明日と反応、第五部
この小説に存在している人は名前について現実の人間とは関係がない。現実にそのような名前を持つ人がいるなら知らなかった。
東京都
『バランバランバランバランバラッ』
はい、起きましょう。
優しく目覚まし時計の鳴りを消した。
普通はうるさいし、鳴りの音も大嫌いだが、今日だけは別に構わない。
今日は楽だから。
私、中村英五郎、はかつてほとんどないほど嬉しいです。
昨日は『初回全日本少年スポーツ競争大会』というイベントへの招待の手紙をくれた。分野は合気道。柔道と違って私がやっている柔術がスポーツじゃないからあそこで合気道しかやれない。しかしもし柔術がオリンピックのスポーツとして認められていたら、あれをしにも招待されたんでしょうかね。
とにかく大変喜ばしいものだ。
また思い出した、昨日の反応を。口が暑い夏の日の窓のように開けていた。
『すごい!』という感覚だった。なぜなら大きいチャンスだと思っていた。
夢が前と変わりなく、政治家になることだ。良ければ総理大臣に。でも総理どころが、当選するためにさえ高い知名度が必要。
この招待こそがチャンスだ。参加して、金メダルを得たら必ず私の名前は知られるようになる。そして、高校の卒業後は東大で政経を学ぶつもりですが、東大の合気道部に入って、様々な大会で優勝したら、大学内に有名になって色んな人脈を築けるかもしれない。
とにかくこれは私のゴールデンチケット。この機会を無駄にしないため、以前よりも頑張らないと!
気分良く浴室にシャワーを浴びに行って、シャワーを浴びて、濃緑色の制服を着た。
階段を下って、廊下を通って、食堂に着いた。私の親はもうテーブルに座っていた。
「おはよう、英五郎」
「おはよう、母さん。父さんもおはよう」
「おはよう」
すぐ座って、皿を見た。
母さんも、私がそれを見たのを気づいた。
「今度はオムレツです。良く召し上がってね」
美味しそう。
「ありがとうね」
食べてみると...
「うまい。本当にうまい」
「美味しくて良かったわね」
母さんが微笑んだ。
父さんは何も言っていなかったが、別に機嫌が悪くないように見えていた。
よし、雰囲気を盛り上げる機会だ。
「その他にも、うまい話がある。聞きたい?」
「そうですか?話してくださいね」
興味を持っていた。いいね。
「父さん」
「なんだ?」
「東京都の区長として、『初回全日本少年スポーツ競争大会』というものを知っているはずです。しかし発表された最近からじゃなくて、準備されていた数ヶ月か数年前からだ。それは正解ですよね?」
この質問を聞いて、真剣な態度を取った。座り方も勤務中のオフィスにいる時の正式な座り方に変わった。もう自宅で朝ご飯を食べる姿じゃなかった。
「確かに正解だ。しかしなんでそんな話を?」
なんだ、この話題は父さんの気に別に入らないようだ。もしかして仕事として面倒なことだったか?それなら、参加していくと言ったら気が変わるかもしれない。
「私が参加していくから、合気道が分野として」
「なんだと?」
「えっ?!」
父さんと母さんは共に驚いた。目が結構開いていた。
「そう、昨日ばかり招待の手紙をくれた。読んで欲しいなら部屋に戻って持って来れる」
「いいえ、必要がない。英五郎を信じている!偉いですね」
母さんが手を組み、心から嬉しく見えた広い微笑みを浮かべていた姿勢だった。
だが父さんは...
