欠片23.『玉兎』
欠片23.『玉兎』です!
『手腕金剛屑熊』の猛攻を全てかわしていたサーチだったが、次第に息が切れてきた。
「ハァ……ハァ…」
(なんとか隙を作らないと)
チラッ。
・・
と、辺りの足場を見渡し、確認するサーチ。
その瞬間走り出す。
「おーい!こっちだ!!美味しそうな"エサ"がこっちにいるぞー!」
すると、手腕金剛屑熊は方向を変え、突進してきた。
『グガァァアア!!』
「まだだ」
迫り来る手腕金剛屑熊。
『ガァァァア!!!』
「今だっ!!」
……グジュッ…!!!
"バッ"とサーチが手腕金剛屑熊の攻撃を横にかわした瞬間。
夜に降り続けた雨のせいで、ぬかるんでいた地面を踏んだ手腕金剛屑熊の前足は、バランスを崩し倒れてしまった。
"ズザァァァア"!!
『グォォッ…!!』
そして、体勢を立て直そうとした手腕金剛屑熊の目の前に、サーチは立っていた。
「終わりだ。」
"パパァァン"!!!
"バキャッ!!……バチバチチ…"
頭部を撃ち抜いたサーチは素材を回収して、馬車に戻った。
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サーチが戻ってくるとアストラの姿が見えなかったが、2人で作業を進めた。
「よし!完成ー!」
2人は日が沈む頃に馬車が完成させた。
『ありがとう〜!』
『一時はどうなることかと思ってたけど』
『キミ達のおかげでなんとかなったよ』
『ほんとうにありがとう〜!』
「ヘヘヘッ!いいって!」
「困ってる人は見過ごせないし!」
『そういえば、キミ達はどこに向かってたんだい〜?』
「オレ達は『極子水星要塞』に用があるんだ!」
『へぇ〜あの大要塞に……』
『なら、ちょうどよかったら馬車に乗ってくかい?』
「え?」
『ボクの目的地である『白骨屍屑山』は極子水星要塞の途中にあるんだよ〜♩』
『助けてくれたお礼にさ!どうかな〜?』
「ホントか!それなら頼む!!」
「よろしくな!ユリニト!」
『よろしくね〜♩』
そうして、白骨屍屑山までの道のりの間、ユリニトが仲間に加わった。
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『今日はもう遅いし、もう一泊してから出発しよっか〜♩』
アストラが戻るまで、焚き火をしながら2人は話していた。
「そうだな!なら、食料を探してくる!」
"ガサガサッ"
と、近くの茂みから音が聞こえてくることにユリニトが気づく。
『ああ、それなら心配なさそうだよ〜』
『ほら♩』
すると、茂みの奥からアストラが草獣型の在屑物『草屑玉兎』を2羽抱えて戻ってきた。
「おお〜〜!!デッケェ〜ウサギだ!」
「アレ?故郷でみたやつと違って"フサフサ"してるな」
「『岩棘屑玉兎』とは違うのか?」
その疑問にユリニトが答える。
『サーチくん、この玉兎はね〜』
『生息する地域によって特徴が異なるんだよ〜!』
『おそらくキミが見たって玉兎は岩場に多く生息する種だね!』
『この辺りの種は草や果物を食べて育つから、『草屑玉兎』って言う種なんだよ〜!』
「へぇ〜!そうだったのか!他にもいろんな種がいるの?」
『そうだね〜!この辺りにはいないけど、他にも黒屑玉兎や紅染玉兎、砂穣玉兎とかたくさんいるよ〜♩』
『旅をしているなら、そのうち出会えるかもね♩』
「まだまだ見たことない生物がたくさんいるんだな!」
「楽しみだ!」
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
─裏メモ。─
『白銀屑鷲』の由来
銀 シルバー
鷲 イーグル




