計画準備集会
数年かかったが、このエピソードは重要な進歩だ。これからの動きはもっと順調だ。けれど、書くのは残念ながらめっちゃ時間がかかる。救いようがないね。
この小説に存在している人は名前について現実の人間とは関係がない。現実にそのような名前を持つ人がいるなら知らなかった。
良く隠れている地下の施設の会議室で、ある悪の組織が集会を行っていた。
その集会の参加者はその組織のボスと一部の構成員。その構成員は全員未成年でスパイだった。ボスの死んだ天敵の子供たちの周りに派遣されたスパイたち。長くて広いテーブルの周りにみんな揃って座っていた。
集会の内容は、長年にわたって計画された復讐の最終段階への突入。計画が最後まで上手くいくために必要な準備はここでされていた。
復讐の終結の現場?話題の『第一回全日本少年スポーツ競争大会』のところ。
「さてと、報告の時間だ」
本題に入る前、ボスはある情報を聞かせてもらった。
「あのガキ共はどんな反応をしていた?何か疑ったとでも?」
そこにいた構成員は七つのグループに分けられていた。第一グループのリーダーが手を挙げた。
「こちらの的はすごく喜びました。かなりの実力を持っているため、疑いはなし。一生懸命練習する予定です」
「なるほど。で、お前たちも練習に付き合うんだってな?」
「はい。こちらの9人は同じく一生懸命練習します、彼と共に。別れる時が来る前に、一緒に優勝したいので」
彼は丁寧に頷いた。
「あまり仲間と見なすなよ。最後にまた惨事が起きないように...な」
「勿論です。この組織の構成員として与えられた任務を無事に完成させてもらいます」
これは過去の話で、彼にとって非常に敏感。それにも関わらず、冷静に応えた。
「...ならそれじゃ。で、あなたは?」
その文の後半はある女の子に向かって言われた。彼女は第一グループの共同リーダーで唯一の女性だった。
「私は自分の分野の練習をします。それと定期的に的と会います。以上」
「そうか。あんたも大変だろなぁ、複数の分野で競争するって」
「大丈夫です。私も全部完璧に優勝するつもりです」
彼女は自信満々に答えた。才能がたくさんある方なので言えることだ。
「応援はする。では、つっ」
「あの、失礼ですが...」
ボスの話に割り込んだ。気には入らなかったが、憤怒せずに目を細めただけ。
「なんだ?」
「ボスもご存知でしょうが、あの転校生も大会に参加する。そいつのことをどうしましょうか」
その人物のことはボスも、会議室にいた人全員も知っていた。彼は5年前に第一グループが見張っていた的の学校に他県から転校しました。あそこに来たのは偶然だったが、部外者として的と関わり始め、的に近づきすぎたため、工作に支障が出てしまった。
グループのメンバーは的の交友関係を独占することが任務だ。部外者との接触を封じて、的に近づく人々を離れるように威圧するのも仕事だ。勿論、彼にも的から離れるように何度も脅迫したが、彼は組織と組織の目的を全く理解できず、従わなかった。
そしてある時、ボスは直接介入した。ボスが彼を強制的に組織にリクルートしようとしたが、彼が頑固に抵抗した。断った彼をボスが消そうとしたが、被害に遭うと彼が分かったと、異様で強烈な力を発した。その力はボスと目下全員を簡単に制圧できるくらい強かったため、悪の組織の方が怖くなって平伏した。怯えて逃げた後、未成年構成員よりはるかに強いトップクラスの大人構成員を彼を殺しに送ったが、それも大失敗で終わった。
あれ以来、組織全体が彼に関して完全に手を引いた。
「お前ら何もするな。あいつから絶対に距離を取れ。分かったか?」
ボスが真剣に警告した。経った5年間、自分も目下の構成員も全員昔より強くなったが、それでも彼のことをずっと警戒してきた。
「分かりました、ボス!」
「...」
彼のことを覚えるだけで気まずくなったので、ボスが早くその話を止め、次のグループの報告に移したかった。
「里市くん、君の親友は一体どのような反応を見せた?」
この里市仲博はいかにも不思議で特殊な人物。彼は第二グループをたった一人で率いている。そして他の大多数の未成年構成員と違って、孤児ではない。両親の他に妹もいる。
グループを一人で仕切っている彼は異常です。自分の的は自ら彼としか関わっていない。彼はその的の切っても切れない親友だから...少なくともボスがそう思っている。
