欠片31.『粗金屑蜘蛛 討伐依頼ー④』
欠片31.『 粗金屑蜘蛛 討伐依頼ー④』です!
「まだ、準備運動にすらなってないぞ?」
その言葉に反応するかのように激昂する粗金屑蜘蛛は、落下するアストラめがけて飛びかかってきた。
「師匠ッ!!よけろー!!」
「『°軌道 。』」
次の瞬間、落下中のアストラはいきなり壁に向かって、90度角度を変え進んでいった。
向きを変え壁の元へと辿り着くと、再び壁を蹴り、粗金屑蜘蛛の背中に蹴りを入れ、反対の壁まで吹き飛ばした。
"ドゴォォン"!!!
「…ええっ…?マジかよ…」
壁を飛び移りながら下に降りてくるアストラは、サーチに向かって叫んだ。
「サーチ!今だ!」
「あ……!うん!!」
"ガチャリッ"
サーチはすぐさま、2つあるトリガーの一つを引き、コッキングをした後、狙いを定めて銃弾を放った。
"パパァァン"!!!
『ギギギッ…』
バッ!!っとその場から上に移動する粗金屑蜘蛛はサーチの攻撃をかわす。
『ギギ……ギィィィアァ!!』
「かなりご立腹のようだな」
(…師匠のせいだろ〜)
と、ジト目で横を見るサーチ。
「それより師匠、さっきはどうやってヤツの攻撃を避けたんだ?」
・・
「ワタシの能力を使った」
「能力?」
(……。) ・・・・・
「ああ、ワタシは体内に魔力を持っているんだ」
「えっ?」
「魔力を持つ者の中には、ごく稀に…」
・・・・・
「固有の能力を身につけて"生まれてくる"者がいる。」
「それが師匠なのか!!」
「……そういうことになるな」
「ワタシの能力は『°軌道 。』と言ってな」
・・・・・
「ワタシとワタシ以外の行動の対称を一つ選び、その動きの軌道を任意の方向に変更することができる」
「あっ!それであの時…攻撃が勝手によけたり、師匠の落下の向きが変わったのか!!」
「そうだ」
「す、スゲェ……なんでも攻撃の軌道を変えるなんて無敵じゃん!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・
「いや、軌道を変えた後の動きが終わるまでは、再び能力を使えない。」
「本来こう動くであった動きが終わった瞬間に、また能力が発動可能になるんだ」
「つまり、連続ではムリってことか…」
「まあ、その対称とした動きの終わる速さによるがな」
「なるほど」
(それでも一回は攻撃を逸らせるのは強いな)
「話は終わりだ」
「ヤツの攻撃がくるぞ!!」
「おう!!」
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【リトル村・郊外】
「村長さん〜、お荷物の移動済みましたよ〜」
「おお〜ユリニトさん、ありがとうございます」
「いえいえ〜、二人が帰ってくるまでのお手伝いですので お気になさらず」
と、"ニコッ"と笑うとその後も村の手伝いをこなすユリニトであった。
「それにしても〜……ユリニトさんは、どうして商人になられたのですか?」
「どうしてですか〜…ん〜気になったからですかね〜♩」
「気になった?何にです?」
「この世界の行方がですよ♩アハハッ♩」
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
─裏メモ。─
手腕金剛屑熊の由来
金剛 ヴァジュラ
腕力 ストレングス
熊 ベア




