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星屑の機巧技師(せいせつのきこうぎし)  作者: リンネ カエル/霖廻 蛙
第二・五章─王国跡地編〜交錯する勢力達〜─
254/255

欠片252.『心理戦と消耗戦─④』


欠片(ピース)252.『心理戦と消耗戦─④』です!




【とある屋敷】


枯れ木が生い茂る中に大きな屋敷が建てられており。

その上空に白い2本の翼が生えた人物が浮いていた。



『ここか……。』


八天星(はちてんせい) 天王星(てんのうせい)】[ウーラノス・ユラス(37)]

        [種族:堕天使]



『──!!』


突然飛んできた黒い鞭による攻撃に、ユラスは右手を前にかざす。

すると、光の刃が現れ攻撃を相殺した。



『何の真似だ?』

機械(オートマタ)風情が。』




『………。』


昔物語(オルデンヒストリー) メンバー[無関(ムカンシ)(36)]

         [種族:〇〇]




屋敷の前にいる無関(ムカンシ)がそのまま立っていると、扉が開きながら歩いてくる人物が声をかけた。



『いや〜ごめんごめん。ハハハッ♩』

『久しぶりなものだったから。ついね。』


『何しにきたのかな?』


昔物語(オルデンヒストリー) リーダー[メリウス・マーキュリ]

         [種族:生命体(エターナル・ライフ)




