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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

竹野小鞠ちゃん

竹野小鞠と秘密の花園

前作短編のファンレターの君こと竹野小鞠ちゃんが、新たな出会いを果たす物語


※この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。名前とか参考にしてるけど関係ありません!

 「いやー、小鞠ちゃんの原稿はあいかわらずおもしろいよっ!」


 「いえいえ、お姉様の原稿こそ神の原稿です!」


 私こと竹野小鞠は、授業が終わってすぐに生徒会室に駆けつけ、部屋の主である奈々美お姉様とお茶会と称した原稿の見せ合い会を楽しんでいた。


 「でも、いつも付き合わせてごめんね? 反応があるとやっぱり書きやすいんだ」


 「いえいえ、神原稿を一足先に見れるだけで満足です! それに、私の原稿も読んでくださいますし!」


 「面白いから当然だよっ! でも、それだけじゃ悪いし…… そうだ!」


 そういって鞄の中をごそごそする奈々美お姉様。と、そこから金属の小さなケースを出してきて、そこからピッと紙片を取り出してこちらに渡してきた。


 「これは……?」


 「私の名刺! 作家になったから作ったんだー。でも最初は特別な相手に渡したくて…… だから、私のファンである小鞠ちゃんに、是非渡したいの!」


 「わ、私なんかでいいんですか!?」


 「小鞠ちゃんだからいいの!」


私なんかがそんな重大な相手でいいのかなって思ったけれど、真剣な目でそう言ってくれることだから、ありがたく受け入れることにした。


 「で、では受け取らせていただきます……!」


 「うむ、受け取ってくれたまえー!」


 大仰な仕草で渡された名刺。小さな紙片なのに、紙片の持つ重さは圧倒的で。


 最初の一枚だから、特別に直筆サイン入れたんだよー、ってはにかんでいるお姉様を見ると、なんだかこちらも嬉しくなってきて。


 「名刺ありがとうございました! 大事にします!」


 「こちらこそ! また原稿もお願いねー!」


 そんなやりとりがあって、私は生徒会室を退室したのだった。





 ふふふーん、ふんふんふーん♪


 先ほどのやりとりで上機嫌になっていた私は、寮へ帰ろうと廊下を歩いていた。


 そんな移動の途中、何か妙な動きをするものが見えたような気がしたので窓から中庭を覗いてみると、きょろきょろと周りを警戒しながら、ぴょこぴょこ歩いている子を見つけた。

   

 あの子は、確かクラスメートの千代(ちよ)ちゃんだっけ。銀髪ロングで肌が白い、お嬢様みたいな雰囲気の子なんだけど…… いつもぽやーん、と眠そうな目をしてて、休み時間も窓の外を眺めてぽやーっとしてるのよね。何考えてるのか気になるからお昼誘おうと思っても、気がついたらいなくなってるし。


 そんな子が普段とは違って、身軽そうにぴょこぴょこ動いて、どこかに向かってる。しかも周りを気にしつつ。


 そもそも今は中途半端な時間。部活に行くならもっと早い時間だし、部活終わりの時間はまだまだ先。


 (気になる……)


 尾行するなんて悪いかなと思いつつも、気になるので追いかけてみることにした。窓を開け、お嬢様にはあるまじき行為だなと苦笑しつつ中庭に飛びおりる。そして気づかれないよう距離を離しつつ付いていくことにした。




 千代ちゃんは、中庭真ん中にある小さな礼拝堂へと入っていった。


 入って数秒たったのを確認し、入り口の陰へとかけより、気づかれないようにそーっと中をのぞき込む。


 薄暗い礼拝堂内。奥からの光が入り込み、浮き上がって見える祭壇。


 千代ちゃんはというと、照らし出された祭壇の足元でしゃがみ込み、なにやらごそごそしているみたい。


 (なにやってるんだろ……)


 よく見ようと思って、そっと首を伸ばしてのぞき込む。


 どれどれ…… と目をこらした瞬間、首の後ろに衝撃を受けて、目の前が真っ暗になった。





 花のにおいがする。それと首下に何か柔らかいもの。まぶたの裏が明るく感じる。


 もう朝か。肌触りから考えて制服着たまま寝ちゃったのかな。起きなきゃ。でも、この枕暖かいし、いい匂いもするし、あと5分くらい待って……


 そう思って体ごと90度回転する。あっ、柔らかい壁…… いい匂い……


 って、柔らかい壁? なぜ?


