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星屑の機巧技師(せいせつのきこうぎし)  作者: リンネ カエル/霖廻 蛙
第二・五章─王国跡地編〜交錯する勢力達〜─
249/261

欠片247.『根踏する馬達』


欠片247.『根踏する馬達(ユグズアース)』です!




『『──!!』』


パトの知らせを聞いたギョクトとフォックスは驚いていた。



『ほんまなんか!?』

『なんでこねぇなときに……チィ。』


『パトさん!攻めてきたのは魔族ですか?』



『クルッポー。そうだっポ。』

『たまたま手紙を配り終えて帰った所だったっポー。』


『その時に、魔族の幹部。』

『七つの大罪人の一人。』



『"色欲のアウスラスト"が襲撃に来たっポー!』



パトの説明に、ギョクトが反応する。


『でも、魔族なら他の師団がおるやろ?』

『ウチらも必要なんか?』


『戦闘に関して言えば。ウチらはあんま役に立たんでぇ。』



『ソレが……』


『大変なことになってるんだっポー!』

『ヘルが率いる掉獄(とうごく)・十三師団。ナースロンドが──』



『操られたんだっポッー!!』



再びパトの言葉に二人はさっきよりも驚いていた。


『『!!!!!』』



『ソレェ……ほんまなんか!?全軍操られとんの?』



『……そうだっポ。』

『だから、団長やみんなの力がいるんだっポ。』



『クス坊。すぐに団長を探すで。』


『え?』



『パトやんは空から。ウチは西や。クス坊は東。残りはウチの分身に探させる。』

『ウチらは宴には参加しぃひん。団長を見つけ次第───』



ギョクトの表情は険しく。額に汗をかいていた。



『大樹海に向かうで。』



─────────────────────────



【南の山中 サーチ&ラタトクスサイド】




『──あったか?』



「う〜ん。白いイボイボがないやつならあるんだけどな〜。」

「でも、このキノコもいい匂いがするぞ?」



「コレじゃないんだよな?」


サーチが真っ赤なツルツルのキノコをラタトクスに見せる。



『ソレはニセモンや!!ピリッとこんし。パンチが足らんねんっ!』

『味はまぁ悪ないけど。こう……"ビビビ"!!ってくるもんがないねん!』



「そうなのか?」

「まあ、どっちでもいいや。見つけたらどのみち食えるしな♩へへっ」



『ところで、サーチはんは料理人なんか?』



「え?違うけど?」


『あら?違ったんかいな。』

『ほな、ここへは何しに来たん?』


両者とも手を止めずに木の下を探しながら話していた。



「オレたちは王国に行く途中だったんだよ。それで、途中で会った料理人と仲良くなってさ!」

「宴があるっていうからついてきたんだ!」


『へぇ〜!まあ、滅多にせぇへんからな!この宴も。』

『ほんまこの時期は忙しくなるで。』

《各地に足を運ぶんは大変やし。》



「?」


『ガサガサ』と探していた手を止め。振り返って不思議そうな顔をしているサーチも、ラタトクスに質問をしていた。



「ラタトクスもメシを食べに来たのか?」



『ん?せやで!知り合いが()うてな!』

『仕事ついでに、食べに来たっちゅー感じやな!』


「へぇ〜!頑張った後のメシかー!」

「最高じゃん〜!」


『せやろ!せやろ〜!』

『今頃。オイラの仲間が準備しとるやろうし。あれやったら、サーチはんたちも一緒の場所で食べるか?』



「おっ!いいのー?」


『おう〜ええで!ええで〜!オイラ達はもうフレンズやからな!にぃぎゃっはっは!』


「へへへっ!そうだよなー!」



『ゲラゲラ』と笑う二人は、そのまま幻のキノコを探し続けていた。



─────────────────────────



樹中海要塞(オルガムズフォートレス) 大樹海の中央 世界樹(ユグドラシル)の中層付近】


大庭園(だいていえん)箱庭(ハコニワ)



八天星(はちてんせい)オルテを始めとする。

14ある軍隊の内。10の師団長が大きな白色の丸い円卓の前に集まっていた。



『オルテ様。このままでは押し切られてしまいます。』


根踏する馬達(ユグズアース) 第七師団アールヴヘイム

 団長 森精(しんせい)(あるじ)[フレイ(2222)]

        [種族:エルフ]




『ええ。分かってるわ。』


八天星(はちてんせい) 地球】[アース・オルテ(2567)]

        [種族:ハイエルフ]




『どうにかして、第二師団『ニヴルヘイム』を動かせないのか?』


根踏する馬達(ユグズアース) 第九師団ミズガルズ

 団長 桟橋(さんばし)[ナカツクニ(36)]

      [種族:ヒト]



ナカツクニの言葉に、草花が角に生えている4頭の鹿の内。何も生えていない角をした1頭が低い声でゆっくりと答える。



『それは無理だ。』


根踏する馬達(ユグズアース) 第四師団アースガルズ

 鹿王季士(ヴァルギュリアス)冬鹿(とうろく)

   冬木立(ふゆこだち)[ドゥラスール]

      [種族:古獣(モデル:トナカイ)]




『ドゥラスール様。それは何故でしょうか?』


『ワシら封軍(ほうぐん)とて。アヤツに口出しをしても言うことを聞かんからじゃ。』

『それはまた。フレーズヴェルグとて同じことよのぉ。』


『のぅ?』



『………。』


根踏する馬達(ユグズアース) 第一師団ヴァナへイム

 団長 啄身骸(ツイバミドクロ)扇鷲(オウギワシ)

     [フレーズヴェルグ]

     [種族:古獣(モデル:オウギワシ)]