『元気そうだな。』

《フン。ガワは捨てたか。》


『まぁね〜』

『キミも元気そうじゃん』



ピキ……。


『……。』


目頭の横にシワがよるユラスは話を続ける。



『何故。神の使者達を犠牲にした。』



『ねぇ。降りてくれば?』

『上から眺められるのは気分が良くないんだけど。』



『何故かと。聞いているんだ!』



『昔っからそうだよね〜。』

『いっつも自分の方が偉そうに。そんなんだから……』



『聞いてるのは』



『───ワタシの方だぞッ!!!』

『───彼らに及ばないんだよッ!!!』



両者が激しく口論する中、『ビリビリビリ!!』と激しい気配(オーラ)がぶつかり合っていた。

お互いが黙り合う中。しばらくしてメリウスが話し出す。



『悪いけど。これから用があって出かける予定なんだ。』

『またにしてくれるかい?』



『使者達への冒涜(ぼうとく)だぞ。』

『分かっているのか。』



『……あのさ。キミの方こそ分かってる?』

『彼らは世界の始まりの(いしずえ)になれたんだ。一部になっただけさ。』


『それの何が冒涜なのさ!ハッ!笑わせるね。』



『……なんだと…キサマァ……!』



『彼らの死は無駄じゃない。意味はある。』

『キミはまだ全てを知らないだけ。』


『大丈夫。ちゃんと始末するさ。』

『キミの同胞(どうほう)や。憎むべき上のヤツらもね。』



──ピクッ。


その言葉を聞いた瞬間。

ユラスは大声で怒鳴りつけた。



『同胞ではなァァァイッ──!!!』

『あんな奴らとワタシを一緒にするなァッ!!!』』



『クフっ。ハハハッ!』


目に涙を浮かべながら笑うメリウスは『キミ。ほんとに面白いね。』と言った後に続けて話す。



『──ハハハっ…。はぁ〜〜ぁ…。計画はすでに始まってる。何年も待ったんだ。』

『これくらい。ゆっくり待てるだろう?』



『……ッ!!まぁいい。』

『メリウス。あまり無作為(むさくい)に使者を減らさせるな。』



『分かったよ。』

《まぁ。それは物語(ストーリー)次第だけどね。フフ。》



『あ!そうそう。』


『ボク達はこれから王国へ向かうんだ。』

『キミのところに居る部下の──』



『キサマにやるつもりは無い。』

『もう用は済んだ。』


そう言葉を言い残すと、ユラスは飛び去っていった。



『つれないねぇ。』



─────────────────────────



彷宵徨要塞(イブニングフォートレス)から西に142Km 龍骨山(りゅうこつざん)の跡地】



メリウスが送った傘影(カサガケ)白黒(モノクロ)は七つの大罪人であるラースとラトニーとの戦闘を行っていた。


すでに戦闘は一週間以上になり、両者譲らずに攻防を繰り広げていた。



『しつ……こい。』

怒怒怒(ドドド)ッ!』



魔力により具現化した髪の毛を大きな拳へと変化させ、ラースの角を変化させた『一角(ヒトツノ)』を用いて攻撃していた。



『それはもう。何度も防いだ。』

『ムクには効かない。』



【現在──傘影(カサガケ)は自身の能力と傘による能力の2種類の能力を発動したままである】


【一つ目は傘影(カサガケ)本人の能力】


逆様(サカさま)

これは、傘影が『濡れる』・『浸かる』と思った物は、体に触れることが出来ずに反射される効果を持つ。

しかし、傘影が『濡れない』・『浸からない』と思ったものに対しては攻撃が可能となる。



【その弱点を補う為に、彼女はメリウスから二つの武器を持たされている】



【二つ目。『反天(アンブレート)』による能力の発動】



星屑(せいせつ)反天(アンブレート)』───────────────

| 見た目はただの傘。            |

| 基本は白色の状態で扱われるが、      |

| 切り替えにより黒色へと変化する。     |

|                      |

| 白色の状態では、             |

| 魔力による攻撃を『反射』する。      |

| 黒色の状態では、             |

| 魔力による攻撃を『吸収』する。      |

| 切り替えは任意で可能だが。        |

| デメリットは、能力がバレると       |

| 見た目で判断されることである。      |

──────────────────────


そして、もう一つの武器。



星屑(せいせつ)(シザース)』─────────────────

| 見た目はただの白いハサミ。        |

| 能力は他人と自身の魔力を切ることが可能。 |

──────────────────────



【この2つの『星屑(せいせつ)』を用いることで、最大限に傘影(カサガケ)の能力を活かす補助をしている】



【傘影の技は3つしか存在しない】


【しかし──】



【それに対して。圧倒的な身体能力(フィジカル)を持ち合わせることで、あらゆる攻撃に対応出来るように調整された】




『……そう。』

呪眼(じゅがん)も何度も試した。けど。》

《アレには効かなかった。》


《だから、『敵対者(あいたいすもの)』も効かない。》


《それに加えて。ドドちゃんは全部跳ね返される。》


《攻撃自体は物理主体。あとは、ボクの攻撃を跳ね返すだけ。》

悪魔化(デモニーズ)を使おうにも。攻撃が打撃ばかりで貯まらない。》



《やりずらい。》



ラースが攻めあぐねている中、傘影は静かに微笑む。


『……フフ。』

『マザーは完璧。何も考えずに生きてきたアナタ達とは違う。』


『何年も策を講じ。実現してきた。』



『だから、アナタ達はムク達に勝てない。』



─────────────────────────



悪魔化(デモニーズ)】─────────────────

| それは──                 |

| 魔族の中でも特別に許された者にしか使えない。|

|                       |

| 基本的に一定の条件を満たした時発動可能で、 |

| 日常で貯めている魔力を解放し        |

| 爆発的な力を解放する。           |

──────────────────────



【ラトニーの悪魔化(デモニーズ)は『貪食(ブーミリア)』】


【本来の人型(ひとがた)悪魔の姿から、姿は3倍程度大きくなり。顔や体は、純獣人のようなヤギの姿へと変身する。】



【また。詠唱を行わずに悪魔化(デモニーズ)をする事は出来ない。】

【詠唱は『香りに誘われるハエよ。()(ため)に構わず(むさぼ)り尽くせ。』である。】



一週間前に『貪食(ブーミリア)』を発動したラトニーは、初めのうちは白黒(モノクロ)を圧倒していた。

それも、ただの身体能力(フィジカル)による攻撃によって。


しかし。ラトニーは一定の条件を満たしてはいたが。

最大限の条件を発揮してはいなかった。

その為。白黒の左腕を破壊した(のち)


