プロローグ 2時限目
しばらく学園モノが続きます。
確か今の時間は……よく分からない。教室の時計が止まっていて正確な時間が掴めなかった。
隣りの教室に行けば多分読み取れただろうが、既に疲労困憊の俺にはそんな些細な気力すら湧いてこなかった。
確かなのは…四時限目の次、つまり昼休みの時間だという事。
授業は……至って普通なので割愛。と言うか殆ど頭に入ってないから説明しようにもだ。
あ、3時限目だけは良く覚えている。数学担当の教師がここの担任だった。後で萊に聞くと名前は|「天谷」あまやと言うらしく、生徒をからかうのが日課だと言う。しょーもない日課だな。
で、当然この日のからかいの矛先は新人に向けられるわけで。
「よし、じゃこの問題速水解け」
「無理矢理な間違いですね」
でもクラスはこのやり取りに笑い転げる。些細な事でも誰か笑ったら釣られて笑う。笑ったのは8割男子だが。
当の間違えた人
「フフ……」
調子に乗るなボケェ
「まぁいいから早く黒板に書いてくれ」
「あいはい……」
ずこずこと黒板に向かい問題の数式を書こうとチョークに手をの……
短!どれも消しゴムの半分以下の大きさしかない。
このヤロ〜〜〜。担任に睨みつけるが、
「いや、こっち見てないで早く書け」
のヤロ〜〜〜(泣)知ったかぶりしやがって。
仕方ないから短いチョークを使って数式を並べる。短いから上手く扱う事ができず、仕掛け人はと言うと
「お前字ヘタだな〜〜就職とかこんな字だったら通らないぞ?」
お前が仕掛けたんだろが!
泣く泣くの授業だった。あの担任の授業には気を配んなきゃいけないな。
萊
「あの人はちゃんと謝る人だからな。やり過ぎた時や気に障った時はちゃんと謝るから良いんだ。」
いや今回は「張り切って仕掛け過ぎたかな、はは」めっちゃ軽く済まされたぞ。
そんな事もありスタミナは0からさらに下に下がっていた。もう気絶するかも…
「おい」
唐突に俺を呼んだのは萊。
「ん、どうした?」
「ほら」
一言と一緒に何かを渡される。
これ……焼きそばパン?
「お前金持ってきてなさそうだしな」
「あ……」
そうだ、一人暮らしの俺は当然家事も自分で担う。引っ越す前も昼飯は自分で作っていたから、学校に持っていく金など一銭も無かったのだ。
今日はその昼飯も作り忘れ、俺は知らずの内に昼を何一つ食わずに通らなければならなくなっていた。
「ど、どうも……」
素っ気ない返事を返し、少し熱い焼きそばパンを眺める。
昼飯が無いなんてどうやって見抜いたんだろうか。俺の生活を知ってるわけじゃないし……
すると萊は少し恥ずかしげに、
「その……せっかくの転校生だし、な、歓迎って言うかだな…」
そっか…
どんな理由でも、くれるんだな……
きっと金がない事を言ったのはただの前置き、彼は俺に歓迎の証として焼きそばパンをくれた……
初日から出来た俺の友人は大当たりみたいだ。
「……そ、そうだ速水!」
でも名前間違えるんだな……
余程恥ずかしかったのか、急に話を変える萊。
「他の奴とも顔見知りになりたいだろ?俺の友人紹介するからさ」
「え?いや、あの」
「いいから来い!連れてってやる」
萊は俺の腕を強引に掴むとそのままどこかへ引っ張り出した。
「ーーー歩ける!歩けるから腕放してくれ!」
……聞いてねぇ。いや、聞く耳も持ってない。
朝からスタミナ切れが続いているが、
今回は今まで以上に突飛で、楽しいかもしれない。