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栗色の髪
「な、なんでもないです。考え事してて、ごめんなさい。」
「別に謝ることないのにー。楽しく飲みましょうよ。」
十円玉は優しい声を掛けてくれる。
「あ、知ってます?」
続けて十円玉は話しかけてくる。
「今日、ラッキーだよ。今から紗都が弾き語るからね。」
「さ……紗都?」
状況が掴めないまま、
「はーい、お待たせ。」
ママが俺の前に、芋焼酎のロック割りを置いた時、店内の照明が落とされた。
真っ暗になった店内。その光は、小さなステージのみを輝かせていた。一筋の光の先で、栗色の髪を揺らした少女は、ステージ上の椅子に腰掛けた。
そして黙ったままこちらを見つめる。
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