欠片252.『心理戦と消耗戦─④』
欠片252.『心理戦と消耗戦─④』です!
【とある屋敷】
枯れ木が生い茂る中に大きな屋敷が建てられており。
その上空に白い2本の翼が生えた人物が浮いていた。
『ここか……。』
【八天星 天王星】[ウーラノス・ユラス(37)]
[種族:堕天使]
『──!!』
突然飛んできた黒い鞭による攻撃に、ユラスは右手を前にかざす。
すると、光の刃が現れ攻撃を相殺した。
『何の真似だ?』
『機械風情が。』
『………。』
昔物語 メンバー[無関(36)]
[種族:〇〇]
屋敷の前にいる無関がそのまま立っていると、扉が開きながら歩いてくる人物が声をかけた。
『いや〜ごめんごめん。ハハハッ♩』
『久しぶりなものだったから。ついね。』
『何しにきたのかな?』
昔物語 リーダー[メリウス・マーキュリ]
[種族:生命体]
『元気そうだな。』
《フン。ガワは捨てたか。》
『まぁね〜』
『キミも元気そうじゃん』
ピキ……。
『……。』
目頭の横にシワがよるユラスは話を続ける。
『何故。神の使者達を犠牲にした。』
『ねぇ。降りてくれば?』
『上から眺められるのは気分が良くないんだけど。』
『何故かと。聞いているんだ!』
『昔っからそうだよね〜。』
『いっつも自分の方が偉そうに。そんなんだから……』
『聞いてるのは』
『───ワタシの方だぞッ!!!』
『───彼らに及ばないんだよッ!!!』
両者が激しく口論する中、『ビリビリビリ!!』と激しい気配がぶつかり合っていた。
お互いが黙り合う中。しばらくしてメリウスが話し出す。
『悪いけど。これから用があって出かける予定なんだ。』
『またにしてくれるかい?』
『使者達への冒涜だぞ。』
『分かっているのか。』
『……あのさ。キミの方こそ分かってる?』
『彼らは世界の始まりの礎になれたんだ。一部になっただけさ。』
『それの何が冒涜なのさ!ハッ!笑わせるね。』
『……なんだと…キサマァ……!』
『彼らの死は無駄じゃない。意味はある。』
『キミはまだ全てを知らないだけ。』
『大丈夫。ちゃんと始末するさ。』
『キミの同胞や。憎むべき上のヤツらもね。』
──ピクッ。
その言葉を聞いた瞬間。
ユラスは大声で怒鳴りつけた。
『同胞ではなァァァイッ──!!!』
『あんな奴らとワタシを一緒にするなァッ!!!』』
『クフっ。ハハハッ!』
目に涙を浮かべながら笑うメリウスは『キミ。ほんとに面白いね。』と言った後に続けて話す。
『──ハハハっ…。はぁ〜〜ぁ…。計画はすでに始まってる。何年も待ったんだ。』
『これくらい。ゆっくり待てるだろう?』
『……ッ!!まぁいい。』
『メリウス。あまり無作為に使者を減らさせるな。』
『分かったよ。』
《まぁ。それは物語次第だけどね。フフ。》
『あ!そうそう。』
『ボク達はこれから王国へ向かうんだ。』
『キミのところに居る部下の──』
『キサマにやるつもりは無い。』
『もう用は済んだ。』
そう言葉を言い残すと、ユラスは飛び去っていった。
『つれないねぇ。』
─────────────────────────
【彷宵徨要塞から西に142Km 龍骨山の跡地】
メリウスが送った傘影と白黒は七つの大罪人であるラースとラトニーとの戦闘を行っていた。
すでに戦闘は一週間以上になり、両者譲らずに攻防を繰り広げていた。
『しつ……こい。』
『怒怒怒ッ!』
魔力により具現化した髪の毛を大きな拳へと変化させ、ラースの角を変化させた『一角』を用いて攻撃していた。
『それはもう。何度も防いだ。』
『ムクには効かない。』
【現在──傘影は自身の能力と傘による能力の2種類の能力を発動したままである】
【一つ目は傘影本人の能力】
『逆様』
これは、傘影が『濡れる』・『浸かる』と思った物は、体に触れることが出来ずに反射される効果を持つ。
しかし、傘影が『濡れない』・『浸からない』と思ったものに対しては攻撃が可能となる。
【その弱点を補う為に、彼女はメリウスから二つの武器を持たされている】
【二つ目。『反天』による能力の発動】
星屑『反天』───────────────
| 見た目はただの傘。 |
| 基本は白色の状態で扱われるが、 |
| 切り替えにより黒色へと変化する。 |
| |
| 白色の状態では、 |
| 魔力による攻撃を『反射』する。 |
| 黒色の状態では、 |
| 魔力による攻撃を『吸収』する。 |
| 切り替えは任意で可能だが。 |
| デメリットは、能力がバレると |
| 見た目で判断されることである。 |
──────────────────────
そして、もう一つの武器。
星屑『刄』─────────────────
| 見た目はただの白いハサミ。 |
| 能力は他人と自身の魔力を切ることが可能。 |
──────────────────────
【この2つの『星屑』を用いることで、最大限に傘影の能力を活かす補助をしている】
【傘影の技は3つしか存在しない】
【しかし──】
【それに対して。圧倒的な身体能力を持ち合わせることで、あらゆる攻撃に対応出来るように調整された】
『……そう。』
《呪眼も何度も試した。けど。》
