤退してしまうのですが、お兄ちゃんのキャラを呼び出せるという利点に比べれば、そのキャラが弱いことなど些細な問題です。


 私はその日、かなりのスタミナドリンクを使ってお兄ちゃんのキャラを呼び出して戦闘を繰り返したのでした。

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