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お兄ちゃんの側には私がいるからそれでいいよね? 正ヒロインになりたい妹の努力と執念の日々!  作者: にとろ
一年生二学期

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妹とエナドリを買いに行こう!

 その日は朝から睡が元気だった。元気なのは構わないのだが……


「お兄ちゃん! 早く行きますよ!」


 ことは朝食の時に遡る。


「ふぁ……眠いっすねえ……」


「まあカフェイン錠剤で起きているよりは健康的だと思うぞ」


 コイツはこの前カフェインのタブが切れてからドラッグストアに行っていないはずだ。ならば新規購入はしていないはずなので、睡も健康になってきているようだった。


「エナドリが欲しい……買わなきゃ……」


「睡、エナドリに頼りすぎじゃないか?」


 睡は首を振って答える。


「お兄ちゃんにはエナドリの良さが分かってませんね、いいでしょう! 今日は一緒に買いに行きましょう!」


「高いんだよなあ……大体スーパーじゃほとんど売ってないし……」


「ふっ……お兄ちゃんは安いエナドリを知らないとはね、情弱ですよ?」


「そんな情報は要らないかな……」


「私はYouTubeで発見したエナドリを買い占めてるんですよ?」


「安易に流行り物に飛びつくのもどうかと思うぞ」


 YouTubeなんてプロモーション動画が山ほどアップされてるんだからあまり当てにならない。


 たまに広告が少ないなと思ったらプロモーションを含みますという文言がついていることなど日常茶飯事だ。広告を貼るか企業案件をするかみたいらしい。もっとも、最近Googleが収益化もしていない動画に広告を付け出したのには呆れるしかなかったが。


「で、どこで買うんだ? コンビニでそんな安いのは見たことないぞ?」


「ふっふっふ、この町にはディオという激安スーパーがあるんですよ!」


「ああ、あったなあ……」


「そこでゴールデンハンマーというエナドリを売っているんですよ! 何と一本五十円以下!」


「安さが全てって考え方はどうかと思うんだが……」


 あんまり安いものには何が入っているか不明で怖い、たくさん飲んだら危ないんじゃないかとさえ思う。


 睡は全く気にした様子も無く、さあ買いに行きましょうと俺を誘っている。安いのは知っているがあまりいいイメージもなかった、まあ悪いイメージもないのでありふれたスーパーだろうくらいにしか考えていなかった。


「じゃあお兄ちゃん! 財布持ってきてください! レッツゴーです! あ、スマホ決済とかの電子決済は一切できないのでご注意を」


 今時キャッシュレス完全非対応のスーパーチェーンというのも珍しいな。大概のところでクレジットカードから交通系電子マネー等大抵のものが使えるというのに。


 俺はVISAのプリペイドカードとapple payを組み合わせているので現金を持ち歩くのはあまり気が進まなかった。


 とはいえ、プリカと一緒に現金も入っているのでどちらにせよ財布は必要だった。しょうがないので財布を自室に取りにいった。


 財布の中身を覗いてみると、現金をこの前まとめてプリカにチャージしたため、それほどたくさんの現金はなかった。まあそれでも一回スーパーで買い物をできるくらいの金額は入っている。睡の付き合いならそれほど多くは買わないだろうし問題無いか。


 ポケットに財布とスマホを入れて玄関に向かう、もうすでに睡が待っていた。


「じゃあお兄ちゃん! 大人買いの準備はオーケー?」


「問題無い、というかそんなにたくさん買うつもりもないし」


「よしよし、んじゃ行きますよー!!!」


 そうして睡に手を引かれて表に出て行った。


 肌寒い風がチクチクする中、いつものスーパーとは別方向へと歩いていく。二、三十分ほど歩いたところでディオについた。


 入る前からケースでお菓子や飲み物が箱のままおいてあることにドン引きした。ここは業務スーパーかな?


「お兄ちゃん! 何をぼうっとしているんですか? いきますよ!」


 そうして睡に手を引かれて店内に入った。


 そこには大量の商品が段ボールごと積み上げてあり、箱買い歓迎の様子だった。生鮮食品から見て回ったのだが……うん! ここは保存期限のない物を買うところだな!


 厳密に言えば保存期限はなんにでもあるのだが、とにかく生鮮食品はあまりお勧めできないということだけは理解できた。


 よく分からないプライベートブランドだろうか? 激安のコーラや炭酸飲料が大量に並べてある。ここをメインで使ったら糖尿病に悪そうだなと思うくらいには清涼飲料水が山のように積まれていた。


 俺はコーラのようなものを一本カゴに入れて、それから炭酸ジュースをまとめ買いした。


 その時に気がついたのだが、飲料のほとんどは冷蔵されておらず常温で売られていた。どうやらその分安いから後は自分で冷やせ、ということらしい。


「手抜きだな……」


 正直な感想を俺が漏らすと睡は不服そうに反論した。


「コストカットですよ!」


 どうやらこれを経営努力と言い張るらしい。まあ冷蔵費用もこれだけの量だとバカにならないのだろう。


 デフレの中、ひたすら価格を下げることだけに血道を上げる様は呆れを通り越して尊敬の念すら覚えるのだった。


「ではお兄ちゃん! メインのエナドリコーナーに行きましょうか!」


 そう言って勝手知ったる我が家のようにスタスタと歩いて行く睡。どうやらすっかり御用達らしい。


 ずいずいと堂々たる歩き方でエナドリの場所に着くと、値札をさしてドヤ顔をする睡。


「どうですかこのお値段! レッドブル一本分の代金で四本買えるんですよ!」


「いやまあ確かに安いっちゃ安いけどなあ……効くのか?」


 睡はキメ顔で答える。


「一本じゃ少ないですかね、四本も飲めば眠気もスッキリですよ!」


「四本飲むんだったらレッドブル一本でいいんじゃ……」


「普通は一本でちゃんと効くんですよ! お兄ちゃんもやる気を出すために飲みましょうよ!」


 そう言って睡はカゴに十本くらいエナドリを放り込んで会計に向かう。俺はエナドリ数本とコーラ、オレンジジュース位しかかっていないが会計に向かう。


 レジでの会計はかなりの低価格だった。睡はエナドリをまとめて会計して店員さんも心なしかドン引きしているようだった。止められないのは現代の闇か、あるいはそう言う買い方をする人が当たり前に居るのか……深く考えるとロクな考えが浮かばなかった。


「よし、じゃあ帰りますかね!」


 睡は戦利品をたっぷりと持って帰途についたのだった。


 そして、その夜、睡からエナドリを勧められて飲んでみたのだった。


 味はまともで王道エナジードリンクといった感じだった。


 その夜、無事何の苦労もなく眠れたのはエナジードリンクとしてどうなのだろうか? と考えながら眠れたのだった。


 ――妹の部屋


「お兄ちゃんもエナドリの良さを分かってくれませんかねえ……」


 そうぼやいたところでどうしようもないのです。


 それでもお酒が飲めない年齢の私たちからすれば貴重なメンタルドーピング剤なのですが……お兄ちゃんにはなかなか理解して頂けないようでした。

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