実は、工作が始めた時にとんでもない勘違いが発生してしまいました。この里市仲博は偶然にも別の人物にドッペルゲンガーのように似ている。人相、身長、体格、声質、年齢、妹との年齢の差まで。ボスがある日その別の人物に的の友達になるように命じた。勿論ボスと会った別の人物が自分の本名を名乗った。里市本人がボスにこれについて聞かれた時、噓をついた。その別の人物は仲博が作り上げた架空の身元だと誤魔化した。正体がバレないようにという理由を作り上げて、その身元を演じる時に完全に別の人格を演じ、ある物事について知らんぷりをすると噓をついた。
ボスが去った後、仲博が家族にその奇妙な出来事を報告した。それを聞いた家族がすごく驚いて、その別の人物を調べた。息子があの子と瓜二つだと分かって、ビックリした。この間違いの重さを理解し、対策を考えた。
対策はこんなことに至った。里市はそれからあの別の人物になりすまして、その人物に自分の存在を知らせないようにその人物と的を遠くから監視した。ボスがたまたまその人物に会っても、ついた噓のおかげで真相がバレないよう、家族ぐるみで働いてきた。
カギは当初早くボスに直接会うより、リポートと報告をパソコンで送らせるようお願いしたこと。それと的の監視を仲博だけに任せること。両親も情熱にそう申し入れて、ボスを何とか説得した。これでボスがあの別人に会うリスクが減った。
このとんでもない誤魔化しは10年近くバレず、ずっと続いてきた。里市一家も運が非常に良かった。だってその別の子が言われた通り、的の親友になった。
噓がいつか絶対バレると里市一家が常に心配し、四六時中その芝居の継続しか考えていない。芝居が終わってしまったら、家族ごと消されるから。
「う、嬉しかった。嬉しかっただけです。彼も実力があって、疑問はゼロです。そのままトレーニングするつもりです」
「そうか。ならいいんだ。君は?」
「ぼ、僕は...?」
偶には里市は事情を十分知らず、固まってしまう。
「君も複数の分野で競争するために招待されたんだろ?別名義でね」
思い出した。
「ああ、そうだ、そうだね...テヘヘ。僕も頑張りますよ。一緒にね」
こうやって不安を晴らす瞬間がたくさん。別の人生を生きるのは大変大変。
「なら妹も同じだろよね」
「そう、そう!任せてぇー!! 頑張りますよぉー!!」
三回激しく頷いた。
「任せるぞ、里市くん」
「ありがとうございますぅぅ!!」
里市がボスに強く信頼され、特に優しい扱いを受けている。ボスは里市を頼もしくて有能だと認識しているため。手柄が大きいから。
しかしその手柄は里市のものじゃない。未成年構成員の中ではエリートだと言われてそう扱われているが、エリートなのは誤魔化しと噓つきだけ。結局のところ、エリートの詐欺師だ。
逆に他の構成員は里市のどこがそんなにすごいか分からない。
でも里市にとって、それはどうでもいい。報告が終わったら、楽に後席に戻れる。それが一番。
「さあ、次。導者、お前の番だ。的はどんな反応を示した?」
導者とは、第三グループのリーダーのボスによる愛称。そのあだ名の意味は、ナチスドイツの最高指導者、アドルフ・ヒトラーへの感嘆。ヒトラーは国家と国民の指導者として働いていたため、導者なんです。それに、七つのグループの中で目下の数が最も多いからも。
「普通に喜んでいただけです。頭の中は片思いの恋愛なので、招待のことを疑うとは思いません。真面目にトレーニングするだけでしょう」
「そうですか。まあご苦労さん」
「続きの命令は?」
「遠くから監視し続けろ。とりあえずそれだけ」
「了解いたしました」
と言って丁寧に頷いた。これで第三グループの報告は終了。
「はい、そして...」
ボスが呼びたかった人はリモート参加しているため、ディスプレイの向こうにいた。
第四グループのリーダーは里市ほど特別の人物。里市と共通点はあるが、大きな違いもある。共通点の一つは、自分のグループを一人で率いていること。
このグループの的は知能が特別。今の担当の前にスパイとして勤めていた子供が数人いました。だが部外者との接触を封じ、交友関係を独占する友達になるのはそれなりの才能が必要だった。天才の的と付き合うことが難題でした。前にいた数人が必死に知的に付いて行こうとしたが、無理でした。手に負えなくて深刻に疲れました、前任ども。そのため、ボスが現在の担当を雇った。