「ああ、招待されるくらい合気道が上手なのはめでたいし、招待されたなら優勝もして欲しいが...やはり英五郎は関わって欲しくなかった」
「何?どういう意味?」
「勘違いしないでくれ。君の招待はなかなかすごい出来事だ、親としては誇りを感じている。しかし主催者側の関係者としてこの大会は絶対に気に入らない」
嫌な姿勢だな、父さんの場合。
さっきの考えは当てはまっているかもしれない。もっと知りたい。
「どうしてですか?」
「全てのものには表と裏がある。この大会の裏はかなり醜い」
そんなのは足りない。
「具体的に何が醜いかを教えてくれませんか」
また嫌な顔をしていたが、幸い文句を言わずに全部を話してくれた。
「実は利権、賄賂と裏金まみれで、背後に胡散臭い大臣と議員と大金持ちの動きがある。そしてさらに裏にもっと怪しい人物や組織が何かを営んでいるのを感じた」
なるほど。非常に興味深い。もっと知りたくなってきた。
「その怪しい人物や組織は?」
「最後の部分は個人的な感想に過ぎない。それにしてもとにかく、知れば知るほどこの大会から距離を取りたくなる」
あ、このイベントは完全に嫌いじゃないか。
まあ、父さんは善良な政治家だから悪い政治家の仕業が嫌いなのは仕方ない。私も将来そのような腐敗を潰したいから嫌うべきかもしれない。
でも少しデスカレーションしようか。
「まあまあ、父さんの気持ちは分かっている。しかし私はあそこでしばらく合気道をするだけ。あの裏とは接触なんかしないでしょう」
「そう願っている」
と真剣な表情を見せながら真剣な声で言った。
「それはそうかもしれないが、考えすぎていないか?」
私も父さんも母さんの方へ見た。
「どういうこと?」
「英五郎はただのアスリートだよ?参加するだけで被害を受けるわけがないでしょう」
普通の考え方でしょう、それは。
「倫嗣よ、喜ぶ時なのにあんな空気にしてくれたんだ」
母さんの文句に父さんはすぐに謝罪で答えた。
「すまない、悪かったな。そう、多分考えすぎてしまった」
後頭部をさすって床を見下ろした。
なんだ、親の喧嘩でも呼べないほどの交流を見るのは面白いんだ。夫婦喧嘩を見るのは大多数の人間、特にその夫婦の子供には嫌なことだが、この程度は面白い。
「今の空気を直すため、私が直ちにやることの真似をして」
その後、母さんが早速私を抱きしめた。
速さに驚いた。
父さんも結構驚いた。私が強く抱きしめられていた間、二人の目が無言で会った。
「何待っているの?とっととここに来なさい」
迫力のある命令に父さんがちんたらせずに従った。
「は、はい」
これで父さんも一緒にいて、私たちが完全になった。
母さんだけとの抱きしめも厚くて気持ち良いが、やはり満員では円満。
「さっきのは...悪かった。最初はあんなことを気にするんじゃなく、君のために喜ぶべきだった」
「いいよ、何でもない」
「本当に偉いんだよ」
「そう、そう。この調子で」
父親と息子を結ぶ役を演じる母親ってパターンがよくあるなぁ。
「勝ってくださいね」
「そうするつもりだ」
自分のための他、親のためにも勝ちたい。
「二人とも応援しているよ」
「ありがとうよ、感謝している」
この優しい家庭に生まれて良かった。
「ところで、これからもっと合気道の練習をする必要があるから、勉強の量をちょっと減らしていいんじゃない」
父さんの提案の直後、家族の抱きしめが終わった。
「まあ、それは仕方がない」
教科の内容が次の数ヶ月に少しだけ簡単になれば本当に助かる。
「でも、週末に田舎の湖へ行く予定には変化がないよね?」
「ないよ。これだけを絶対にやろうと思っている」
と父さんが母さんの質問に答えた。
楽しみだね。
「さてと...食べ続けようか」
「はい」
朝食を食べた後に歯を磨いて、靴を履いて、家から出た。
「行って来ます」
「またねー、英五郎!」
それで学校へ立ち去った。
今回はあまり急ぐ必要がなかった。余裕にバスに間に合った。
15分後、バスに降りて校門に着いた。
『東京都立悠郷高』
「みんな見て!会長が来た!」
「こんにちは、会長!」
「今日もお疲れ様です、中村さん!」
いつも通り校門を通ってすぐに丁寧に挨拶された。
「おはよう皆様!元気でーす?」
「おはよう、会長!元気です」
「良いね」
こういう時に軽い世間話をした方がいい。挨拶とか、天気とかについて。
そうやって他の学生たちとの関係を深めるんだ。
人と簡単に、優しく会話をすることで人気を得るのがはるかに容易になる。3回も生徒会長に選ばれたのはこのおかげで。
うん、これこそが人脈築きだ。
今ちょっとみんなに大会への招待について話そうと考えていたんだが、最初に友人たちに伝えたいと思った。
じゃあ、差し当たりそれに比べてつまらないものについて喋り続けようじゃないか。
近いうちにベルが鳴って、仕方なく話を終えて教室に行かないといけなかった。
///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
数時間後、生徒総会の定例会が行われた。
色んなことについて意見交換し、議論した。今回も不満はあまりなかったからまた同意いっぱいの結論になった。
