2話:お嬢様と爆弾発言
閲覧、評価、ブックマークありがとうございます!
これからもよろしくお願いします。
婚礼の儀ですと!?
つまりは結婚……相手は国の王子様。
私の頭はもはや破裂寸前というか破裂した。
「おおお父さ……お父様ぁっ!?」
いけない、いけない。口調は清楚かつお嬢様風にしなくては。
だが問題はそこではない。結婚!そう結婚である。私はこのまま本当に王子様とフォーエヴァー、永遠の愛を誓うのだろうか……はは、そもそも私この世界の人じゃないんですけど。しかも、身体は別人の方ですが。
ボンっと音を立てて回路ショートを起こすユーファに父はあわてふためく。その一連の様子を見ていた母と使用人もオロオロしはじめた。
「ユーファ、王子のことは覚えているかい?」
父の質問に即答で返答した。
「お、覚えていません……」
私の答えを聞くや否や血の気が引いたように顔が真っ青になっていく父。
「そうか。本当は無理やりでも儀を行いたいがユーファは見ての通り記憶喪失。仕方ない、儀は異例だが中止せざるをえないな」
独り言のようにつぶやく父。いや、丸聞こえなんですけど。
「リミルガ、それで構わないかい?」
「ええ。愛する娘が一番ですもの。無理なことはさせたくありませんし」
どうやら母の名前はリミルガというらしい。私の破裂した思考回路にインプットさせねば。
その前に勝手に話が進んでいるのは気のせいですか?
ユーファそっちのけで話し込んでいる2人の顔は、先ほど心配をしてくれていた戸惑いながらも優しい表情ではなかった。やはり娘のことを一番に想ってくれているのだろう。
私はそれが少し嬉しかった。しかし、同時に罪悪感というものが込み上げてくる。
だって私は偽物。本当のユーファに申し訳ないと思った。
ねえ、本物のお嬢様……いや、お姫様はどこ?
「ユーファ、儀は中止だ。もう心配することはない、今日は安静にしてなさい」
「はい。お父様、お母様、ありがとう」
王子様との結婚。私の世界では夢見ることでしかないが、それが今現実になろうとしたのだ。
やっぱり悔しい気持ちも少しはあるが、中止という言葉を聞いて私はかなり安心した。だって、私自身いろいろ事情があるし。
「はぁ~……」
二人が私の部屋を後に空いた後、今日いちばんの盛大なため息が零れ落ちた。
「なんでかなぁ」
なぜ異世界へ?
「階段から落ちれば、気が付くとお嬢様になってるし」
王子様と結婚するところだった。
お嬢様からお姫様へ覚醒する手前。
「……どーしたら帰れるんだろ」
別にあちらの世界が特別好きというわけでもない。だって、異世界とか授業中考えるほど。
それほど楽しくなかった、面白くなかった。
あ、サイコパスではないですよ?
つまり、帰れる方法は探したいがぶっちゃけ帰らなくてもいい気はする。
ひとり大きな部屋の大きなベッドの上に身を預けながら、今はまだない答えを探しながら、私は深い眠りへと落ちていった。
*
「……さま、お嬢様、起きてくださいっ」
「んっ……」
結局、朝まで寝てしまった。
メイドに起こされるのって案外悪くない、そう思いながら身体を起す。
「お嬢様、目覚めのモーニングティーです」
「あ、ありがとー……」
モーニングティーとかやっぱ次元違うな。
カップを受け取り一口。
あ、美味しい。
ティーはすっきりした感じで、まさに目覚めといったところだった。
これ、いくらなんだろ。今までザ・庶民だった私には、何もかもが新鮮。金銭感覚はそのままだけど。
「お嬢様っ、今日の日程は……」
味に浸っているとメイドが話を進めようとしていたので、戻ろう。
お嬢様忙しいな。日程とかあるのか。
待て、しかも私、絶賛記憶喪失中のはずですが!?
まぁ、いったん置いておこう。まずは話を聞こう。
「日程は?」
清楚な笑顔で問いかけるユーファにメイドは少々口ごもりながら、
「急なのですがっ……国王様ならびに王妃様と王子との対談がありますっ……!」
……
…………
ワタシ、ヨクキコエナカッタ。
「た、対談?」
「はい……。今回の儀の中止についてだそうですっ」
なるほど。
今まで計画を進行してきたのに中止にされたらそりゃ国王陛下も疑問に思うわ。
「分かったわ。お父様も一緒?」
流石に一人で来いってことはないと思うが。
しかし、メイドは爆弾発言をした。
「”おひとりで”とのことらしいです……っ」
やはり私にこの世界は合わない。
帰ろう。今すぐ家に帰りたい。神様一生のお願い。
どうやら私、王家と直接対談らしいです。