違いのところはこれ。今の担当は元々この悪の組織の人間じゃない。的の天才に付いて行ける人物としてスカウトされ、スパイとして働く代わりに多大な資金をもらえると言われた。彼は最初虫唾が走っていた。ボスの凄まじい過去、罪、意思、思想、目的を知った彼はボスを悪魔そのものだと認識した。あの組織と関わりたくなくて、潰すために努力することこそが正義だと思っていた。しかし世界を変えるほどの潜在能力の持ち主として、断って消されるわけにはいきませんでした。それに、約束されたメリットも有用すぎでした。なのでド悪人のボスに憎悪を抱きながらそいつと契約を交わした。
それである意味、派遣社員のようなものになった。
「私です、私」
ミュート解除した。
「お前か」
「的は気になることが二つくらいあった。でも私はそれを説明したら、私の言うことを聞いて真に受けた。いつものようにね...まあ、もう気にならないだろう」
「なるほど。それだけか?」
「それだけ。では、失礼します。バイバイ」
「待て!」
彼は対話を打ち切るつもりだったが、ボスに止められた。
「おい、何勝手に失礼するんだ?集会がまだ終わってないだろ!」
「報告の後、現場での計画を教えるつもりだろう?だが私はあそこに行かないからので私には関係ない」
「なんだと!? 行かないってどういうことだ!?」
ボスが彼の答えに結構怒っていた。
「大会が終わったら的らを全員捕まえて殺すつもりだろう?それは私の仕事じゃない。私の仕事は自分の的の面倒を見ることだけ。東京に行った時点でもう私には関係ない。なのであの時私がいようがいまいが、どうだっていいんだろう」
正規構成員と比べては自由が多いが、彼はわざと限界に近づこうとしている。
「そういう問題じゃない!上司の俺に従えよこの生意気な知ったかぶり屋ガキ!舐めんな!」
言うまでもなく、彼らは犬猿の仲。
「はい、はい。申し訳ない」
このセリフを言った後、またミュートを押してカメラもオフにした。会話には留めていたが。
「ちっ!このっ...」
彼がドヤ顔で高笑いして、挙句の果てに中指を指しているのを想像したボスがカンカンに怒っていた。
第五グループのリーダーは「ありがとう...」と呆れて思っていた。彼の番になってボスの機嫌が急に悪くなった。
「あの...続けていいんですか?」
丁寧に質問すれば何とかなる、と彼が思っていた。
「続けろ」
幸いボスが自分の怒りをこの人に向かって発散しなかった。
「こちらの的は真面目にスポーツをやってて、自分の実力のおかげで大会に参加するに値すると信じているだろう。当日結構喜んでいたし、何かが変だと思わずに開会まで真剣に練習する見通しです」
「分かった。ここまででは、全員罠に上手くかかっちまうだろう」
都合のいい情報を聞いて、ボスがちょっと落ち着いた。
「そうだろうね」
同意の一言を言えばもっと機嫌を良くすることが出来ると思っていたが...
「まだ油断できない」
ボスが首を横に振るった。的はまだ二人いたから。
「あんた、報告しろ」
今度は女性の番だった。
第六グループと第七グループのリーダーはどちらも女子でした。二人の内、まずは第六グループの担当。
「的があの日自分の招待をかなり自慢しました。宿敵とは言え、腕が立っているので参加の正当性を確信し、開会が待ち遠しくて興奮しかしていません。練習は全力でやってもらいます...両方ともね」
最後の一言まで冷静で客観的に的の反応を報告した。その最後の部分に個人の熱くて熱い思いを混ぜた。
「そうか。あんたもいいなー、宿敵ととことんやり合える」
彼女とは違って、ボスが自分の宿敵に直接死闘した時にボロ負けして、十数年後に宿敵を自分の手ではなく、目下の力で暗殺した。生きているのはボスの方だが、自分の力で勝てなかったのは一生悔しい。
「必ず倒してやります。勝利を勝ち取ってやります」
熱心を超えて熱狂的に戦いを待ちかねていた。目が炎の如く、燃えて光っていた。
「じゃあ頑張れ。最後に美重子」
美重子は第七グループのリーダーの本名。彼女は現在別名を名乗っている。
「あの的が偉そうに自慢してて、本当に招待に値するかどうか、気にしませんでしょう。大衆の前で姿を美しく見せつけて見栄張ってれば頭幸せでしょうねー...」
美重子は自分が見た反応を的を見下ろしながら妄想含めて語った。ついさっきの女が第六の的をものすごく嫌っていると同様に、第七の的に深い因縁があって恨んでいる。
