欠片24.『ギャップ』
欠片24.『ギャップ』です!
【鉄屑要塞より南東230km】
(進行771Km 残り1959km)
3人は、地面に草が少し生えている程度の平地を馬車で移動していた。
荷台に座っている2人の声が『鉄蹄白装甲』を操獣していたユリニトの元まで聞こえてきた。
「だ──か──ら──!!」
「昨日のノルマは達成してたろって!!」
「何が不満なんだよ!師匠!!」
「確かにノルマは達成していた…」
「が……その後、オマエは何をした?」
「…ッ、えっと〜…」
「まさか、バレてないなんて思っていないだろうな?」
「いや、その、、」
「サーチ。この件はしばらく許さん。」
その大声に慌ててユリニトが後ろを確認し、声をかけた。
『ちょっと、ちょっと〜、どうしたんですか?お二人とも〜』
『ケンカする仲じゃないでしょ〜?』
「フンッ。ケンカなどしょっちゅうしている」
「キサマが合流する前からな」
「ユリニト〜〜」
「アストラがいつもオレのことを責めるんだよ〜!」
「今回はそれとこれとは別だ!」
「ワタシの死活問題に関わる」
《え》
その言葉にユリニトは表情を変えた。
《あ、あの普段から恐ろしい彼女が、死活するほどの問題とは……一体なんだんだ…!?》
《サーチくん、、キミは一体どんなことを彼女にしたというんだ…??》
『えっ〜と〜…ちなみにその問題とは〜…』
『どんなことだったんです〜…?』
恐る恐る確認したユリニトの言葉に、返ってきたのは衝撃の返事だった。
「サーチがワタシの"木苺"を食べた。」
《!!!!!》
《えぇぇぇぇ〜!!?それだけ〜!!?》
《木苺って、暖色系の色をした甘酸っぱい小さな果物のことだよ?》
《そんなものを食べられたからって……》
ユリニトはアストラを見る。
《うそ〜〜!!?》
《あの無表情な彼女があんな哀しそうな顔を!?》
《とてもじゃないが信じられない。てか面白すぎて声出そう……ア〜ッハハハ》
《フフフッ…ハハッ〜!!これは意外すぎて面白い〜あの、、『深紅ノ空』がこんなことで……アハハッ!!》
『…プフ……えっと、その〜アストラさん〜』
『今度ボクが採っておきますから〜、ね?』
『サーチくんも、もう反省していそうですし…今日のところは許してあげましょうよ〜』
その言葉を聞いてもアストラの怒りは治ることはなく、その怒りは鍛錬という形で取り繕うこととなる。
「おい、キサマ!今すぐ馬車を止めろ」
『へ?』
「今からサーチを"ボコボコ"にする」
「もちろん。鍛錬としてだ」
それを聞いたサーチは怯えていた。
「ぇえっ……ちょっと待ってくれ…」
その言葉を遮るように"ギロッ"!!っと、アストラの視線がサーチの体を貫く。
「ま、待ってくださいよ〜アストラ様!お師匠様〜!!」
「いいから黙ってついて来い!」
「イ〜〜ヤァァァ"ァ"ァ"ア"〜〜〜!!!」
そうして、突然の手合わせが始まったのであった。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
─裏メモ。─
『鉄屑要塞』の由来
廃棄物 スクラップ
鉄 アイアン