そしてこの定例会が終わった後、友達にもう少し留めるようにお願いしたんだ。
岡根くん、羽田くん、早草さん、天谷さん、世良さんと関ヶ原くんと一緒にいた。
「俺らに何か言いたいことがあるみたいだな」
「その通り。あなたたち、『第一回全日本少年スポーツ競争大会』ってスポーツ大会を知っていますか?」
「あれは最近すごく注目されてるスポーツ大会のことだよね?」
「そうです、今最大の話題の一つですよ」
早草さんが岡根くんの質問に私の代わりに答えた。
「今ここにいる全員がご存知だと思いますが、違うのか?」
と羽田くんが主張して、まだ何も言わなかった人たちに聞いた。
「私は知ってる」
「私も」
「俺も」
これを聞いて、羽田くんが自分の主張が間違いじゃなかったからちょっと笑った。
「で、その大会はどうした?」
友達に伝える時がついにこの質問のおかげで来た。ありがとう、関ヶ原くん。
「実は、昨日招待の案内の手紙が私に送られてきました」
次の瞬間、みんなの反応は衝撃的だった。
「えええ?!」
「え?!」
「...」
「何やと?」
「本当!?」
「な...おいスゲーじゃん!」
最初に喜んだのは関ヶ原くん。さすが親友。
「皆が私の友人だから、一番早くにあなたたちに言いたかった」
「素晴らしいわね、ありがとう中村くん」
「大事な友人だからそれは当然ですよ、天谷さん」
「あの...」
世良さんが何かを聞きたかった。
「なんですか?」
「その大会で一体何をします?」
それは重要な質問だなー。今すぐ答えるつもりだ。
「合気道」
「強ぇえなぁ」
「会長は合気道がとても上手ですよね。おめでとうございます」
「こちらこそありがとう、世良さん」
「おめでとう、会長。君がこれで私を永遠に倒したな」
あ、そう。この大会は主に高校生のためだから、私と違って天谷さんにはもう行くチャンスはない。
彼女は強い女の子で、スパーリングの相手。招待されなかったのは、非公式だが事実上の負け。
「天谷さん、そのようなことを今言ってはダメですよ。このまま会長は気がとがめてしまう」
早草さんが天谷さんを注意したが、それは必要がなかった。
「大丈夫です、早草さん。そんなことはありません」
「良かったね」
「あのね会長、今日はお祝いの案件だよね?」
「そうだそうだ、何か楽しいことをしようぜ」
岡根くんの考えに関ヶ原くんがすぐ乗った。
「パーティーは行けるね?」
私も行きたいが、今週はあまり時間がないな。
「残念ですが、今週は結構忙しいんです。来週まで延ばしてしまいます」
「そうか...」
みんな一瞬でガッカリしてしまった。
「遊びたかったのに...」
「しかし、今日みんなとご飯を食べに行くなら大丈夫です」
最低でもそれが出来る。
「いいね、楽しみ」
陽気を出してもらったな。
「そして、あの、羽田くん」
「はい?」
「君には頼みがあります」
「どんな頼みですか?」
「後で学生全員に、私のように初回全日本少年スポーツ競争大会への招待をもらった方が1時半まで生徒会室に来てくれるように放送して呼びかけてくれませんか?」
「急な依頼ですね。まず許可を取らないとなりませんが、その後は任せてください」
彼に笑顔を見せた。
「ありがとうね、借りが出来ましたな」
羽田くんも薄い笑いを見せて頷いた。
「その放送で何をするつもりですか?」
「いい質問ですね早草さん。ここの招待された学生たちと組んで、学校に練習のために適当な援助を求めようと思いました。招待された生徒たちのために出来るだけ大きなサポートを確保したい」
「なるほど」
と言って彼女が頷いた。
「あ、なんて有益で力になる優しい考えですね。素敵」
世良さんが手を合わせて称賛した。
「ありがとうね」
笑顔を浮かべて彼女へ感謝を伝えた。
「どう...いたしました...」
感謝した後、彼女の頬が赤く染まっていた。昨日と同じじゃないか。
私のことを考えすぎると言っていた。
こんな親切な思いがありがたいんだが、過度じゃない?顔が赤くなるまで人のことを考えるって普通じゃない。例えば親友の関ヶ原くんはそんなことをするわけがない。
とにかく、伝えたかったことを全部伝えた。授業に戻る時が来た。
その次私は立ち上がって、ドアへ向かう前に友人たちを見た。
「じゃあそれで。ご飯まで待たせてもらいます。みんな来てね」
「はい」
「分かった」
「来ますよ」
みんな頷いて、私と同様に立ち上がった。
「じゃあまた」
さて、これで教室へ戻った。
///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
計画通りにメッセージが放送された。その直後に第一回全日本少年スポーツ競争大会がみんなの唯一の話題になった。私の同級生がそれについてしか話していなかった。
私も話かけられたが、招待された人々の集まりまで待ちたかったから具体的に何も言わなかった。
そして友達とご飯を食べた後、生徒会室で1時半まで待っていた。
疲れるほどずっと待っていたが、誰も来なかった。
信じられなさすぎてビックリした。
私一人が招待されただと!? 私以外誰も招待の案内をもらわなかっただと!?
