欠片29.『粗金屑蜘蛛 討伐依頼ー②』
欠片29.『粗金屑蜘蛛 討伐依頼ー②』です!
【洞窟内・中間地点】
膨大な広さな洞窟の中にできた、迷路の道にアストラが目印を付けていた。
「なにこれ?」
「『発光苔』だ」
「通常の苔とは違い、強い刺激を与えると翡翠色に発光する」
「この発光苔は特殊な性質でな」
「他の物体に"くっつける"ことが出来る」
「だからコレを壁にくっつけておけば、帰り道には困らんというわけだ」
「どのくらい光るの?」
「二週間だ」
「そんなにもつの!!?」
「ああ、王都でも分析していて、様々な物に応用しようとしていたハズだ」
「実際に何か作られたかは知らないがな」
「へぇ〜そうなんだ」
"ガサガサガサ"…
『……!!』
洞窟の奥から音が聞こえ、2人は何かの気配に気づく。
「気付いたか?」
「うん、何かこっちに向かってきてる」
「かなりの数だ」
「気を抜くなよ」
「おっす!」
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【洞窟外・入り口付近】
『サーチくんたちは洞窟に入っていきましたね〜』
『さて…ボクはどうしましょう…』
《…!!》
『……か。』
ユリニトがサーチたちの動向を伺っていたその時、何かに気づいたユリニトは後ろを振り返った。
『お久しぶりですね。』
『何のようですか?ジェラス。』
そこには黒い翼と角が生えた人物が立っていた。
『キサマこそ、こんな所で何をやっている。マモン。』
魔王直下 七大魔族
一柱の一人 嫉妬の悪魔[ジェラス(5252)]
[種族:大魔族]
『何って、観察ですよ。観察。この世界がどう動くのかを眺めているんですよ。フフッ』
魔王直下 七大魔族
一柱の一人 強欲の悪魔[マモン(8888)]
[種族:大魔族]
『それに、今は『ユリニト』と名乗ってますので、そちらの名で呼んで頂けますか?』
『ハッ…キサマの名なんぞどうでもいいッ!!』
『キサマがサボってるせいで、魔王様がお怒りだぞ!!』
『今がチャンスと言う時に…』
・・・・
『……。そうですねぇ。やることはちゃんとやりますから、もう少しだけ待って頂けませんか?』
『魔王様にもそうお伝えください♩』
『……ググッ……キサマァ……!!……まぁいい。次はないぞ!マモンッ!!!』
シュルルルルッ〜。
ジェラスと呼ばれた人物が次第に黒い影となり、ゆらゆらと燃える炎のように消え去っていった。
『やれやれ……これからがオモシロイというのに…。フ…フフッ……』
・・
『サーチくん。キミには期待してますよ。フフフッ。』
(とりあえず、今日の所は戻りますかね〜♩)
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【洞窟内・中間地点】
サーチ達は、粗金屑蜘蛛の子供達に囲まれていた。
「クソッ!数が多すぎるッ!!」
「師匠ー!!何とかならないのかよ!」
「喋る暇があったら少しでも数を減らせ」
流星のような手捌きで、敵を粉砕していく姿を披露するアストラの隣で、サーチは苦戦していた。
「クソッ!!糸が絡まって、上手く撃てない!」
「剣先でもなかなか切れないし、どんな強度してんだこの系──!!」
(正直……それよりも数がやばい!!三十、いや五十匹はいそうだ)
(外装はそこまで硬くはないから、当たれば倒せはする。)
(でも、無限に湧き出だしてくるようなこの勢いはヤバい!!)
(息つく間もないッ…!!)
「一旦距離をとらないと……くらえッ!!」
サーチは木に樹液を湿らせた松明に、火をつけてぶん投げた。
『ギィィィィッ!!』
"ガサガサッ"!!
っと、火から距離を取る粗金屑蜘蛛の子供達に向かって、サーチは銃弾を撃ち込み続けた。
撃ってはリロードし、その繰り返し。たまに剣先で突き刺し破壊していく。
「…ハァ……ハァ〜……疲れた〜!やっと倒したぜ!!」
そうして、サーチとアストラが戦うこと20分。
ようやく粗金屑蜘蛛の子供達を破壊した。
「これで依頼達成かー!」
「いや、まだだ」
「この先に大きいヤツがいる」
と、2人は洞窟の奥を見つめていた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
─裏メモ。─
草果大猩久の由来
ゴリラ 大猩久
草と果はゴリラが食べるような感じからつけてます。




