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お兄ちゃんの側には私がいるからそれでいいよね? 正ヒロインになりたい妹の努力と執念の日々!  作者: にとろ
一年生二学期

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妹とつぶやきと炎上

 その日、朝食を食べていたのだが、睡に元気が感じられなかった。いつも元気そうに微笑んでいるのに今日は眠そうにしていた。寝不足だろうか? どちらかと言えばノイローゼに近いような感じがした。


「いただきます……」


 ここまで元気がないと不安になってしまう。睡に一体何があったのだろう? 大したことではないのだろうと思う。だからといって放置して置いて良いわけでもない。


「睡、何かあったのか?」


 俺は直球でそう聞く。こういうのは持って回った言い方をするよりストレートに聞いた方がいい。


 睡は渋々と言った風に昨日から起きたことを語った。


「実は……つぶやきに大反響を頂きまして……」


 つぶやき、ツイッターか。アレは使い方を考えないとしょっちゅう多くの人が炎上している。ネットとの付き合い方はほどほどに控えめの方がいい。睡の攻撃性ならそれなりに多くの敵を作るのも容易いだろう。


 正直に言えばネット炎上などと言うものは炎上したところでジャンピング土下座をしてその場から離れるのがベストだと思っている。それがやりづらいところがスマホの面倒なところだ。


「何をつぶやいたんだよ? フォロワーがそんなにいないならエゴサやってる相手くらいしか炎上しそうにないんだが」


 フォロワーが少ないなら多少変なことを言ったところで黙殺されるのがオチだ。睡にはネットでの顔出しはやめろといったことがあるので顔で集まるフォロワーはいないはずだ。発言だけでフォロワーを稼ぐのはなかなかに難儀な作業になる。バズれば別だが地道な活動で炎上するほどのことは滅多にない。


「ただのスマホゲームの話ですよ……」


「ガチャ爆死か何かか? そんなゲームで炎上する要素は無い気がするが」


「いえ、買い切りゲームだったんですけど……その……エンディングがね」


 もごもご言いにくそうにする睡。クソゲーにクソゲーと言ったくらいでは炎上などしないと思うのだが。


「エンディングで何かあったのか?」


「はい……妹キャラを攻略してたんですけど……エンディング直前で義妹と明らかになったのでそれに対する愚痴を言ったんですよ」


 義妹の何が悪いのかは知らないがとにかくそのゲームが気に食わなかったようだ。


「しかしそれだけで炎上はしないんじゃないか?」


「ちょっと多めに愚痴ってしまったので……」


 多めと言ったってたかだか十かそこらのツイートだろう、TLにその程度のツイートが流れたところで無視されるか精々フォローを外されるくらいだろう。


「多めにって一体何文字だ?」


「140字を100ツイくらいですかね」


「そりゃあ炎上するよ……というか文字数上限までよく埋められたな……」


「私ってそういう文才はあるんですよね」


 自慢することではないと思うのだが睡は自慢げにそう言った。まあ確かに文字数を限界まで埋めたつぶやきを百個もできたものだなとは思う。そんなところに才能は要らないだろうとは思うのだが。


 神というのが居るのならば才能を与えるにしたってもうちょっと意味のあることに才能を与えて欲しかった。俺は全くもって神というのが不公平なものだと思った。例えば俺に料理の才能が無いように、必要としている物を与えられないとは不条理だ。


「で、義妹なら兄妹エンドにできるだろってリプライがついたんですよ!」


「それにどう返事をしたんだ?」


「『はあ!? 実妹エンドこそ至高でしょうが! 義妹なんて邪道ですよ邪道!』と返しただけなのにファンに袋だたきにされました……」


 そりゃあなあ……ツイートだけならリムればいいがリプライでバトルをされるとどうしようもない。半端にツイッターが匿名性を維持していて、それが完全な匿名ではない、それが悪いことに言いたい放題言えることとアカウントを気軽に消せないという面倒くささに繋がっていた。


 しかしまたレスバをするとは悪手をとったものだ。素直に『そういう考え方もあるんですね』くらいで済ませておけばいいのにニッチな性癖に忠実なのはどうかと思うなあ……


「お前レスバ弱いんだからもうちょと謙虚になろうな?」


「常勝無敗が私のレスバの戦績ですよ失礼な!」


 そもそもレスバに強いことを誇るのもどうかと思うのだが、とにかく睡にも退く気は無いようで徹底抗戦をしたらしい、物好きなことだ。


「人に優しくするのがネットの基本だぞ? 戦いは何も生まないんだよ」


「いいこと言った風にしてもダメですよ! 義妹を許容する風潮などあってはならないのです! 実妹こそ最高なのです!」


 そこを撤回する気は無いらしい、こだわるだけ無駄な気がするのだが睡にとっては譲れないことらしかった。


「性癖は人それぞれなんだから他者を尊重することをお勧めするがなぁ……」


「まあ確かに、義妹すら認めない妹ヒロイン否定主義者もいますけどそれよりはマシですね」


「妹なのは大前提なのか……」


「愚問ですね、ヒロイン枠に妹がいないゲームなどゲームではないんですよ!」


「そう言うところが炎上の原因なんだよなあ……」


 どうやら炎上を鎮火する気は無いらしい。であればもはや自由にしてくれとしか言えないのだが適当なアドバイスはしておこう。


「ツイ消しして謝罪文書いてしばらくつぶやくのを控えればいずれ鎮火するぞ?」


「私に信念を曲げろと言うんですか?」


「単に人には人の数だけの考え方があるってことを認めろって話だよ……喧嘩したっていいことなんて無いんだぞ」


 睡は肩をすくめて諦めたようだった。


「分かりました、二三日自粛しますよ。私は私、人は人ってことですね? 全くままならない話です」


 そう言って部屋に戻っていった。俺は何故睡がそこまで実妹エンドにこだわるのかは分からないが、他社の考えを認めてはくれたようで安心したのだった。


 ――妹の部屋


「ええっと……『このたびは私の軽率な発言により議論を生んでしまい申し訳ありません』こんなもんでいいでしょう」


 まったくもう……義妹ヒロイン信者にも困ったものですね……


 私が実妹エンドしか認めないのは確かですが、その背徳感に耐えられないほどメンタルが弱い人もいるのでしょう。人に強さを強制するのは無謀というものです。


 私はつぶやきをしてからふて寝することにしました。


 もちろん本心は全く別の話なのですが、お兄ちゃんに心配をかけるほどゴタゴタを起こすのは私の本意ではありません。私はできる妹なのですよ……ふぁああ…………


 すこしツイッターから離れろと言うことなので布団に入ったのですが、あっという間に本物の眠気が来てしまったのでした。


 眠りに落ちる前、昨日レスバがヒートアップしてあまり寝ていないことに気がついたのでした。

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