独りぼっちかよ!
唖然として額をさすった。
この集会は大失敗だな。恥ずかしい。
コンコン
誰かがドアをノックした。
今さらもう遅いんだが?誰だよ
呆れるぞ、本当に。
「おーい中村くん、もう終わったか?」
関ヶ原くんか...
「終わったよ。もう来てもいいんです」
「じゃあ入る」
ドアが開かれた。
「お疲れ様中村くん、邪魔するぜ」
「こ...こんにちは、会長。き、今日もお疲れ様」
今日も荒沢さんを連れて来た。
二人はよく一緒に時間を過ごすようだね。
「両方ともお疲れ様です」
関ヶ原くんが即座に机の前のアームチェアに座ったが、荒沢さんがもっとゆっくりに座った。
行儀の方は彼女が圧倒的に良い、相変わらず。
「なあ中村くん、君以外、何人が招待された?」
さすがに早いな、質問は。
すぐに真実を言わないといけなくなってしまった。
「あの...その人数がゼロですが...」
やはり恥ずかしい!
「えっマジ?」
笑い始めそうだった。
「恐らくマジです...」
「ハハハハハハハハハハハハハハハ!なんてことだ!」
そう、とんでもないだね。こうなって欲しくなかった。
「待つのも時間の無駄だったな!」
確かにそうだった。その時間を勉強のために使っていたら良かったのに。
「でもよ、一強じゃなーい?」
「私から見たら独りぼっちの方が近いと思うんだが」
「自虐止めろよ」
自虐か。
予測していなかった意見だが、反論したい気になった。
「でも私っ」
「あのっ」
荒沢さんと同時に話し始め、同時に話を止めた。
彼女は両手で口を覆った。でも覆われていなかった頬はとても赤く見えた。恥ずかしかったでしょう。
「荒沢さん?」
「は、はい?」
「宜しければお先に話してもどうぞ」
紳士のように対応してレディーファーストにしましょう。
「す、すみません。いきなり喋り始めてそのせいで割り込んでしまいまして...」
「何でもありません。気にせずにどうぞ」
「ほ...本当にその...ものすごい大会に招待されましたの?たった一人で?」
まだ内気だったが、少なくともしっかり話せた。
「そうです、その通り」
「すごい...」
「ありがとう」
「で...どのスポーツをやります?」
「合気道を」
「うわ...会長、カッコいいです」
「評価してくれてありがとう」
その次、彼女の頬が赤く染まっていた。
なんだ、また世良さんのような反応する。二人の振る舞いが似すぎるじゃない。彼女も私のことをよく考えているのか。
「そ、そう...会長を高く評価していますし、応援したいのです」
「それはありがたい」
「ねえ完治くん、会長を見にスタジアムに行きましょうか?」
質問を聞いた後、彼女と共に関ヶ原くんを見た。
でも彼を見て驚いた。怒っていた表情をしていたが、あの怒りはただの怒りじゃなくて、疲れたような怒りだった。
「残念だが、その時スタジアムに行く暇はない。副会長として会長が不在の時期、会長の義務を果たさないとならない」
ああ、分かった。
ガールフレンドと会話しすぎて怒ったんでしょう。そういうタイプのボーイフレンドだな?