 いやいや、そもそも昨日部屋で寝たっけ? 


 そう、昨日は千代ちゃんを追いかけていて、礼拝堂の中をのぞいてたはず。その後の記憶はないけれど……


 あっ、でもこの壁、柔らかくて匂いもいいから、たまらない……


 そう思ってぐりぐりと頭をこすりつけていると。


 「くすぐったい」


 頭の上から小さく透き通った平坦な声が聞こえたかと思うと、


 「おい、お嬢様から離れろ」


 そんなぶっきらぼうな声が後頭部から聞こえ、ぐわっと後ろに引っ張られ、自由落下に続いて草の感触があったかと思うと頬から地面の冷たさが伝わってきた。


 「こら、シル。そんな冷たい対応しちゃダメ」


 「しかしお嬢様、こいつはお嬢様に膝枕され、挙げ句の果てに顔をお嬢様に押しつけるなんてうらやま……もとい不埒なことをしたんですよ! うらやま……けしからん!」


 「なら、シルも膝枕してあげる」


 「え、そ、そんなことは私には過分であるというかちょっと無理というか……」


 「シル、おいで。これは命令」


 「は、はい! では……!」


 そんな会話を、頬に冷たさを感じながら聞く。その声のする方をそっと見ると、小さな花が大量に咲いている草原の中、お姉様座りしている天使が一人、そして頭をこちらを向けて目をつぶっている、天使に膝枕された銀髪ロングで褐色肌の、メイド服を纏ったお姉様が一人いた。


 白、黄、赤などの小さな花々が咲いた草原にいる、銀髪の天使に銀髪のお姉様。肌の色も白と褐色で対比的で、まさに絵画。お母さんのような包容力を感じさせる妹と、甘えモードに入ったお姉ちゃん。そこには、何者も寄せ付けない神聖な空間が感じられた。


