欠片32.『粗金屑蜘蛛 討伐依頼ー⑤』
欠片32.『粗金屑蜘蛛 討伐依頼ー⑤』
【洞窟内・奥地】
(どうにかして、アイツを下に落とさないとな)
上空に再び糸を吊し、ぶら下がっている粗金屑蜘蛛を見上げながらサーチは考えていた。
"ピュンピュン"!! "ピュン"!
「また糸か!!そんな攻撃喰らうかよ!」
「……なッ!!」
バッ!!と、慌てて前方に避けるサーチは地面に手をつき、後ろを振り返った。
"ジュッゥウウ………"!!
「毒ッ!?」
(地面が溶けてる…!!)
すぐさま粗金屑蜘蛛の方に顔を向けると、大量の毒を噴射していた。
「う、うわぁぁああ〜〜!!」
「ホッ!……ヨッ!ソレッ!!」
と、危なげにいろんな体勢で避けるサーチを見ながら、アストラは普通に走り続けて避けていた。
タッタッタッタ──!!
「サーチ、ワタシがヤツの脚を全て切り落とす!」
「落ちてきた本体をヤれ!」
「うぉぉおぉぉ〜〜!!わかったぁぁあ──!!」
「フッ!!」
"タッ、タタンッ、タンッ"!!
足に力を入れ、左右の壁を蹴り上がっていくアストラ。
再び粗金屑蜘蛛の目の前に辿り着いたアストラから放たれる『針』によって右前脚が3本貫かれた。
その瞬間、口から毒を吐き出した粗金屑蜘蛛だったが、アストラの『°軌道 。』により防がれる。
しかし、少しの間もあけずお尻から噴射された糸によって、アストラは壁に叩きつけられ、身動きが取れなくなってしまった。
「アストラッ!!!」
サーチは叫んだが、すぐに頭を回転させこの状況を打開する策を考え始めた。
(どうすればいい……このままじゃ師匠がヤバい!!)
(考えろ!考えろ!この状況の最善手を!!)
一方で、"ジリジリ"と迫り来る粗金屑蜘蛛は、喜びの声をあげているようだった。
『ギィィィィェェエ!!』
『ギギギッ…!!』
「…くっ!!」
(動けん)
(なんとか手さえ使えれば……)
サーチは冷静に状況を分析していた。
(この距離からは"ヤツに"攻撃は当たらない)
(でも……"あそこ"なら!!)
「師ッ匠〜〜!!!」
「!!」
(サーチか)
・・・・・
「オレを信じてくれ!!」
サーチを見たアストラは、ふと昔話した言葉を思い返していた。
➖───────────────────────
「フフッ」
「安心しろ」
「もし、キミがやられそうになったら」
「その時は師匠である、このワタシが助けてやる」
「だからどんなことがあっても」
「ワタシを信じてくれないか」
「分かった!!」
────────────────────────➖
(……。)
「分かった。」
そう答えると、目を瞑るアストラ。
その目に映ったのは、アストラに銃口を向けるサーチの姿だった。
(ぜってぇー決めるッ!!)
『ギィィィィアァァァ!!』
粗金屑蜘蛛が噛みつこうと、アストラめがけて飛びかかった瞬間、サーチはアストラの手の近くの岩を撃ち抜いた。
"パパァァン"!!!
ガラガラガラッ…!
(手が自由に…!)
砂煙の中から動き出すアストラは小さな声でサーチを褒めた。
「フフッ…よくやった。バカ弟子。」
"ビュシュシュシュンッ"!!
目に見えない高速の剣撃で糸を切り裂き、粗金屑蜘蛛からの噛みつき攻撃を、上に飛びかわしたアストラは、そのまま粗金屑蜘蛛の腹めがけて攻撃をした。
「『凸』!!」
"ボチュッ"!! "バシャシャー"!!
大量の紫色の血が飛び散りながら、粗金屑蜘蛛の腹に大孔が空き、落下していった。
──ストッ。
地面に着地したアストラは、サーチを見て微笑んだ。
「やったぜ!!」
「ああ、そうだな」
「よくやった」
そうして、粗金屑蜘蛛を倒した2人は、リトル村へと帰還した。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
─裏メモ。─
玉兎の由来
そのまんまギョクトと読めます。
まあ、つけた意味は色々あるけど内緒。