我慢したんだが、明らかにこれは好きじゃなかった。
ちょっと止めるかな。
「そうか...残念」
彼を聞いて荒沢さんはすぐにガッカリしてしまった。
まあ、私も残念だと思う。仕事は仕事だが、友達は直接見に来れないのは悔しい。
とにかく、大会の話題はもう十分。一日これについてしか話さないつもりはない。
他に話したいことも少なくとも一つある。
「あのー荒沢さん?」
「はい?」
「突然ですが、またコーヒーを持って来てくれませんか?」
顔が赤くなったが、即座に返事した。
「は...はい!喜んで!すぐに持って来ます」
「ありがとうな」
と感謝したが、珍しく関ヶ原くんは沈黙していた。
彼女は早く立って室から出て行った。
出た後関ヶ原くんが口を開いた。
「なあ、さっきのはどういうつもり?」
「昨日君は荒沢さんに政治のことを聞かせたくないからコーヒーをっ」
「皆まで言うな、分かった」
こんな風に割り込むなんて、とっても親切じゃないか。いい度胸だな。
「政治か...俺の耳に毒のような響きだが、話したいなら話そう」
「あの、それだから話したかったさ」
「何?」
眉をひそめた。
「昨日、君にどれだけ敏感なことだと良く分かりました。でも理由はまだ知りません。どうして政治と政治家に対してそれほど強い嫌悪感を持っている?」
次の瞬間彼の目つきがすごく真剣になった。
「その理由は内緒」
即座に答えるわけが端からなかったが、諦めるつもりは私にはなかった。
でもその情報を得るまで諦めるつもりはなかった。
「なんで?」
「言いたくないもんなんだ。人の秘密にしつこく首を突っ込まないでくれ」
「秘密?なぜ知ってはダメ?」
「ダメなんだから!」
そして昨日のように感情的に怒り始めた。
それにも関わらず、止める気が全然なかった。逆にもっと積極的になった。
「トラウマがあるからですか?」
「だから何っ...」
当たったな。
熱く議論し続けたかったが、あの言葉を聞いてすぐ黙った。
「やはりトラウマだよな?」
「違う!」
「それ噓に決まってんでしょう」
否定したかったが、私こそ関ヶ原くんの否定を否定した。
でもこれで関ヶ原くんの目にもう親しみを見れなかった。
「しつこい!ほっとけよマジで」
「ダメだ。君が悩んでいるから君の苦悩を知りたい。親友として助けたいのさ」
嫌われるかもしれないが、無理矢理でも助けたいと決断した。
彼もカンカン怒って、協力的じゃなかった。
「助けたい?ほっとけよ、俺の苦悩は一生消えないほどの苦悩なんだ」
「いいえ、完全に治せなくても今全力で関ヶ原くんを助けたい。言ったでしょう、いい政治家になりたいって。親友さえ助けれないなら、国民を助けれると言い切る資格がないんだから」
「いい加減にしろ!頑固すぎるんだ!」
「友達、特に親友のためならいくらでも頑固になれる」
「この...」
ああ、やりすぎたかもしれない。
さっき以上に怒って、拳を握った。顔面の血管も太くなって良く浮き出ていた。
ブチキレた。
「何にも知らない癖に偉そうに...」
うわ、絶対に嫌われる!
友達も辞めるかもしれない。
「...」
どうした?これ以上叫ばないの?
緊張しているが、なんか強い違和感がある。
「...待って」
あ、もしかして...冷静になったか?
テンションが高すぎて汗をかいてしまった。
「いいだろう、話してやる。中村くんの善意が分かった」
彼の血管も元に戻った。
喧嘩にならなくて良かった、本当に。
「ただし、二つ条件がある」
条件?
「どんな条件ですか?」
「一つ、俺ら以外誰にも話さない」
「あ、了解。心配する必要がありません」
「二つ、藤花ちゃんが戻って来たら、話が即座に終わる」
「それも了解です」
守りやすい条件だな。
「じゃあ始める」
わくわくして、聞き耳を立てた。
「俺は孤児であること、知ってるよね」
「はい」
関ヶ原くんはプライベートについてあまり話していない。彼と色んな物事についてよく話しているが、プライベートについて知っていることは数少ない。
孤児であることはそのご存知の数少ないことに含まれている。
「小学生とその以前の頃を...この世界の一番暗い場所で過ごした」
なるほど。関ヶ原くんがいた施設は全然幸せな所じゃなかったようだ。
だが政治家への嫌悪とどう繋がるかな。
「あそこで育つと悩むのが当然。過去を語りたくなくても仕方ない」
まだ早いが、小さい仮説を立てた。
もし、そんな嫌な孤児院を政治家が許したから政治家を嫌っているのか?