 「シル?」


 「な、なんでしょうか!」


 「あの子みたいに、こっち向いて?」


 「そんな! そんな不躾なことはできません!」


 「あの子に負けたままで良いの?」


 「勝ち負けなど、そんなことでできません!」


 「でも、シルにもしてほしい……」


 「そんな悲しい声で言わないでください! わかりました! やります!」


 もぞもぞと向きを変えるお姉様。


 「ん、えらいえらい」


 そんなお姉さまをなでなでしている天使。ってあれ、今一瞬目が合ったような……


 それは気のせいだったのか、気にせず、なで続ける天使。


 数分ほど天使はずっと撫で続けていて、お姉様はなすがままになっていた。


 天使はおもむろに撫でるのをやめたかと思うと、ぎゅっとお姉様の顔を自分のお腹に押しつけ始めた。


 「……っ ぷはっ! お、お嬢様! いきなり何するんですか!」


 もがいているお姉様。でも天使を傷つけないよう気をつけているのか、顔を離そうとしつつも逃げようとまではしていない。


 「何って…… あの子とおなじこと?」


 「あの子は自分で押しつけてましたが、今のはお嬢様が引っ張ったので違います!」


 「だって、シルは自分じゃ押しつけてこないでしょ?」


 「それは当然です!」


 「でも、千代はシルにぎゅっとしてほしいの。だからおとなしくして?」


 「っ! その言い方は卑怯です! わかりました! お嬢様にお任せします!」


 お姉様は体の力を抜いたようで、おとなしく天使に抱き込まれていった。


 天使はお姉様を抱き込みつつ、こちらを向いて話しかけてきた。


 「で、そこの子は大丈夫?」


 「むぉ! もぁまももぉ!」


 「シル、おとなしくぎゅってして? それとも千代じゃ不満?」


 「むぉむむぁむぉむぉむぁいむぇす!」


 私のことを思い出して天使から逃れようとしてたお姉様だったけれど、天使の一言が聞いたのか、再びおとなしく抱きかかえられていった。


 「この子は気にしなくて大丈夫。体は大丈夫? えっと、竹野さん……?」


 「あっ、はい! 竹野小鞠です! 元気ぴんぴんです! 小鞠って呼んでください!」


 ぱっと起き上がって、正座で対面する。


 「ありがと、小鞠。千代は金丸(かなまる)千代(ちよ)。この子はシル。この度はシルが迷惑かけた」


 その言葉に対してお姉様……シルさんは何か言おうとムグムグしてたけど、天使……千代さんが「おとなしくしてて?」と言ったことで再度おとなしくなった。


 「いえいえ、こちらこそ後をつけてたのが悪かったですし」


 「……ぷはっ! そうだぞ! そんな怪しいことしてたからわる」


 「シル、ステイ」


 「はい!」


 そしておとなしく抱き込まれるシルさん。


 「つけてきたのはどうかなと思うけど、きづかなかったのも悪いし。それに、だからといって危害を加えて良いわけじゃないから」


 そう言って頭を深々と下げる千代ちゃん。それによってシルさんが千代ちゃんの控えめな胸と太ももで挟まれてる。シルさんからは、むふぇ、とか言ってるのが聞こえるから、喜んでるんだろうなー。


 じゃなくて!


 こちらも悪いと思っているので頭を下げる。


 「いやいや、金丸さんも気にしないでください! おあいこと言うことで、ね!」


 「ありがとう、小鞠」


 顔を上げ、微笑んでくれる千代ちゃん。その表情は見る者を笑顔にさせる尊さで、まるで……


 「天使様かな?」


 つい口からこぼれ出てしまった。


 「おぬしもわかるか! お嬢様は天使様なのだ!」


 何故か早口で割り込んでくるシルさん。そして、再度ステイで黙らされてる。


 「その天使様からおねがい。ここのことはだまってて欲しいの」


 ウインクしながら言って、そして自分で天使と言ったのが恥ずかしいのか赤くなる千代ちゃん。


 「天使様の言うことですし、もちろん黙ってます!」


 「て、天使様はやめて…… 千代って呼んで欲しい」


 赤い顔のまま、こちらを上目遣いで見つつ頼んでくる千代ちゃん。


 「わかりました、千代ちゃん! 黙っているのは良いですけど、そもそもここってどこなんですか? 学園じゃないみたいですし…… はっ、もしかしてここは死後の世界で、」


 「ちがう。ここは礼拝堂の地下通路の先にある花園。出入り口に、ここも学園の一部だって書いてあった」


 ばっさりと冷静に否定してくる千代ちゃん。そこには先ほどまでの表情はなく、いつもの眠そうな感じの顔へと戻っていた。


 「学園にそんな通路や花畑があったんだ……」


 「元々学園には、何かあったときに逃げられるよう、いくつも地下脱出路があったらしいぞ。まあ平和な時期が長く続いているから先生方からも忘れ去られているわけだが。それをお嬢様が見つけたので、時折こうやって遊びに来ているのだ」


 もう良いだろうと思ったのか、シルさんが千代ちゃんから抜け出して説明してくれた。千代ちゃんは抜け出されてちょっと悲しそうな顔をしてる。


 「そんなことより、お嬢様が天使様だとか、お前さんもわかっているじゃないか! お嬢様が認めただけある!」


 「認め……?」


 「そうだ、お嬢様が名前呼びを許すとか、滅多にないことなんだぞ!」


 なぜだか自信満々に言い放つシルさん。ええ…… 天使って言っただけで認められるの?


 怪訝そうな顔をしてしまってたからか、千代ちゃんが補足説明を入れてくれる 


 「ちゃんと人をみて判断してるから。教室での様子から、大丈夫だと判断した。それに生徒会長からも信頼されているみたいだし」


 「でも奈々美お姉さ……生徒会長から何か言われたら話しちゃうかもよ?」


 「お嬢様の信頼を裏切るというのか!」


 「シル、ステイ。千代は、親友のいうことを守ってくれるって信じてる」


 そう言ってにやっと笑う千代ちゃん。むむ、その表情も小悪魔みたいでかわいい……!


