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ロリコン教師は魔法で世界を救いたい  作者: ぺぐしる
第1章 ユリの薫る街
6/21

05 ロリコン、身バレする。

本編第5話です。


お願い、身バレは避けて有岡くん!あんたが今ここで身バレしたら、今後の人生はどうなっちゃうの? ライフはまだ残ってる。ここを耐えれば、あんたはまだ生きていられるんだから!


次回、「ロリコン、身バレする。」 営業スマイル、スタンバイ!


イツキさんの演説が終わると、子供達は親に連れられて家へと帰っていった。


「アリオくん、ちょっといいかな」


イツキさんは、俺を呼び寄せる。


「君と少し話したいんだ。魔法使いなんてそう出会えるものじゃない。今後の参考にさせて欲しいんだ」


…俺は何か怪しい行動をとったろうか。仮にそうだとすれば非常にまずい。

イツキさん(領主)が何を考えているか分からない以上、俺の出自を知られるのは得策ではない。

相手はリリー村の土地と領民を治める領主。

領主の一声は、領民にとって絶対服従の命令。拒否権などあるはずもない。

なぜなら、領地も領民も、領主の()()()だからだ。

使い捨てのカメラを処分するように、人間だって処分する。

それは歴史が証明していることだ。

俺が無力な村民である以上、領主に楯突くことは絶対に回避しなければならない。


…最優先事項は保身だ。

死んでは何もできない。死人に口無し、だ。

生存を確保した上でいろいろ探りをいれる。


「ロビン、チエリアさん。アリオくんは僕が送って行く。君たちは先に帰ってて」


イツキさんに促され、両親は先に家路につく。


「イツキくんはこっちね」


イツキさんは俺を【面談室】に迎え入れ、席に着くように促す。

失礼します、と声をかけ、席に着く。


「君は礼儀正しいね」


「両親からそういう風に教えられていますから」


「そっか」


彼は俺にボードと紙、それからボールペンを渡す。


「楽にしていいよ。アンケートに協力して欲しい。書きたくないところは書かなくていいから。空欄埋めながら待っててね。…僕はゼリー取ってくるからさ」

そう言って彼は部屋を後にする。


ボールペンをノックしてペン先を出すと、俺はアンケートに目を通す。


アンケートは実に簡単なものだった。

名前。年齢。職業。家族構成。それから恋人の有無。

これならば全て埋めても問題なさそうだ。


名前。

アリオだ。

年齢。

五ちゃい。

職業。

…無職、って書いておくか。

家族構成。

父と母。それ以外は知らない。

恋人の有無。

いない。


全て埋め終えたところに、お盆でゼリーとスプーンを2組ずつ持ったイツキさんが戻ってくる。


「あ、書き終わったね。お話も聞きたいんだけど、いいかな」


快諾する。


イツキさんは俺に向かい合って座る。

俺にゼリーを差し出し、食べながらでいいから、と微笑む。


俺はスプーンでゼリーを掬って口に入れる。

優しい甘みが口の中へ広がる。

すっごく美味しい。異世界の甘味、すごくいい。


「美味しいでしょ?それ。ユリの花びらが入ってるんだ」


へえ。ユリって美味しいんだなあ。初めて食べた。


「ところでさ、アリオくん。君さ、転生者でしょ」


思わずゼリーを吐き出す。

一体なぜバレた。


「この世界には、ゼリーなんて流通してないんだよ。さっき君はゼリーを食べたことあるような風だったし、現に僕のゼリーをなんの躊躇いもなく口に入れた」


変な汗が吹き出る。

まずい。バレた。速攻バレた。


「でも僕は、ゼリーだけじゃ判断材料として弱いと思った。それで、ノック式のボールペンを渡した。この世界にはボールペンなんて存在しないから、試すにはちょうどいいと思ったんだ。そうしたら君は、使い方を知っている風でペン先を出して書き始めた。僕は確信した。アリオくんが転生者だって。普通の子はこれじゃ書けない、ってほっぽり出すよ」


やばい。やばい。これは詰みましたわ。

完全に話の主導権を握られてしまいました。

こいつの俺TUEEEに協力しないと殺されるパターンですわ。

ああ、短い人生だった。さようなら、父さん。母さん。



いや、気を強く持つんだ。有岡真咲、30歳。

こいつはただの頭のおかしい保護者だ。

そう思えば怖くないはずだ。

頑張れ俺。


俺はビジネス用スマイルを顔にペーストして、動揺を隠す。


イツキさんは、だからといって何もしませんよ、と言って、自分の過去を話し始めた。


「…僕はね、ある地方都市で市役所の職員をやっていたんです。市民のためを思って一生懸命に働きました。ただ少し、恨みを買いすぎたんですよ」


イツキさんは、自分のユリ入りゼリーを一口食べて続ける。


「生活保護の審査をやっていた時期があったんです。僕は、生活保護の不正受給を発見した。上に報告して、支給をストップした。何年か経って、僕は違う部署に移りました。新しい部署にも馴染んできたときのことです。僕は家に帰るため夜道を歩いていました。すると僕が支給を止めた方が突然現れて、僕を刃物で刺したんです。それで死んじゃいました」


なんだそれ。

完全に逆恨みですやんか。

この人も理不尽な死に方してんだなあ。


ふむ。

俺がイツキさん(川口樹)のことを知りたいように、イツキさんも(有岡真咲)のことを知りたい、か。

自分が出自を明かすことで、俺にもそれに見合う情報を差し出させようとしているのだろう。


ここは乗っておこうか。


俺は自分の過去をかいつまんで話した。


教師だったこと。

不慮の事故から職を失い、社会的にも惨殺されて自殺を図ったこと。


「ずいぶんと不憫な亡くなり方をされたんですね」


同情された。

ところで、日本にはこんな言葉がある。


同情するなら金をくれ。


同情など要らん。俺は生存と自由を要求する。


「…さてアリオくん。いや、有岡真咲さん。本題に入りましょう」


イツキさんは、真面目な顔になった。


「実は、元教員のあなたに折り入ってお願いがあります。これは領主としての命令ではないですから、あなたは断ってもいいです」


面談室は、息がつまるような異様な緊張感に包まれる。


「あの子たちの、相談相手になってやってほしいんです」

領主のイツキさんも転生者だったようです。


早速弱みを握られたアリオくんですが、今後彼がどういう風に立ち回るのか。

ご期待ください。

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