「でも幸いあんなくそみたいな場所にもテレビがあった。毎夕テレビを見て落ち着けてた」
テレビがありがたい存在だったように聞こえる。一体どれほど酷い施設だったか。
「そしてある日、普通にアニメを見る予定だったが、誤って違うチャンネルに変えた。本来の話がこれから始まる」
見たことが全ての原因だったな。具体的に何だったんでしょう?
「見てたのはニュースだった。あの頃ニュースなんかには全然興味なかったが、インタビューされてた人物のある言葉を聞いて、非常に感動した」
筋書きがもっと深くなった。テンションがより高くなった
「どの言葉?」
「『人権』、しかも子供の人権」
ま、まさか...あの施設で関ヶ原くんと他の孤児の人権が侵害されたのか!?
直接には言っていないが、確かに仄めかしている。
それは本当なら、プライベートについて話さなくて仕方ない!もう話が不気味になってしまっている!
「おい中村くん、そんな表情して...分かったんだろう?」
あ、口を開いてしまっていた。暗くて信じられないから気づかずにこんな反応したか。
「あの...嫌ならもうっ」
「いいんだ。これまで語って、途中で止めるわけにはいかない」
少し落ち着いていたが、まだ彼のストレスが高かった。悩みについて話し続けたらストレスが解消されるのかな?
「あの人物のインタビューを全部見て、深く感動した。子供の人権って素晴らしくない?俺たちにも適用されて欲しくて涙を流した。彼は俺に希望を持たせて、俺の暗い世界に光を与えた。いや、正しく言えば外の世界は明るいと知らせた」
やばい、そんな美味しい話で始めたら必ず後が大変になる。岡根くんの悪夢を良く覚えている。
「それをきっかけに一人だった時ニュースを見始めた。そして数日後、あの人物が政治家だったことが分かった。しかも大物政治家だった」
これが...初めて『政治』に触れた瞬間...
「あの頃はね、政治のことを良く知らなかった。政治という概念は俺にとって『国家を動かす』っていう意味だった。そして政治家の印象は『国の大人』みたいなものだった。子供が両親や先生の言うことを聞かなきゃならないように、国民が政治家に従わなきゃならないみたいなイメージだった」
「言い表して助かる。君の例えが分かった」
「そして俺は政治について調べ始め、色んなことを勉強した。俺も政治家になって、世界に正義を広めたかった。だが...裏切られた」
何?どういう意味?
関ヶ原くんの信頼を裏切った何かのスキャンダルか?
「裏切られただと?具体的に何があった?」
それを知れば何かを言って助けようとするかもしれない。
「ある日あの人物が俺らがいた場所に来た。最初は俺らを助けに来たと思ったが、大きく間違ってたんだ」
次の瞬間、関ヶ原くんがまたカンカン怒った。怒りで体が酷く震えた。
「俺の喜びの挨拶を完全無視して、『所長』と会ってた。そして笑いながら所長から報告書を受け、所長に金が入ったスーツケースを渡した。俺は信じれなかった!尊敬してた憧れのヒーローが一番嫌いな悪魔みたいな存在とグルだったことが分かった!」
これは酷い!二の句が継げなくて自ら口が開いた。
「直接に裏切られた!あの野郎にずっと綺麗な言葉で騙されたと分かった!味方じゃなくて、敵だと分かった!」
ああ、私もこれを聞き続けると激怒した。親友のために心が痛んだ。大切な友人がこんなに酷いことを体験して、黙って容認してたまるか!
「その政治家は誰だ?」
私が政治家になったら、必ず正義が果たされるようにしてやる。
「後ほど言ってやる。話はまだ終わってない...これからもっとやばくなる」
ドン引きした。もっとやばくだと!?