 「う…… でも生徒会長は裏切れないから……」


 「その時はしゃべってもいい。でも、生徒会長にも口止めしてくれると嬉しい……。ここは仲のいい人だけの場所にしておきたいから」


 「秘密の花園、ってやつですね! 生徒会長に言われない限りしゃべらないし、生徒会長にしゃべる場合でも口止めします!」


 「ありがと」


 ほっとしたような感じもやっぱり


 「天使の笑顔……!」


 「だよな……!」


 すかさず同意してくるシルさん。


 「そういえば、シルさんはお嬢様呼びなんですね?」


 「シルにも千代って呼んで欲しいって何度かいってるけど、呼んでくれないの……」


 少し悲しそうな顔をする千代ちゃん。


 「千代ちゃんを悲しませるとか……」


 「ち、ちがう! お嬢様はお嬢様だから、気軽に私などが名前で呼ぶなどと……」


 「それでこんな悲しそうな顔をさせるの?」


 千代ちゃんの気持ちも汲んであげてよ、とちょっと怒りの表情を混ぜつつ話しかける。


 「い、いえ、そんなつもりじゃ……」


 「だったら名前で呼んであげれば?」


 「う、うう…… ち、千代……お嬢様!」


 「もう一声!」


 「千代お嬢様! すみません! 私にはこの呼び方が精一杯です!」


 真っ赤な顔でギブアップ宣言するシルさんを見て、仕方ないなと思いつつ千代ちゃんに話しかける。


 「どう? 千代ちゃん。それなら良い?」


 「ん、まずはそれでいい。そして、慣れれば千代って呼んでほしい」


 「だそうですよ? シルさん」


 まだまだこれからだね! とにやけた笑みでシルさんを見れば、なにかいたずらを思い付いたような顔で、


 「わーかーりーまーしーた! まずは千代お嬢様って呼びますね! 小鞠お嬢様!」


 「うえっ!? 私にはお嬢様はいらないよ!?」


 「いいえー、小鞠お嬢様にも同じ気持ちを味あわせますー!」


 「仲良いのは良いこと。できれば千代も混ぜてほしいけど」


 そんな感じで、3人できゃっきゃっと日が暮れるまでしばらく花畑でおしゃべりに興じたのだった。





 「そうだ、せっかく仲良くなったことだし、小鞠お嬢様は何か困っていることはないのか?」


 帰り道として薄暗い地下道を通っているとき、突然シルさんからそんなことを言われた。


 「んー そんなに困っていることはないかなー」


 「些細なことでも良いんだぞ?」


 何かを言わないと解放してくれなさそうな雰囲気を感じ、何か無いかと考えていると。


 「あっ、そうだ。名刺って作ってもらえたりします?」


 「そういうのはシルの得意分野。パソコン作業とかデザインとか、いつもお世話になってる」


 シルさんに聞いたのに、千代ちゃんが自慢げに返事をしてきた。


 「千代お嬢様の言うとおり、そういうのは慣れているが…… どんなのが欲しいんだい?」


 「えっと、好きな作家さんにファンレター出したら返信と名刺をもらったので、お返しに名刺を渡したいなって思って、そういうのに向いたのが欲しいの」


 理由に少しフィクションを混ぜつつ返答する。


 「ふむ、もらった名刺にどこまで載っているかだけれど、それなら名前とメールアドレスくらいの記載があれば良いかな? あとは自作サインや載せたいイラストがあるなら、そういうのがあっても良いかも」