《アレには効かなかった。》
《だから、『敵対者』も効かない。》
《それに加えて。ドドちゃんは全部跳ね返される。》
《攻撃自体は物理主体。あとは、ボクの攻撃を跳ね返すだけ。》
《悪魔化を使おうにも。攻撃が打撃ばかりで貯まらない。》
《やりずらい。》
ラースが攻めあぐねている中、傘影は静かに微笑む。
『……フフ。』
『マザーは完璧。何も考えずに生きてきたアナタ達とは違う。』
『何年も策を講じ。実現してきた。』
『だから、アナタ達はムク達に勝てない。』
─────────────────────────
【悪魔化】─────────────────
| それは── |
| 魔族の中でも特別に許された者にしか使えない。|
| |
| 基本的に一定の条件を満たした時発動可能で、 |
| 日常で貯めている魔力を解放し |
| 爆発的な力を解放する。 |
──────────────────────
【ラトニーの悪魔化は『貪食』】
【本来の人型悪魔の姿から、姿は3倍程度大きくなり。顔や体は、純獣人のようなヤギの姿へと変身する。】
【また。詠唱を行わずに悪魔化をする事は出来ない。】
【詠唱は『香りに誘われるハエよ。誰が為に構わず貪り尽くせ。』である。】
一週間前に『貪食』を発動したラトニーは、初めのうちは白黒を圧倒していた。
それも、ただの身体能力による攻撃によって。
しかし。ラトニーは一定の条件を満たしてはいたが。
最大限の条件を発揮してはいなかった。
その為。白黒の左腕を破壊した後。
悪魔化が終了する。
地面に這いつくばるラトニーは、人型の姿に戻っていた。
『……ハァ……ハァ。』
・・・・・・
《すくなかったから。ぜんぜんもたないや……。》
《それに……思ったよりも。》
壁にめり込んでいる白黒は、無表情のままゆっくりと動き出した。
彼の左腕は欠損し、体は所々ボロボロになっており。瞳の色は黒一色から、白黒へと戻っていた。
【ラトニーにとって大きな誤算だったのは】
【悪魔化しても】
【白黒に対したダメージを与えられなかった事だった】
【悪魔化は魔力の消費が激しく】
【再び使用するのに時間を要する為である】
【今回。悪魔化の状態で魔力による技を使えなかった為。魔力の消費を抑えられていた】
【それにより、一週間と長い期間も維持が出来ていた】
【それでも。一週間かけて左腕を破壊しただけの状況は、ラトニーにとって深刻な問題だった】
【本来ならば──ラトニーの能力により。それは解決する】
【ハズだった】
『暴食』───────────────────
| ラトニーの固有能力の一つ。 |
| 魔力で出来たモノを食べれば食べるほど力が増し、|
| 自身の魔力を回復する。 |
────────────────────────
『異袋』──────────────────
| ラトニーの固有能力の一つ。 |
| 魔力。質量を持つ物質。 |
| その全てを関係なく食べることができる。 |
| 異袋の許容量は無限。 |
──────────────────────
当初の目的では、もっと白黒からの攻撃を食べる予定だった。
しかし、予想よりも早く悪魔化をした事で、ラトニーは窮地へと立たされる。
『………。』
[左腕の欠損を確認。]
[予想よりも被害甚大です。]
『……うん。』
『でも。今なら殺せる。』
右手に持つ『筆』を構える白黒。
星屑『一筆』──────────────────
| 見た目はただの筆。 |
| 能力は魔力を通すことで、 |
| 空間から物まで、どこにでも絵を描くことが出来る。|
────────────────────────
『楽画鬼。』
ススススゥゥ──。
空中に筆で描かれた『イッカク』は空を泳ぎながら、鋭い角をラトニー目掛けて進んでいった。
【それは】
【メリウスですら知らなかった誤算】
【これまでにラトニーが白黒によって、具現化され魔力で出来た『言葉』を食べていたのは白黒も見ていた】
【しかし。それが】
【ラトニーにとって──】
《確実に殺せる》
白黒が確信した瞬間。
【魔力を回復させることまでは知らなかった】
這いつくばっていたラトニーは、白黒の方を向いて口を開いた。
《ありがとう。これでまたうごけそうだよ。》
『──バクっ!!!』
『──!!!』
『食われた。もう一度!!』
回復することを知らない白黒は、再び『一筆』で『トラ』の絵を複数描いていた。
『──行け!!』
──ババッ!!
迫り来るトラに、ラトニーは弱っているフリをしていた。
《まだだ。もっと。》
《ボクに力を──》
迫り来るトラを目の前にして、直前に起き上がったラトニーは力強い目を白黒に向け『ニヤリ』と笑った。
『──バククっ!!!』
『ふっか〜〜つ!!!』
『えっへっへっへー!』
『まだまだこれからだよ!』
目を見開く白黒は眉間に眉をひそめる中。壊れた腕の辺りから音が鳴っていた。
『………。』
──バチチ……バチ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
[今回の一言♩]
アモングアス見てる分には面白い。