「奴の取引が終わった後、帰る前に俺が話をかけ、二つの質問をした」
「どんな質問?」
「まず、なぜ晴れて人権とか暮らしを守るとか言いながら密かにそんなことをするのか。言動が大きく矛盾してたから聞いた。そして、なぜ平気で噓をついて人を騙すのか。騙されたと分かった人々が怒ったり、悲しくなったら自分が恥ずかしくないのかと聞いた」
なかなか正当な質問だったな。聞く権利が勿論、答えを得る権利もあった。
「どう返事しました?」
「第一の質問に、『金と利権』が欲しいからと直接的に答えた。金の意味は当時理解してたが、利権という言葉自体は知らなかった。『権利』に近い言葉だから最初に別に悪いことを思わなかったが、その言葉の意味が分かった後甚だしい怒りを感じた」
実に気持ち悪い。
「それと第二の質問に、他人を言葉で掴んで自分に選挙で投票させ権力を与えさせるほどの才能がある頭の良い人間が・引用:統治するに値する・からと言った。あいつみたいな自称頭の良い人間が・引用:大衆とは格が違う・から。噓や騙しが数十年にわたって何度でも通用したら、何度でも当選したら平気でやれると言った。ただし、・引用:汚職を注意深く隠さないと・って」
もうおぞましい。鉄槌を下さないと本当にダメ。
この文を言った間、関ヶ原くんの怒りもピークを迎えた。
「誰です?どうしても罪の代償を払ってもらわないとなりません。深刻です」
「もう死んだが、中田元総理だ」
「なんだと!?」
すぐ見開いた。
信じられなかった。関ヶ原くんが言っていたあの人物はまさか大物中の大物政治家。真相の詳細は知らないが、関ヶ原くんはもし知っていることを全部暴露したら大ごとになる。政界にとって前代未聞の激震かもしれない。
「本当ですか?与党の元幹事長兼元副総裁兼元総裁が?『五長政』の一人?」
「なんだ、今自分の苦悩を打ち明けてる親友より会ったこともない政治家を信じるか?『五長政』だから?」
五長政
終戦直後、ある5人が同時に各地の帝国大学を卒業し、卒業数年後若手政治家になった。現在の与党の創立から政治をしていた。60年代後半から彼らの影響力が急増し、彼らが与党及び国のトップに上がった。団結力も運営能力も高く、無敵の集団だった。彼らのおかげで50年代半ば以降、政権交代には一回もなかった。永遠の与党を果たした大将たちだった。
勿論、その与党一強は多くの人間が気に食わなかった。彼らの権力と影響力が高すぎると感じていた人が多かった。だから敵も沢山いた。その敵が与党、特に五長政に対して色んな不正や犯罪の主張をした。様々な陰謀論は世に出た。
その陰謀論の一部は真実だったと発覚され、スキャンダルが多少あった。数十年にわたって色んな政治家が逮捕されたり、議員辞職せざるを得なかったり、自決までやったが、五長政が身の潔白を保って来て長年統治し続けた。
竹下一
竹中力
中田久
矢野仁
古田正
単に言うと、彼らは戦後の偉人。まだ終わってもないし。今年矢野元総理で4人目が死去したが、古田さんは未だに総理大臣です。今年100歳になるが、体も頭も非常に健全。
五長政がなくなると世界が滅ぶとも言われている。
「で?どうした?」
鋭い目で私を見た。間違いなく私の信頼を問っていた。
「大丈夫!私は絶対君の方を信じていますから」
「ホー...なら、俺の話を聞く前に五長政についてどう思ってた?」
「実は前からもこの国の政界には問題が山ほどあると思っていました。だから政治家になって政治を良く変えたいと決めました。将来影響力を持つ政治家になったら、私の路線が五長政の路線とは全く違うものになります」
「そうか...」
一瞬関ヶ原くんの表情が普通の表情になったが、1秒後また目が鋭くなった。
「俺はな、政治家が大嫌いだが、親しい人は夢が政治家になるというもんならしょうがなくその夢が果たされると良いなって思っちゃう。優先ということがあるから」
「...」
何も言わずに彼の言うことを最後まで聞いた。
「つまり、自分の憎しみより友達の幸せを優先してる」
「それは優しくて寛大です、関ヶ原くん」
「だが、君が俺の憎しみを解消出来るのか?言っとくが、それはトマト嫌いの俺にトマトが入ってる料理を食べるように説得することより難しい」
「チャレンジしてみましょうか?」
「何?」
自発的に言ってしまったが、後で訂正しなかった。
「チャレンジだ。将来政治家になってから優しくてしっかりしている政治を出来たら、君の憎しみを解消出来るかどうかを見てみましょうって言っています」
深く考えているように見えた。
