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夫自慢

「そういえば・・・本日は遥様とこはくさんはいらっしゃないのですか?」


ルナの手料理に感動してから食べ終わったタイミングでサラスがその疑問を口にした。来たときから気になってはいたが、ルナの料理というビックな出来事に忘却していたことを聞くとルナは首を傾げて言った。


「今日は二人でお出掛けらしいよ。なんでもドラゴンの国に行くとか・・・」

「ドラゴンの国ですか?」

「・・・・お嬢様、それは本当ですか?」

「本当だけど・・・どうかしたのマリア?」


不思議そうに首を傾げたサラスとは対照的にマリアはその言葉にかなり驚いたような様子を見せていたのでルナがそう聞くとマリアは少し考えてから言葉を発した。


「いえ・・・ドラゴンの国というのが実在したことにも驚いているのですが・・・そこに普通に行ける遥様にも驚いてしまったので・・・」

「どういうことですかマリアさん?」

「私が昔読んだ記述だと、ドラゴンの国というのはこの世界とは別の場所にあって、人間ではたどり着けない場所だと書いてあったので・・・」


ドラゴンの国・・・いわゆるドラゴン達が暮らす場所らしいが、その存在どころか、その場所も行く方法すらもわかない秘境ーーーお伽噺レベルの存在の単語なのだ。

マリアは古い文献などを読むことが好きで、ドラゴンの国というものについては知識としては知っていたが・・・実在していることにも驚きだが、そこに行く方法を知っている遥にも驚いてしまっていた。


「そもそも・・・遥様は何故、龍種と知り合いなのかが気になりますが・・・」

「確かに・・・お嬢様は何か知ってますか?」


サラスのその言葉にルナは少し悩んでから首をふって言った。


「私も詳しくは知らないけど・・・多分、遥がクロさん達と知り合いになったのは3年前くらいだと思う」

「3年前ですか・・・」


3年前といえば、ちょうど魔の森の魔物が激減したのと同じ時期でーーー遥という人間が魔の森に住んでいることが確認されたのと同じ時期だ。


「・・・お嬢様、それ以前の遥様のことはご存知ですか?」

「それは・・・」


その言葉にルナはとっさには返せなかったが、しばらく視線をさ迷わせてからポツリと言った。


「・・・これから教えてもらう約束だから・・・その・・・まだ知らない」


ルナとしては遥のことでわからないことがあることがなんとなく嫌という気持ちがあるので思わず口調も弱くなるがーーーそんなルナの様子を見てマリアは苦笑気味に言った。


「すみませんお嬢様。少し気になってしまっただけなので気になさらないでください。それにしても・・・遥様はやはり凄い方ですね」

「凄いって・・・?」

「この家の装飾もそうですが・・・別邸の装飾なども見たことがないようなデザインなのに凄くしっかりとしていてお洒落に見えますし、この扉の魔法や別邸に施してある守りの魔法も一流の魔術師顔負けの凄まじいものみたいですし」


年の功と言うべきなのか、魔法というものに関して少なからず知識のあるマリアからして常識はずれもいいところなほどに別邸には強固な守りの結界が張ってある上に、別邸の扉と魔の森の家の扉を繋げるなんていう化け物じみた真似が出来る遥にマリアは心底畏怖を抱いてしまっていた。

そんなマリアの内心はわからずともサラスもその言葉に頷いて言った。


「確かに・・・この前のお嬢様の結婚式の衣装もそうですが、あの時の料理も私達が見たことがないのに凄く美味しい料理でしたしね」

「遥様は明らかに私達とは別の常識ーーー知識を持っているように見えます。こはくさんの件にしてもそうです」

「こはくがどうかしたの?」


不思議そうにするルナにマリアは少し言葉を選んでから言った。


「子供のドラゴンが存在することもそうですがーーーそのドラゴンにあそこまでなつかれることにも驚きです。まあ、お嬢様もかなりなつかれてましたが・・・」

「確かに、こはくさんはなんだかお二人のお子のようでしたね」

「こ、子供なんてそんな・・・」


自分と遥の子供ーーー思わずそんな想像をして恥ずかしそうに頬を染めるルナ。同性であるマリアやサラスでもかなり可愛いと思えたそれをきっと遥がいたら押し倒していたであろうことは明白だったがーーー残念ながら不在なのでそうはならなかった。


「まあ、とにかくーーーお嬢様の旦那様は凄いお方だと思います」

「うん。遥は格好よくて、凄いからね」


嬉しそうにそう言うルナにマリアとサラスは微笑ましげにそれを見てから頷いた。

その後は二人はルナが照れつつも遥の魅力について語ったり、ルナと遥の甘々なエピソードの欠片を若干聞かされたりして過ごしたがーーー自分達の主が幸せそうなのが何より嬉しかったのでそれも微笑ましげに見れた。まあ、甘々すぎる話に少し思うところがなかったわけでもないがーーーとりあえず、帰ったら二人ともなんとなく旦那に甘えようかと思えたほどではあったのだった。

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