「そんな反応を見せたか。で、何か疑っていると思ってる?」
「疑っていたとしても、自分の上手くスポーツやったりメダルを得たりする姿を晒すために自ら喜んで行くでしょうと言っています。あの無自覚な自惚れが」
「おい待って、侮辱が行き過ぎだぞ」
第七グループの共同リーダーが介入した。その共同リーダーが男性で、的に対して敵のスパイでありながらも好感を持っている。
「なんだお前...お呼びじゃねぇんだ。引っ込んどけ」
「彼女はそうじゃないよ」
余計にあんな時に気合入ってきた。
「ちっ、意気込みやがって...あの肉の枕にまさかガチ恋し始めたのか?」
彼女が彼を煽って怒らせようとしたが、彼が怒りを抑えて静かになった。的を好きになることが厳に禁止なのでこれ以上騒いでいたらトラブルになっていた。ボスも彼を厳しく見ていた。
「...」
「とにかく、ボス、的が開催まで吞気に練習する見込みです。確実に現れると思います」
「だろうな。タカも追加アレンジしたと聞いてる」
「...」
そのタカという人物はボスの支持者で資金提供者です。あだ名で呼べるほど親しいの。そしてあの追加アレンジということは美重子の気に入らなかった。
「まあさてと、反応の話はこれで終わりか?まだ言ってない面白いか重要な情報があるか?」
一部が何も言わずに首を横に振って、残りの一部が「ありません」と答えた。
「なかなかいい情報だったな。突然のまずい出来事がなかったら来ないことを心配する必要がなさそう」
計画に一応支障がなくてボスが上機嫌だった。
「さあ、こっからは本番だ。良く注意しろ皆さん」
「はい」
それからの話はボスが計画の情報を教える部分だった。
「開会式は7月23日だ。参加する者たちは三日前に学校でバスに迎えられ、東京へ運転される。夕方に到着し、宿泊施設に入寮して、8月1日の閉会式まで施設で過ごすんだ。参加しない方々は近くのアジトで過ごす。ここまではみんな分かってる?」
みんなボスに対して頷いた。
「はい、分かっています」
それから参加しないスパイの一人が手を挙げた。
「なんです?」
ボスが言うことを聞かせるように指示した。
「参加する者はバスに乗って来ると言いましたが、参加しない者はどうやって来るの?」
「そういう方々のところに車を送る予定だ。お前らは別々に来るんだ。ここまでは説明が十分ですか?」
質問した一人が頷いた。
「はい、十分です」
「では、続きます。到着した後、身分証を見せたら期間限定の会員証を渡される。その会員証はキーカードみたいなもので、会場内での移動に使うため。みんな分かった?」
いつもの頷き。
「はい、分かりました」
「先ほど言ってた、閉会式は8月1日。あの日まで、競技する者たちは行動は自由だ。しかし当日の朝、9時前にこの赤い倉庫の中に全員集まれ」
裏の壁にあったモニターで例の倉庫が表示された。
「的をあそこに誘導する一人以外、全員中で待つ。的が入って来た後、自分の紹介、過去の説明、的らの父母の説明をする。そして俺の話が終わった後、明かりをつけてあなたたち全員の姿を見せる。近い友人や恋人だと思ってたあなたたちの裏切りを知って、ショックによる神経衰弱の反応を示すのを少し満喫した後、始末だ。的共をその場で殺して、くそ父親への恨みを晴らしてやる」
不俱戴天の敵の血筋を絶滅して完全勝利するつもりだった。
「これが計画だ。全部覚えたか?」
いつも通りに総お頷き。
しかし次の瞬間里市が質問あって手を挙げた。
「あの、ボス?聞きたいことがありますが、いいですが」
「どうぞ」
「的を誘導する人が誰になるんですか?今日決めますか?」
仲博にとってこれは生死に関わる問題だった。もし彼が倉庫の中で待っていて、他の構成員にドッペルゲンガーが同一人物でないことがバレて、それによって作戦が失敗したら彼がその場で処分され、後で家族も粛清される。彼が誘導役になったら簡単に逃げれる。勿論正体がバレるけれど、少なくとも家族に合図を送って逃亡することが出来る。
「別に今日決める必要があると思ってなかったけど、志願したいの?」
「はい!そ、その通りです!誘導役に志願していただきたい!よろしくお願いいたしまっす~~」
里市のボスへのゴマすりっぷりのせいで仲間に良く見なされていない。痛い行為だと思われている。
「なーんだ、これぞ里市くん、いい活躍してんなぁ。じゃあ君がやるんだ」