「ホー...面白い。で、何を賭けるんだ?」
賭ける物...ベットのことだな。そんなものはたった一つ。
「意志かな」
「...どういう意味?」
彼を納得させようと自信を持ってこう言った。結果を見たかった。
「このような場合には、結局誰が正しかったということはいい賭け物ではないかと思います。もし君の憎しみを解消出来なかったら、それは私の努力が足りなかって失敗したということになります。精神的に重い負けの気持ちになってしまうから適当な賭け物だと思います」
また深く考えているように見えた。
ああ、感じる。これはハイレベルな政治的な議論のようだ。
「そうか、なるほど...」
もう一つ言いたかったが、関ヶ原くんもまだ話が終わりじゃなかった。
「ハハハ...ククククク...はい、意志だな。確かに誰が正しかったかを見るのをずっと期待するのは興味深く、スリルもある。よし、君のチャレンジを受ける」
なんかこんな風に笑うのはとても変だが、とにかく受け取って良かった。
「合意しましたね?」
握手を交わすために手を伸ばした。
「合意したんだ」
これで関ヶ原くんも手を伸ばし、二人は握手を交わした。それと二人とも笑った。
「良かったね。頑張る理由がもう一つ増えました」
「期待してるぜ、中村くん」
「関ヶ原くんのトラウマを絶対治します!」
「軽く断言するな」
一瞬だけ真剣に注意したが、すぐにもう一度笑顔を見せた
「出来るなら良いと思うんだが、確実に出来るまでに『やれるなれやってみろ』みたいなもんだ。いいか?」
「はい、分かりました」
頷いて理解を示した。
コンコン
「あの...入ってもいいですか?」
あ、荒沢さんが戻った。
「じゃあ、藤花ちゃんが来たからこの話は終了」
昨日よりはるかに良い気分で話を終わらせた。
「文句はありません」
「ちなみに、藤花ちゃんが来ただろうが来なかっただろうが関係なく、これ以上俺の過去について話すつもりはない。どうせ十分に情報を上げたと思う。いいか?」
まあそれに対して文句はあるんだが、今議論し続けたら荒沢さんを待たせてしまう。早く一回頷いただけ。
「入って」
優しい声で関ヶ原くんが言った。こんな優しい声を彼女に対して以外に使っていない。
それから荒沢さんがドアを開けてコーヒーを持って来た。
また『cumbucks』の、すごく美味しい。特に白い部分。
「持って来ました」
カバンをテーブルに置いて私たちにコーヒーを上げた
「ありがとうね」
「ありがとう、藤花ちゃん」
「どういたしまして」
それから関ヶ原くんは一回手を叩いた。
「さて、授業が続く前にコーヒーを飲んで寛ごうぞ」
同意見。
「はい」
それで静かにコーヒーを飲んで楽しかった。
「あの、会長...」
3分後、荒沢さんが静けさを破った。
「何ですか」
「練習をどうするつもりですか?聞いてもいいの?」
「まず先生と相談しようと思っています。今具体的にどんな練習をするか分かりません」
「そうですか」
ベルが鳴るまでこのような世間話をしてきた。
荒沢さんは色んな質問をして、私がその質問に返事した。関ヶ原くんも気分が比較的に良かったから私たちを止めようとしなかった。
でも止める時間は鳴りで来てしまった。
みんなが立ち上がった。
「あ、行こうか、藤花ちゃん?」
「うん、行きましょう、完治くん」
彼を見てから私の方を見て、私に向かう一言を言った。
「会長、今日の会話はとても楽しかった。質問に全部答えてくれてありがとう」
「どういたしまして。こちらも楽しかった」
彼女と話をするのは確かに楽しい。確かに内気だが、優しく会話出来る相手だ。良く会話出来れば、吃りなく自然に話せる。少なくとも世良さんより。
「では、また明日」
「また明日、会長」
「また明日、中村くん」
これでみんな生徒会室から出て行き、自分の組へ戻った。
///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
また長い授業がついに終わった後、家に帰った。
家に入って親に迎えられた。
「こんばんは、英五郎!」
「こんばんは」
早く迎えて、すぐに部屋に行った。
宿題がマジで疲れるほど多い。でも、スポーツ大会のための練習も多分疲れるほどきつくなる。そして近いうちに大学も。本当にちゃんと長く休める機会は私にないな。
だが、これほど努力して大物政治家になれば、社会の多忙を決して減らす。これは必要です、無数の人々に。あのスポーツ大会で優勝して知名度を高めるのがその道の第一歩。
未来のためならもうちょっと我慢する。未来は、良くなる。