悪魔化(デモニーズ)が終了する。



地面に()いつくばるラトニーは、人型の姿に戻っていた。


『……ハァ……ハァ。』

 ・・・・・・

《すくなかったから。ぜんぜんもたないや……。》



《それに……思ったよりも。》



壁にめり込んでいる白黒(モノクロ)は、無表情のままゆっくりと動き出した。

彼の左腕は欠損し、体は所々ボロボロになっており。瞳の色は黒一色から、白黒(しろくろ)へと戻っていた。



【ラトニーにとって大きな誤算だったのは】


悪魔化(デモニーズ)しても】

白黒(モノクロ)に対したダメージを与えられなかった事だった】



悪魔化(デモニーズ)は魔力の消費が激しく】


【再び使用するのに時間を要する為である】

【今回。悪魔化(デモニーズ)の状態で魔力による技を使えなかった為。魔力の消費を抑えられていた】


【それにより、一週間と長い期間も維持が出来ていた】



【それでも。一週間かけて左腕を破壊しただけの状況は、ラトニーにとって深刻な問題だった】



【本来ならば──ラトニーの能力により。それは解決する】



【ハズだった】



暴食(グラトニー)』───────────────────

| ラトニーの固有能力の一つ。          |

| 魔力で出来たモノを食べれば食べるほど力が増し、|

| 自身の魔力を回復する。            |

────────────────────────


異袋(いぶくろ)』──────────────────

| ラトニーの固有能力の一つ。        |

| 魔力。質量を持つ物質。          |

| その全てを関係なく食べることができる。  |

| 異袋の許容量は無限。           |

──────────────────────



当初の目的では、もっと白黒(モノクロ)からの攻撃を食べる予定だった。

しかし、予想よりも早く悪魔化(デモニーズ)をした事で、ラトニーは窮地へと立たされる。



『………。』

[左腕の欠損を確認。]

[予想よりも被害甚大です。]


『……うん。』

『でも。今なら殺せる。』



右手に持つ『(フデ)』を構える白黒(モノクロ)



星屑(せいせつ)一筆(ヒトフデ)』──────────────────

| 見た目はただの筆。               |

| 能力は魔力を通すことで、            |

| 空間から物まで、どこにでも絵を描くことが出来る。|

────────────────────────



楽画鬼(ラクガキ)。』


ススススゥゥ──。



空中に筆で描かれた『イッカク』は空を泳ぎながら、鋭い角をラトニー目掛けて進んでいった。



【それは】


【メリウスですら知らなかった誤算】



【これまでにラトニーが白黒(モノクロ)によって、具現化され魔力で出来た『言葉』を食べていたのは白黒(モノクロ)も見ていた】


【しかし。それが】



【ラトニーにとって──】



《確実に殺せる》


白黒が確信した瞬間。



【魔力を回復させることまでは知らなかった】



()いつくばっていたラトニーは、白黒の方を向いて口を開いた。


《ありがとう。これでまたうごけそうだよ。》


『──バクっ!!!』



『──!!!』


『食われた。もう一度!!』


回復することを知らない白黒は、再び『一筆(ヒトフデ)』で『トラ』の絵を複数描いていた。



『──行け!!』



──ババッ!!


迫り来るトラに、ラトニーは弱っているフリをしていた。



《まだだ。もっと。》


《ボクに力を──》


迫り来るトラを目の前にして、直前に起き上がったラトニーは力強い目を白黒に向け『ニヤリ』と笑った。



『──バククっ!!!』



『ふっか〜〜つ!!!』

『えっへっへっへー!』


『まだまだこれからだよ!』



目を見開く白黒(モノクロ)は眉間に眉をひそめる中。壊れた腕の辺りから音が鳴っていた。


『………。』


──バチチ……バチ。



最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


[今回の一言♩]

アモングアス見てる分には面白い。

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