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いつかこの場所で  作者: 微温湯
3/7

スナック 馨

路地を入った小さな店。カウンターには常連らしき客が2人ほどいる。


「あら、いらっしゃい。」

ママは首元のパールのネックレスを揺らしながら俺を招いた。


俺はいちばん扉に近い席に腰掛けた。

「芋焼酎ロックで」


酒飲んで今起きてることをうやむやにしてやりたい。


「なに、またその話かよ。」

やけに3つ隣の客が賑やかだ。

「だって、あと一ヶ月だよ?テンション上がるっしょ。ずっと応援してきたんだから。」

「なんだっけね、その」

「 mimishipe ね。」


聞き間違いか…?


「あの、」俺は、白いふちのメガネを掛けた男に無意識に話しかけていた。


「はい?」

「今、mimishipe っておっしゃいましたよね?」

俺の一言を聞いた白メガネの眼の色が変わった。


「アレ?知ってます?今度デビューするアイドルちゃんたち。」


知ってるも何も、俺がプロデュースしている。


「ああ、…可愛くて、歌上手いですよね。」

「そうなんですよーーー!でも、あの子、ミオちゃんだっけ?最近全然twitter更新しなくなっちゃって。噂で失踪したとか言われてるの。アレマジなんですかね?」


俺は鼓動が早くなるのを感じて、出されたお冷を流し込む。


「え、マジで?ヤバくない?」

日サロで焼いたのか、地黒なのか、かりんとう………いや、十円玉並みに肌の黒い男は、白メガネのツレだろうか。

「ヤベーじゃんそれ。デビュー中止にした方が良くね?」


十円玉のこの言葉が、俺の情動を掻き乱して、気づけばこう投げ捨てていた。


「絶対、絶対中止になんかさせません!」


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