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ほぼ恋愛なし系

酔っ払いのちトリップ


 いやっほぉーーーい!

 来たぜ、異世界!


 あんまりにも就活が上手くいかなくて、ヤケ酒してバカやったらチートリップとかマジうめぇw


 やらかしたバカの内容は、真夜中の神社で全裸になって地面をゴロゴロと転がり回りつつ「神様!俺の神様!!お願い聞いてぇぇぇ!異世界トリップさせちゃってぇぇぇぇ!チート能力つけちゃってぇぇぇぇん!」と叫び続けるっていう究極のバカだ。


 いやぁ、なんか先々の人生を悲観して、どこか遠くへ行きたくなったんだよ。…多分。

 とりあえず、この時の姿を誰かに見られてたら軽く死ねる。社会的な意味で。


 って、まぁ、もう関係無いがな!ふははは!


 で、続き。


 そのバカを5分くらい続けてたら、よく分からない光の玉みたいなのが現れて「お前の願いをかなえてやろう」って言ってきたワケ。

 あ。そういや、今でもあの玉の正体不明だな。まぁ、いいか。

 俺も酔ってたからさー、普通に受け入れちゃって「マジすか!うっひょー!」とかもう赤面もののテンションになっちゃってさ。

 その玉様がチート能力って何だって聞いてくるから、酔っ払いつつも俺は真剣に考えたね。


 そんで、結局もらったのは異世界中の過去から現在までのあらゆる情報を知る事ができるって能力。

 分かり辛いかな…。まぁ、脳内でネット検索できるみたいな感じだと思ってもらえれば問題ない。

 よくある魔法とか身体能力強化とかもらったら、後が面倒臭そうじゃん?

 別に、ニートになるのが怖かっただけで、無双願望は無かったからさ。

 俺、静かに暮らしたいし。


 とにかく、そんなこんなで無事に異世界に到着したんだよ。…全裸で。

 あぁ、そうだよ。全裸だよ。マッパだよ。一糸纏わぬ生まれたままの姿だよ。チクショウ!

 何つーか、人がいない草原ってところだけが救いだな。

 あと、気候が暑すぎず寒すぎずなのも、か。


 ちなみに、酔いはとっくに醒めてます。

 なんで、異世界って分かるのかって聞かれたら…能力のせいだよ。

 街中の神社にいたってのに、たった瞬き一つの間に真昼間の草原に佇んでいたから「どこだよ、ここ!」って叫んだよ俺。

 誰だって、そうするよな。俺もそうした。

 そしたら、能力が発動して脳内で某グールグルさんの航空写真みたいなのがね。こうブワッと。

 広域表示も詳細表示も自由自在。超便利だぞ。さすが俺。


 ……………………。


 うん。つーかさ、軽い気持ちで、異世界トリップしたいとか言うもんじゃないな。

 今になって、死ぬほど後悔してる。死なないけど。

 それで、悲観的になっちゃいかんと無理やりハシャいでみたわけだが…マジ逆効果。

 メッチャむなしい。泣きたい。ていうか、泣いた。

 それをする前に危険な動植物が近くに存在するかとか天変地異的な事象が起こらないかとか、一通り検索したところは結構冷静だよな俺。


 あ~、うん。とにかく、いつまでもこんなところでジッとしてても仕方がない。

 暴れるだけ暴れて、ちったぁ落ち着いてきたし…。

 っよし。ここからが俺の異世界人生の幕開けだ。

 頑張れ、俺!負けるな、俺!俺の第二の人生はまだ始まったばかり!



 半年後、うっかり能力の事がバレて国家権力に無理やり取り込まれそうになったり、いろんな人間から命を狙われたりと、無駄にスペクタクルな人生を送る羽目になってしまうのだが、今の俺には到底知る由もなかった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 全裸で始まる異世界生活。 大変ですが、いっそ潔くて良いでしょう。 私は体験ノーサンキューですがー。 やはり股間に大きな草の葉っぱから始まるのかな……。 細い草しかなかった場合は編むのかな……
[一言] チート能力が面白いですね。 これの連載があったら読みたいです^^
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