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ぼくは信長  作者: ほすてふ


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40/54

継承

 越前の始末の仕上げは、筆頭の部下である柴田に任せることにした。

 支配領域を分割して軍団とともに管理を預ける。

 あくまでぼくの代理としてだ。念のため馬回から目付も付ける。


 このような体制にしたのは万一の事態が起きた場合、現場判断で軍を動かせるようにする必要があるからだ。

 距離が開いているということは連絡に時間がかかるということだ。数日判断が遅れて致命的な結果が出ることは多い。

 とくに冬には雪で閉ざされ孤立する地方であるので経験と能力がある者でなければ任せられない。


 とはいえ近くの大きな勢力は上杉くらいで、これは現状友好的中立であるし、武田というエサもあるため心配はないだろう。

 当面は税を取らず、民心を落ち着かせることに専念させることになるだろう。

 難しい判断が必要な時は気軽に相談するように指示してあるのでそうそうまずいことにはならないだろう。

 様々な状況に適応するものや器用に何でもこなすもの、朝廷への対応がうまいものなど部下には色々いるが、周囲に認められるためにも軍事指揮官として有能で筆頭であるという条件がやはり必要だった。

 内政に限ればもっと適任はいるのだが。まあ今回は内政面で難しいかじ取りは必要にはなるまい。

 関所の撤廃を除けば目新しいことはしていないし、反織田姿勢が強い本願寺派は根切りにした。あの様子を見て改めて反抗したいと思うものは少ないだろう。



 さらにうれしい知らせが続く。


 信忠が、武田に奪われていた美濃国内の重要な城を奪い返したのだ。

 長篠以来五か月続けていた攻撃が結果を出したのである。

 これにより信忠はぼくがいなくとも武田に勝ったという実績を得た。

 武田は味方を庇護する能力がないということが証だてられ、求心力がさらに低下することだろう。


 そして、この機に、信忠に家督を譲ることにした。


 美濃尾張を信忠に任せる。武田への対応と徳川への見張り、何よりも本拠である二国を譲ったことで後継者として示すことが目的だ。

 官位もいただいたし、ぼくが名乗っていた官職にもつけてもらった。

 ぼくの後追いで任官を受けることで後継者という認識は強まっていくだろう。

 岐阜城からも下がり、岐阜にいる間は部下の屋敷に世話になることにする。

 これで美濃尾張の者はぼくがいるとしても信忠に頼るようになるだろう。

 最悪問題があってもぼくに相談したり出張ることもできるので、健在なうちに家督を譲ることができるのは都合がよい。

 世の中にはそれが許されないものの方が多いのだ。

 陛下には申し訳ない気もするが。余裕ができたら譲位の話も進めなければ……。


 今は織田の話に戻ろう。


 信忠の公卿補任と合わせ、ぼくも官位と官職を進めることになった。政務の担当官と禁裏を守る大将だ。かの頼朝公以来のことらしいが、ぼくの現状に適当な官職かもしれない。

 これで権威としては義昭さまと対抗できる程度になったが、本格的に朝廷の序列の内側に入ったことにもなる。

 信忠に家督を譲ったのはそのためでもあった。

 一つのことを決めるにも多くのものごとが関わってくるので大変だ。


 越前と武田を抑えた以上、次の戦場は畿内、南と西になるだろう。

 西についてはどこまでを勢力下に収めるかを毛利と調整している。

 京の周辺の敵対勢力は片づけてしまわなければならない。


 新しい体制迎える新年はどうなるだろうか。

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