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世界の終わりと花泥棒  作者: 柚
女の話とたまごふわふわ
1/2

崩れた完璧


ガシャリ、




つい先程、スーパーの安売りで手に入れた卵がアスファルトの上を汚す。女の華奢な手からはレジ袋が滑り落ちていた。



目線を下へと落とすと見るも無残になった生卵が嫌という程目につく。今夜、彼女はこの卵で"たまごふわふわ"なるお腹に優しく且つ経済的なものを作り、自分の腹を満たす筈だった。



しかもいつも買っている安い軟白ネギではなく、九条ネギを仕入れてある。そう、完璧だったのだ。彼女のたまごふわふわ計画は買うとこまでは完璧だったのだ。




その完璧な計画をぶち壊されたショックなのか、レジ袋を落とすほど鮮烈(・・)な目の前に広がる景色(・・)などは忘れ、たまごふわふわになる筈だった無残な卵をジトリと睨め付ける。



いや、それどころではない、今一番目につくのは、いや目を逸らしたいのはこんな卵ごときではない。彼女が目を向けなければいけないのは地面にへばりつく可哀想な卵などではないのだ。




それでも卵にガンをつけること数十秒、その行為が不毛だとようやく理解したのか、ふぅ、と一息ついて茶色がかったビー玉のような瞳を上げた。




そう、そこに


目を逸らしてはいけないものが建っている。

彼女のビー玉に映すべきもの(・・・・・・)が建っている(・・・・・・)のだ。








その正体は、赤く燃え、火の粉や黒い煙を辺り一面に撒き散らしているーー







「.......あぁあああぁあ!!!!!!!!!!」






もうほぼほぼマンションとは程遠い彼女の"住処"だったものなのだから。





卵が落ちてからもう一度理解するまで約3分。カップラーメンがおいしくでき上がる時間ちょうど経つと彼女の絶叫が住宅街に木霊した。



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