「ありがとうございますぅ!」
表も裏も笑顔が広かった。これも都合良く上手く行って、また助かった。
「他にも質問ある?」
ある男性が手を挙げた。
「ボス、明かりをつけると仰っていましたね。それはどういう意味ですか?」
「あれか?」
次にボスが邪悪な微笑みを見せた。
「説明させてね。俺の描いた舞台は、的が暗い倉庫の中に入って、入り口が閉められた後、脚光を浴びられる。お互い自分たちしか見ること出来ず、怯えながら暗闇から届く俺の話を聞く。そして話が終わった途端に明かりをつけてあなたたちの姿を見せる。そういうことなんだ」
恐ろしい絵を描いた。正に恐怖の脚本。
「ちなみに今一番うまいところを教えてやる。明かりをつける前にねぇ...あなたたちのことを暴露してやる。今まで本当だと思ってた友情が全部偽りで、友達だと考えてたあなたたちが本当はスパイだとバラしてやる。最初は信じたくなくて必死に否定するだろうけど、明かりをつけて残酷な現実を見せてやる。最大限のショックを与えて莫大な絶望に追い込んでやる!」
これは悪魔の作品。的の精神への酷くて酷い攻撃。
「どうだ...劇的だろ?」
比較的にまともな構成員が頭の中はドン引きしても軽く笑っていた。唯一の例外はリモート参加の人。それに比べて冷酷な構成員は別にショックを受けなくて平気で笑っていた。的に対して私怨を持っていた数人がボスのシナリオを賞賛して笑っていた。
「なるほど...」
「さすがボス」
「劇的ですね」
「素晴らしい」
「他にも質問ある?」
凶悪Q&Aの続き。
「ボス、自分の的を自分の手で殺していいんですか?許可もらえますか?」
私怨を持つ女性が申し出た。
「いいえ、ダメだ。父親を残念ながら自分の手で殺せなかったから、ガキを全員俺が殺す。でも安心しろ、相当の苦痛を与えて苦しく死なせるから」
却下されて彼女だけでなく、同じことやりたかった数人も残念な思いをして落胆した。
それから別の女性が手を挙げた。
「ボス、気になることがあります」
「なんだ?」
「その後のことです。近いうちに世間が的たちの死を知って、犯人を探すでしょう。そしてメディアが仲間のはずの我々に駆けつけて来る。取材はどうした方がいいんですか?そして、あの倉庫が徹底的に調べられると思いますか?」
後先を考えた質問だった。
「大丈夫だ。俺の支援者が警察に証拠隠滅を断れないように指示できる立場の人間だ。確かに世間に関してはしばらく大騒ぎだろうけど、それも大丈夫。メディアはお前たちに近づかせないように支援者に頼むから。っていうか、そもそも倉庫の中で死んだことを世間に知らせるわけにはいかないだろ。的らが行方不明になって、事件が未解決事件のままで終わり」
確かに事件の真相はバレ難かった。的たちは無防備でつゆ知らず。対してこの組織はバックが非常に強い。
「他にも質問ある?」
「...」
誰も返事することなく、Q&Aが終わりを迎えた。
「なら、そろそろ散会だ。日付を覚えて良く準備しとけ。開催まで会う予定はないから」
「ありませんの?」
「ありません。いよいよ最後だ。だからみんな全力で計画を成功させるんだ!失敗は許されない!いいか、これはお前らの人生の一番重要な仕事だ!絶対に、絶対に成功させるんだ!」
ボスにとっても長年企んできた復讐計画は結末に近かった。もし成功したらある程度自由になる。
目下も違う意味である程度自由になる。
「はい、成功させます!」
「誓え!」
「はい、確実に成功させます!」
もっと強く叫んだ。
「もう一回誠実に誓え!」
「はい、完璧で完全に成功させます!!」
更に強く叫んだ。やるしかなかった。
これでいよいよボスが満足した。
「よし、散会だ。これからも準備し続けろ。以上」
ボスが立ち上がって、目下も立ち上がって帰れるようになった。彼は本来の仕事に戻り、目下が工作のために住んでいる場所に戻るところだった。
ストレスもテンションも多い日々が更に激烈になる見込みだった。そのストレスとテンションは約2ヶ月後ピークに達して、それから落ち着く見通しだった。加害者側も被害者側も大変で無茶苦茶になるしかない状況だった。
しばらく偽りの平和が続くんだったが、猛烈な日々が着々と近くなっていた。関わる人物の人生が例外なく変わることが紛れもなかった。
正に『極』の文字が最も適切に事情を表す物語の始まりになるところだった。