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星屑の機巧技師(せいせつのきこうぎし)  作者: リンネ カエル/霖廻 蛙
第二・五章─王国跡地編〜交錯する勢力達〜─
248/258

欠片246.『キノコ同盟結成!!』


欠片(ピース)246.『キノコ同盟結成!!』です!




「ま、ま、幻のキノコ〜〜?」



サーチが大きな声で聞き返す中、ラタトクスが慌ててサーチの頬に蹴りを入れた。



「ぶへぇぇぇ〜〜!!」

「──ッ!な、なにすんだよ!」



『シィ〜〜〜!!』

『声が大きいねんワレェ!!』


『幻っちゅーのは数が少ないんや!他の誰かに聞かれたらどないすんねん!アホッー!!』



倒れるサーチの胸の上で『ゲシゲシ』と足踏みをするラタトクス。



「ご、こめんっ!」



そして、サーチの顔の近くへ寄ったラタトクスは(ささや)いた。


『ええか?これはオイラとアンタだけのヒミツや!もし採れた(あかつき)には、アンタにも少し分けたる!』


『せやから。サーチはん……』



手伝(てつどう)てくれへんか?頼むぅ〜!』

『ホンマ、この通りや〜!』



両手を合わせ頭を下げるラタトクスはあざとらしく泣いていた。

その姿を見てサーチは質問する。



「うまいのか?」


『へっ?』



「そのキノコ」


ラタトクスは泣いている目を見開くと、キラキラさせ答えた。



『それはもう……ごっつ美味いでぇ!!!』


『食べた瞬間……ピリッ体が震える感覚……!赤い表面にツブツブした舌触りっ!シャクシャクとした食感っ!』



「……ゴクッ。」

(聞いてるだけでよだれがでちまいそうだ……)



『ほんで、極めつきは……。濃厚なうまみっ!!!』


『あの肉厚の傘から溢れ出る……旨味成分をたっぷり含んだ汁を(すす)うた瞬間───』



ラタトクスは激しく手をあげ身振り手振りで表現していた。

そして、盛大に両手を開きながらサーチに言葉を放った。



『脳が弾けんねんっ!!!』


『ピャー!!やで!ピャー!!ぎぃにゃあっはっはっはー!』



「よし!分かったよ!オレも探すのを手伝ってやる!」

「その代わり。オレにも食べさせてくれよな!」



『おお〜〜!サーチはん!おおきにやで〜!!』



背を起こすと、サーチとラタトクスは握手をしていた。



「それで、そのキノコはどんな見た目なんだ?」



『せやなぁ〜!オレンジみがかかった(あっか)い傘に白いイボがたくさんついてんねん!』


『名前は『木苺茸(キノチゴダケ)』!!』

『あの木苺(キノチゴ)に見た目がにとるからやな!』



『あ、でもなぁ〜。一つだけ注意せなあかんことがあんなん。見た目がにとぉぅ〜キノコがあってな?』

『それがな、『木苺無茸(キノチゴノダケ)』っゆうんや!』


『傘の色は同じやけど。白いイボがないねんな!ただ。形も大きさもにとぉぅ〜からきぃつけや!』



「おう!分かった!」



『明日の宴までに見つけるでぇ!!サーチはん!』

「おおー!!」



【そうして宴の森で開催される宴までの間】


【密かに1人と1匹の同盟が誕生したのであった】



─────────────────────────



【宴の森 会場の広場】



会場の観客席の一設に椅子を置いているキツネの獣人と1匹のウサギが『ぴょこん』と別の椅子の上に座っていた。



『あれ?ラタトクス様知らないっスか?』


根踏する馬達(ユグズアース) 第三師団フレーヴァング所属

 空回りのお人好し[フォックス(23)]

         [種族:獣人(モデル:アカギツネ)]



『ウチが知るかいな〜。どうせ。団長のことやから、その(へん)でキノコ探しでもしてるんちゃうん?』


根踏する馬達(ユグズアース) 第三師団フレーヴァング所属

 徒夜(とや)月陰兎頭(げっとう)[ギョクト]



『アハハ……相変わらずですねぇ。』

『まあ、そんな破天荒なところも!オイラは尊敬してるっスけどね!!』



『………。』

『ソレ。ウチは尊敬してへんってこと?』


『あっ……いや。その……。ね、ネェさんのことももちろん尊敬してますって!ハハハ!』



『ふぅ〜ん。まぁええけど。』

『実際のとこ。団長の方が先輩やしなぁ〜。』


         ・・・・

『それに、ウチでもあの二匹(ふたり)にはよう話しかけられへんし。』


『そこだけは認めてんねん。あのアホのことはな。』



《そこだけなんスね。アハハ……。》

《まぁ、ラタトクス様にアホって言えるネェさんも大概っすけど……。》



『そう言えば。久しぶりに会えるんとちゃうん?』



『え?』


『お兄さんおったやろ?料理人の。ほら、なんやったっけ?』



『ああ、イナリ兄さんのことっスね!』



『せや!イナリイナリ!懐かしいなぁ〜!二人ともまだちっこい時。いっぱい可愛がってあげたん思い出すわぁ〜。』



ギョクトは満面の笑みでそう語るも、フォックスは感情のない笑顔を表に出しながら、心の中で呟いていた。


《いや。そんなでもなかったような……。》

《むしろ、兄さんは修行が辛くて料理人になったハズじゃ……。》



『でも、久しぶりに会えるんやから。嬉しいんとちゃうん?ふふっ。』

『ウチらはまだ会える機会が多いけど。大樹海(だいじゅかい)のみんなは、そうそう会えへんやろからなぁ〜。』



『そうっスねぇ。あ。』

『料理人と言えば、キャロットも居るんじゃ……』


『あっ…!』

《しまった……。》



『ゴゴゴゴゴッ』と背後から感じる雰囲気に、フォックスはダンマリになっていた。



『あぁん…?なんやてぇ?』

『あのガキには、もっかい(しつ)けが必要よなぁ〜?』


『なぁ〜?クス(ぼう)。』



『……えっと…。そ、そうっスね〜……。』

《うぅ〜……。またうっかりやっちまったっス〜。》



汗がダラダラと額から溢れるフォックスは、自分の発言に後悔していた。

その時、一羽の『ハト』が2人の元へ飛び降りていた。


バサバサバサ──。



『クルッポー!クルッポー!』


根踏する馬達(ユグズアース) 第三師団フレーヴァング所属

副団長 空翔(そらかけ)る伝書鳩[パト]




『ん?パトやんやん。』

《何でまた……こねぇなとこに。》



『あれ?パトさん。お久しぶりです!』

『元気で良かった〜!』



パトは羽を整えた後。両者に尋ねた。


『クルッポー。フォックスも元気そうでなによりっポ。』

『団長は?』



『今、どっか行っちゃってますね……。』


『なんかあったんか?パトやん。』



神妙な面持ちのパトは、ゆっくりと両者に告げた。



『なら、先にふたりに。』



『至急。大樹海に戻るっポ。』

樹中海要塞(オルガムズフォートレス)が───』



『襲撃されたっポー!!』



最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


[今回の一言♩]

読み返してたけど、濁点がない誤字がいくつか。

先に修正しても良かったけど、修正まで先の話だったので放置しました。

(面白いから、読むのがやめられなくてめんどくさくなったなんて言えない。ガクブル)

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