6話:お嬢様は自滅する
前回から更新が遅くなりました。
すみません;
*5話の一部を少し訂正しました。
→ユーファが内心でいっていた、アル王子を王子様、に訂正しました。
「すみません、お待たせしました」
背後から聞こえる声に、それだけで私は茹で上がったタコのように耳が真っ赤になった。
爽やかなイケメンボイスが真後ろからっ、からっ!
心臓が周りにも聞こえるんじゃないかってぐらいの音を立てている。
それ以上来ないで。もしこれが夢なら覚めてくれ。
そんな私の心の内を知る由もなくブーツの足音が近づいてくる。
待って、心の準備がぁぁぁあ!!
王様と王妃様と向かい合ってお茶している私に「アル、こっちー」と気の緩んだ声で王子に声をかける。
「父上……その呼び名はやめてください」
「簡単だしね」
「……」
そのちょっと気の落ちた低い声もいい……。
片手に持っていたカップがふるふると震える。
「ユーファさん、大丈夫っ?」
オロオロとする王妃様。
王妃様が私を心配してくださっている、だと……!こんなことで心配をかけるわけにはいきません!
「ダイジョウブデス……っ」
そう一言伝えると一気に花が咲いたような笑顔になる王妃様。可愛らしいです、天使。
「ユーファ嬢、改めて紹介するよ。彼が私の息子、アルハイル・ウェストだよ」
「アルハイルです」
そう言って向かいに座る、王子様。
顔をそっと上げて彼を初めて見た。
煌びやかな服というよりも軍服のような服に身を包んでいる。
王様と同じく金髪碧眼で容姿端麗。そしてイケメンボイス。
王子ではない、王子様だ。ここ重要。
まさに異世界のひとだった。
……。
あ、ヤバいかも。
時すでに遅し。
最後に聞こえたのは、手放したカップが割れる音。
私は見上げた一瞬の王子様を見て、言葉を発さずにソファになだれ込むように気を失った。
ユーファはある意味自滅した。