欠片246.『キノコ同盟結成!!』
欠片246.『キノコ同盟結成!!』です!
「ま、ま、幻のキノコ〜〜?」
サーチが大きな声で聞き返す中、ラタトクスが慌ててサーチの頬に蹴りを入れた。
「ぶへぇぇぇ〜〜!!」
「──ッ!な、なにすんだよ!」
『シィ〜〜〜!!』
『声が大きいねんワレェ!!』
『幻っちゅーのは数が少ないんや!他の誰かに聞かれたらどないすんねん!アホッー!!』
倒れるサーチの胸の上で『ゲシゲシ』と足踏みをするラタトクス。
「ご、こめんっ!」
そして、サーチの顔の近くへ寄ったラタトクスは囁いた。
『ええか?これはオイラとアンタだけのヒミツや!もし採れた暁には、アンタにも少し分けたる!』
『せやから。サーチはん……』
『手伝てくれへんか?頼むぅ〜!』
『ホンマ、この通りや〜!』
両手を合わせ頭を下げるラタトクスはあざとらしく泣いていた。
その姿を見てサーチは質問する。
「うまいのか?」
『へっ?』
「そのキノコ」
ラタトクスは泣いている目を見開くと、キラキラさせ答えた。
『それはもう……ごっつ美味いでぇ!!!』
『食べた瞬間……ピリッ体が震える感覚……!赤い表面にツブツブした舌触りっ!シャクシャクとした食感っ!』
「……ゴクッ。」
(聞いてるだけでよだれがでちまいそうだ……)
『ほんで、極めつきは……。濃厚なうまみっ!!!』
『あの肉厚の傘から溢れ出る……旨味成分をたっぷり含んだ汁を啜うた瞬間───』
ラタトクスは激しく手をあげ身振り手振りで表現していた。
そして、盛大に両手を開きながらサーチに言葉を放った。
『脳が弾けんねんっ!!!』
『ピャー!!やで!ピャー!!ぎぃにゃあっはっはっはー!』
「よし!分かったよ!オレも探すのを手伝ってやる!」
「その代わり。オレにも食べさせてくれよな!」
『おお〜〜!サーチはん!おおきにやで〜!!』
背を起こすと、サーチとラタトクスは握手をしていた。
「それで、そのキノコはどんな見た目なんだ?」
『せやなぁ〜!オレンジみがかかった赤い傘に白いイボがたくさんついてんねん!』
『名前は『木苺茸』!!』
『あの木苺に見た目がにとるからやな!』
『あ、でもなぁ〜。一つだけ注意せなあかんことがあんなん。見た目がにとぉぅ〜キノコがあってな?』
『それがな、『木苺無茸』っゆうんや!』
『傘の色は同じやけど。白いイボがないねんな!ただ。形も大きさもにとぉぅ〜からきぃつけや!』
「おう!分かった!」
『明日の宴までに見つけるでぇ!!サーチはん!』
「おおー!!」
【そうして宴の森で開催される宴までの間】
【密かに1人と1匹の同盟が誕生したのであった】
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【宴の森 会場の広場】
会場の観客席の一設に椅子を置いているキツネの獣人と1匹のウサギが『ぴょこん』と別の椅子の上に座っていた。
『あれ?ラタトクス様知らないっスか?』
根踏する馬達 第三師団フレーヴァング所属
空回りのお人好し[フォックス(23)]
[種族:獣人(モデル:アカギツネ)]
『ウチが知るかいな〜。どうせ。団長のことやから、その辺でキノコ探しでもしてるんちゃうん?』
根踏する馬達 第三師団フレーヴァング所属
徒夜の月陰兎頭[ギョクト]
『アハハ……相変わらずですねぇ。』
『まあ、そんな破天荒なところも!オイラは尊敬してるっスけどね!!』
『………。』
『ソレ。ウチは尊敬してへんってこと?』
『あっ……いや。その……。ね、ネェさんのことももちろん尊敬してますって!ハハハ!』
『ふぅ〜ん。まぁええけど。』
『実際のとこ。団長の方が先輩やしなぁ〜。』
・・・・
『それに、ウチでもあの二匹にはよう話しかけられへんし。』
『そこだけは認めてんねん。あのアホのことはな。』
《そこだけなんスね。アハハ……。》
《まぁ、ラタトクス様にアホって言えるネェさんも大概っすけど……。》
『そう言えば。久しぶりに会えるんとちゃうん?』
『え?』
『お兄さんおったやろ?料理人の。ほら、なんやったっけ?』
『ああ、イナリ兄さんのことっスね!』
『せや!イナリイナリ!懐かしいなぁ〜!二人ともまだちっこい時。いっぱい可愛がってあげたん思い出すわぁ〜。』
ギョクトは満面の笑みでそう語るも、フォックスは感情のない笑顔を表に出しながら、心の中で呟いていた。
《いや。そんなでもなかったような……。》
《むしろ、兄さんは修行が辛くて料理人になったハズじゃ……。》
『でも、久しぶりに会えるんやから。嬉しいんとちゃうん?ふふっ。』
『ウチらはまだ会える機会が多いけど。大樹海のみんなは、そうそう会えへんやろからなぁ〜。』
『そうっスねぇ。あ。』
『料理人と言えば、キャロットも居るんじゃ……』
『あっ…!』
《しまった……。》
『ゴゴゴゴゴッ』と背後から感じる雰囲気に、フォックスはダンマリになっていた。
『あぁん…?なんやてぇ?』
『あのガキには、もっかい躾けが必要よなぁ〜?』
『なぁ〜?クス坊。』
『……えっと…。そ、そうっスね〜……。』
《うぅ〜……。またうっかりやっちまったっス〜。》
汗がダラダラと額から溢れるフォックスは、自分の発言に後悔していた。
その時、一羽の『ハト』が2人の元へ飛び降りていた。
バサバサバサ──。
『クルッポー!クルッポー!』
根踏する馬達 第三師団フレーヴァング所属
副団長 空翔る伝書鳩[パト]
『ん?パトやんやん。』
《何でまた……こねぇなとこに。》
『あれ?パトさん。お久しぶりです!』
『元気で良かった〜!』
パトは羽を整えた後。両者に尋ねた。
『クルッポー。フォックスも元気そうでなによりっポ。』
『団長は?』
『今、どっか行っちゃってますね……。』
『なんかあったんか?パトやん。』
神妙な面持ちのパトは、ゆっくりと両者に告げた。
『なら、先にふたりに。』
『至急。大樹海に戻るっポ。』
『樹中海要塞が───』
『襲撃されたっポー!!』
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
[今回の一言♩]
読み返してたけど、濁点がない誤字がいくつか。
先に修正しても良かったけど、修正まで先の話だったので放置しました。
(面白いから、読むのがやめられなくてめんどくさくなったなんて言えない。ガクブル)




