アルボル
街へたどり着きます。
2人ほど新しい人物が出てきます。
最後まで楽しく読んでいただければ幸いです。
カランッ、アーサーの背後で崩れたはずのスケルトンが元に戻っていた。
すでにアーサーに襲い掛かろうとしている。しかしアーサーは気が付いていない。
「アーサー!スケルトンが!!」
マーリンが叫ぶも時はすでに遅い。剣技は鈍っていなくともアヴァロンでは素振りをしていただけ。
戦いの感が鈍っていた。避けることもさばくこともできない。致命傷を避けられない。
「はあぁぁッ」
森の奥から聞き覚えのある声と共にスケルトンが砕け散る。
「大丈夫ですか?アーサー」
剣を鞘に納め手を差し伸べてくる。どうやら片腕の様だ。
「あ、あぁ、すまない助かった。」
アーサーは手を借り立ち上がる。見覚えのある風貌だが誰かわからない。
「まずはこの森を抜けましょう。ここは危険すぎる。歩けますか?」
マーリンが肩に座り耳打ちしてくる。
「ここは彼についていった方が良さそうだね。」
アーサーが片腕の旅人に答える。
「あぁ、大丈夫だ。道案内頼めるか?」
「もちろんです。私はあなたの…いえ、今はやめておきましょう。こちらです」
アーサーは疑問に思ったが問いかけはしなかった。
日が落ちはじめた。森が一気に暗くなり始める。
「急ぎましょう。夜になればこの森は危険度が増します。」
片腕の旅人の道案内に従い歩いていると開けた場所に出た。
「街道です。ここから南へ2日ほど歩いていけばアルボルという街に着きます。そこにサー・ガレスとサー・ガウェインが居ます。詳しい話は彼らから聞くといいでしょう。私は他にやらねばならい事がありますのでこれにて。」
片腕の旅人は北へ向かって歩いていく。
「あいつ俺の事知ってる様だったが…マーリン誰だかわかるか?」
「あぁ、もちろん。僕は誰かわかっているよ。まぁ彼は今正体をバラしたくなかったのだろうけど。」
アーサーは思い出そうとするが、かつての記憶に靄がかかっているかのような感じがした。思い出せない。
「さて、彼が言ったように南へ歩いて行こうか。先に言っておくけど馬なんて出せないからね?」
「なんだよー、出せないのかよ…」
二人は南へ、アルボルへ向けて歩いていく。
途中途中で野宿をし、ついにアルボルへと着く。
「やっと着いたか、アルボルだっけ?木造なのか?なかなかいい雰囲気だな。」
アーサーはアルボルの正門を見上げる。10メートルほどの高さである。
門番が近づいてくる。
「通行証はお持ちですか?なければお通しできません。」
通行証なんてものは持ち合わせていない。何しろこの世界に転生したばかりである。何も持っているわけがないのだ。
「すまない。この世界に転生したばかりで何も持ってないんだ。ところでお前ガレスという男を知らないか?この街に居ると聞いたのだが…」
マーリンは慌てた。何も隠さずスパッと言い放ったこいつと…
「君は何を考えているんだ!!何も隠さず話すなんて!これだから素直すぎるといつも言ってるんだ!」
しかし、マーリンの心配は不要な物だったようだ。
「転生者でガレス様のお知り合いの方でしたか。確認のためこちらでお待ちください。」
そう言って門番は街の中へ消えて行った。
アーサーとは門の近くに、マーリンはアーサーの方に腰掛け待つことにした。
そうして待つこと数十分、先ほどの門番が一人の男を連れて帰ってきた。
門番が連れてきた男はアーサーを見るや否やすぐに駆け寄り跪いた。
「よくぞ、よくぞご無事でこちらまで…お待ちしておりました。叔父上!」
アーサーは男をよく見る。
「お前…ガレスか!?ガレスなのか!?」
「はいっ、ガレスにございます。さぁお疲れでしょうこちらへ。狭いですが宿へご案内いたします。」
アーサーはガレスに案内されアルボルの中へと入っていった。
次回はアルボルでこの世界についてガレスさんが説明してくれるようです。
次回も読んでいただければと思います。