 「サインは後でかき込んでも良いし、載せたいイラストもないから、後でメールアドレスだけお伝えしますね」


 「できればもらった名刺を見本に見せてもらいたいのだが……」


 「それはちょっと」


 さすがにあの名刺を見せるわけにはいかない。どこから正体がバレるかわからないし、なによりあれは私の宝物。他の人に見せるつもりはない。


 そんな気持ちが漏れ出ていたのかどうなのか、シルさんはあっさり引き下がり、


 「なら仕方ない。こちらでデザイン考えるから、まとまったら一度見せることにするよ」


 そういうことになった。


 その後も紙質や色合いなど、名刺についての希望を話し合っていたら、


 「千代とも交換……」


 顔は普段と変わらないけれど、なんとなくふくれた様子の声で千代ちゃんが口を挟んできた。三人でいるのにすっかり二人で話し込んでたから仕方ない。


 「そうですね、名刺が出来たら名刺交換しましょうね!」


 「ん、だからシル、千代のもお願い」


 「わかりました千代お嬢様! っと、もうそろそろ着きますよ! 周りに誰もいないことを確認してきます!」


 そう言って音も立てずに駆けていくシルさん。通路の途中で止まったかと思うと、壁の方を向いて、手足を引っかけつつ軽々と壁を登っていった。


 その地点まで千代ちゃんと二人でゆっくり歩いて行ったところ、上からシルさんが顔を出して、誰もいませんでしたーっと声をかけてくれた。


 「小鞠、先にどうぞ」


 「と言われても……」


 石壁には目立つ穴などもなく、どうやって登れば良いのか見当も付かない。


 困惑しているのを感じ取ったのか、


 「先に登るから、見てて」


 と言って、するすると登り始めた。その登る様子を見ていると、よく見ないとわからないが壁には小さなくぼみがいくつかあり、それを上手に使って登っている。


 なるほど、と登っていく様子を眺めていると、ちらっと白いものが見えた。


 (って、スカートだから下から見たら見えちゃうよ、そりゃ!)


 とはいえ登るための場所は見ないといけないので、目をそらすことは出来ず。ちらちら見える天使の布を出来るだけ気にしないようにしつつ、登る場所を確認していくことになるのだった。


 


 まねをして登り切ったところ、礼拝堂の祭壇の裏に出てきた。私が出てきたのを見たシルさんは、どこからともなく煉瓦みたいな模様の床板を持ってきて、そっと置いた。すると穴があったことなど感じさせないような自然な感じの床になった。


 「ここの床は、パズルみたいに仕掛けを解除しないと開かないんだ」


 そう言ってシルがふたの部分を強く押したり揺らしたりしたが、がっちり固定されているらしく、ふただと言うことを感じさせなかった。


 「そういえばシルさんが誰もいないか確認しに言ったけど、もし誰かいたらどうするの?」


 「その時は、誰もいなくなるまで待つだけだよ。ここに長居する人なんていないからね」


 「一度、地下で2時間くらい待ったこともある」


 「長居する人もいるじゃん!」


 「まあ、たまにはね。でもそのおかげで地下の探索も進んだし」


 「そういえば奥まで続いていたけど、あの先はどうなってるの?」


 「もう一カ所の出入り口に繋がってたけれど下からは開かなかったし、場所を照らし合わせたとこと、生徒会室っぽいんだよね、だからココさえバレなければ、知らない人が入ってくることは無いと思う」

 

 「なるほどー って生徒会室!?」


 「そう、だから生徒会長に伝手のある小鞠に、会長がそれとなく知ってるかどうかも調べて欲しい。それもあって通路の秘密を明かすことにした」


 「スパイかぁ。イヤだなぁ。というか、やっぱり裏あったんだ……」


 「でも親友になったことに裏はないから。伝手無くても親友になってたから安心して」


 そう言って微笑んでくれる天使もとい千代ちゃん。


 「入るのにはかぎが必要だから今は入り方を教えられないけれど、そのうち教えるから安心して」


 「いやまあ、そこは一緒に行くつもりだから良いけど」


 「一緒……!」


 そう言う千代ちゃんは嬉しそうで、なんだかこちらまで嬉しくなってきて。


 「あっ、でもなんでそんなかぎを持ってるの?」


 「それは秘密!」


 片目をウインクして口元に人差し指を当てるそのポーズは新鮮で。



 普段とは違う、仲間にだけ見せてくれる表情って尊いな。そう思うのであった。  

この後、どんな本を読むの?って盛り上がる機会があるんだけど、そこで千代ちゃんから渡された本が面白くて、次にあった時に感想を熱く語ったら2人が顔を真っ赤にするので、どうしたのって聞いたら千代ちゃんが著者でシルさんがイラスト書いてるっていうのがわかるパートがあるんだけど、それはまた別の機会に……!(アイデアばかり出てくる……)

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