トイレの花子さん 雑居ビル編
ある大都市圏の雑居ビル。
多数の会社が入居している。
その中の1社。
フロアの給湯室で、OLたちがなにやらひそひそ話を。
「きょうで1年ね。何もなければいいけど。」
「ちょっと心配ね。」
「お局様は相変わらず。」
「あれだけ図太いは特別ね。」
「人種が違うのよ。」
その階の女子トイレ。
いくつかの会社のOLたちが使用するが、突然「キャ~」という悲鳴が。
聞きつけた女子たちが現場へ。
ある会社のOLが、泣きながら床にへたりこんでいる。
彼女の腰の下には、薄黄色の水たまりが。
「どうしたの?」
「中でおしっこしてたら、トイレの中が全部真っ赤になったの。」
彼女は排尿が終わらないうちに、パンティやパンストを慌てて上げて、個室から出たのだ。
他のOLたちがその個室をのぞいたら…
中はいたってふつう。
何も起きていない。
ところが、その日には、その個室を使った他の女子たちも悲鳴をあげた。
「中がいきなり真っ赤になった!」
ある会社の女子が、男性の上司に伝え、彼がその会社のOLたちと、くだんの個室を見たが、何も起きていない。
「キミたち、何を言ってるんだ!」
しかし、彼の表情が引きつっていたのを、彼女たちは見逃さなかった。
そして…
OLたちの中で一日中、冷や汗をかいていたのが1人。
お局様。
彼女は定時で帰った。
その会社は、残業があまりない。
さて、お局様。
自宅のアパートには戻らず、行方不明に。
翌日から出社せず。
会社が実家に連絡したが、そちらにもいない。
お盆と年末年始、GW以外は帰省していない。
さて、あるフロアの給湯室。
「やっぱりというか、あってもおかしくはないわね。」
「会社はホッとしているんじゃない? 高給取りがいなくなって。」
「あれで黒歴史が終わればいいけどね。OLもピンきりだから。」
「私達はまだ善良ね。」
(完)