『相変わらず……仲が悪いわねぇ〜ん。ヴェグちゃんとヘグちゃんは。うふふっ。』


根踏する馬達(ユグズアース) 第五師団ドールグラスシル

 団長 淫乱(いんらん)雌山羊(メヤギ)

   [ヘイズスルーン]

   [種族:古獣(モデル:ダッチランドレースヤギ)]




『からかっとる場合かのぉ。ヘイズスルーン。』

『今回、ワイらの軍はそこまで役には立てんかもしれん。』


『ニヴルヘイムがおらんにゃ、こちらは戦力不足じゃ。』


根踏する馬達(ユグズアース) 第六師団ヨトゥンヘルム

 団長 雨鳴木ノ遠吠(アマナキノトオボ)

      [センジョ]

      [種族:古獣(モデル:オオヒキガエル)]



『そうかしら?湖はそうかもしれないけれど。森は違うんじゃない?』

『ねぇ〜、アレクサンドラ。キング。オリック。ベニグモ。』


『それに、オベロン率いるアルフヘイムもいるじゃないの。』


『ニヴルヘイムの力が必要かしら?』




『残念ですが。わたくしの団も厳しいかと。』


根踏する馬達(ユグズアース) 第十師団ムスペルヘイム

 団長 巨影(きょえい)ラージスト

     [アレクサンドラ]

     [種族:蟻蛾(ギギ) (モデル:アレクサンドラトリバネアゲハ)]



『ニザヴェッリルやヘルヘイムはともかく。(わたし)達も陽動にしかならないだろう。』


根踏する馬達(ユグズアース) 第八師団アルフヘイム

 団長 夜夢(よむ)参謀(さんぼう)[オベロン]

         [種族:妖精(ピクシー)



『………。ワシらは効かん。問題はない。』


根踏する馬達(ユグズアース) 第十一師団ニザヴェッリル

 団長 鎧兜(よろいかぶと)[キング]

      [種族:蟻蛾(ギギ) (モデル:カブトムシ)]




『ワシらやベニグモも、木を渡れば問題ない。ヤツらの装甲もどうにかなろう。』


根踏する馬達(ユグズアース) 第十二師団スヴァルトアールヴヘルム

 団長 剛靱(ごうじん)(アギト)[オリック]

        [種族:蟻蛾(ギギ) (モデル:リオック)]




『そうねぇ。ワタクシの軍も問題はありませんわ。』


根踏する馬達(ユグズアース) 第十三師団ヘルヘイム

 団長 口付(くちづけ)[ベニグモ]

      [種族:蟻蛾(ギギ)(モデル:クロドクシボグモ)



その時。再びトナカイの古獣である。ドゥラスールが口を開いた。



『ヤツらは木の上だろうが関係あるまい。』

『やはり、ニヴルヘイムの力は必要じゃろう。』


『それには───』


皆が神妙な面持ちをしたり、腕を組む者も居る中でドゥラスールは話を続けた。




『ラタトクスがおらぬと、アヤツは動くまいよ。』



その言葉に桜の花びらが角に咲いた鹿が話しかけた。



『パトが呼びにいってるのではないのか?』


根踏する馬達(ユグズアース) 第四師団アースガルズ

 鹿王季士(ヴァルギュリアス)春鹿(しゅんろく)

  花桜(かおう)[ダーウィン]

    [種族:古獣(モデル:ニホンジカ)]



皆が話す中。

中央の席に座るオルテが口を開く。



『確かに。この状況ではニーズヘッグの力が必要よ。』

『勢力を考えると。ラタトクスが来るまで待てないかも知れない。』


『ワタシが直接。ニーズヘッグの元へ行くわ。』



その言葉に第七師団エルフ族のフレイが答える。



『それはなりません!!今オルテ様が居なくなれば、民の皆が不安になります!!』

『どうか。それだけはお控え下さい……。』


『でも……。』

『この間にも。ヘル達が。』



オルテが心配する中。第六師団センジョが話を割って入る。



『ヘルとシビアが生きていれば。また増やせましょうぞ。』

『ソレよりも。押し切られる方が問題でしょう。』


『世界樹もございます。甚大な被害が出てしまう前に。どうか我々にご指示を。』



『………。分かったわ。』


『ヘル達には申し訳ないけど。仕方ないわね。』

『ヘル達に対処できる師団で東西南北から可能な限り守備を固めなさいッ!!』


『それ以外の師団は上空の魔族と。アウスラストとは、ワタシがやるわ。』



『オルテ様自らが出られるのですか!?』

『アウスラストは我々が!!』


エルフ族のフレイが反論する中、第一師団団長のフレーズヴェルグが静かに告げた。



『良い。オルテ様には、(ワレ)からヴェズルフェルニョルを(つか)わす。』

『案ずるな。シンとアマメもおる。』


『それでもまだ……お主が出ると?』



『……ッ!良いだろう。その代わり、我々からも護衛は付けさせてもらう。』



『好きにするが良い。』



『え〜〜。なら〜ルーンも誰か向かわせちゃおっかな〜♡』

『オルテ様ぁ〜♡どんな男が好み(タイプ)ですか〜?』



『ヘイズスルーンよ。ふざけるでない。』


『ちぇ〜。ドゥラスールはもっと陽気に考えな〜。』



『ふふ。みんなありがと!』

『でも大丈夫よ。ワタシが勝つから!』


『その代わり、みんなはヘル達をお願いね。』



『『『かしこまりました。』』』


そうして、箱庭から各師団長達は各師団へと報告するために向かって行った。



最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


[今回の一言♩]

日曜日を月曜日だと思ってました。

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